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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
新春恒例干支デッキ企画!巳年に紹介するのは……(特別企画)
新年あけましておめでとうございます!今年もマジック:ザ・ギャザリングのデッキについて語る当コラムをどうぞよろしくお願いします!さて、元日恒例の特別企画。毎年干支にちなんだデッキを紹介しているわけだが……2025年、今年の干支は巳!すなわち蛇、ヘビ年だ。マジックでもおなじみのクリーチャー・タイプだね。
蛇のタイプを持ったカードは意外にも1993年の最古の基本セットには収録されておらず、なんと1997年リリースの『ヴィジョンズ』にてデビュー。え、4年間も蛇をモチーフにしたカードがなかったの?と驚くかもしれないが、もちろんそんなことはなく……実は昔の蛇系のクリーチャーはコブラ・バイパー・アスプ・パイソン・毒蛇…など、蛇の細かい種類ごとにタイプが分かれていたのだ。今考えるとなぜこんな細かく分ける必要があるのかと思ってしまうが、黎明期ならではの“味”ってやつだね。現在はそれらのカードもすべて蛇タイプで統一されているので、蛇をテーマにしたデッキを問題なく組むことが可能だ。毎年お正月のデイリー・デッキでは干支を使ったデッキ構築などを考えていたが……今回は趣向を変えてみよう。
今年は早くも2月にプレイヤーズコンベンションが開催され、特にジャパンスタンダードカップはこの大会限定のプロモカードが配布されるとあって話題となっている。そして今年は『マジック:ザ・ギャザリング――FINAL FANTASY』や『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』といったコラボセット、ユニバースビヨンドがスタンダードで使用可能な本流セットとしてリリースされる!これはスタンダードが盛り上がること間違いなし、過去一くらいのフィーバーになってもおかしくない。
というわけでスタンダードをもっともっとプッシュしていきたいと考えている。一年の計は元日にあり、ということでスタンダードの蛇デッキ……その歴史を振り返ってみることにしよう!デッキリストのおせちになるよう意識して、ボリューミーな内容でお届けしよう。お正月、冬休みの移動中なんかにちょっとずつ読んでくれたら嬉しいね。それじゃあ早速、いってみよう!
17 《島》 4 《流砂》 -土地(21)- 4 《大クラゲ》 4 《知恵の蛇》 3 《貿易風ライダー》 1 《銀のワイヴァーン》 -クリーチャー(12)- |
4 《ミューズの囁き》 4 《衝動》 4 《対抗呪文》 2 《マナ漏出》 3 《禁止》 4 《レガシーの魅惑》 2 《転覆》 4 《サファイアの大メダル》 -呪文(27)- |
1 《撹乱》 4 《水流破》 3 《スークアタの火渡り》 2 《弱者の石》 2 《無のロッド》 3 《ファイレクシアの炉》 -サイドボード(15)- |
スタンダードの歴史において、もっとも古い蛇デッキとは何か……冒頭でも紹介したように当時はコブラやバイパーだったりしたカードを使った毒系のファンデッキは組まれていたことだろう。
トーナメントシーンで活躍したもので、蛇が主役のデッキ……という視点からみれば、《知恵の蛇》デッキが最古の蛇デッキと言えるだろう。《知恵の蛇》は貧弱なクリーチャーではあるが、これが攻撃してブロックされなければ、カードを1枚引くことができる。そうした場合、代わりにこの蛇は戦闘ダメージを与えない。昔はこの手の能力をサボタージュ能力と呼んだ。戦闘ダメージをサボって、そのかわりに何かするってニュアンスだね。《知恵の蛇》のドローはサボタージュ能力の中でも最たるもの。対戦相手のクリーチャーを《対抗呪文》などで打ち消したり《転覆》で戻したりしながら、《知恵の蛇》でドローし続ける。手札が切れない青いコントロールデッキをこの蛇の英名から「オフィディアン/Ophidian」と呼んだ。オフィディアン系デッキの中でも多くの人々の記憶に残っているのが「フォービディアン/Forbidian」。今回紹介するのは1998年のアメリカ選手権で上位入賞のもの。
手札を2枚捨てながら唱えることで、解決後に墓地に行くのではなく手札に戻ってくる《禁止》。この打ち消しで対戦相手をロック状態に落とし込むのを狙ったデッキで、キーカード2枚を合わせたデッキ名になっている。毎ターンの通常ドローと《知恵の蛇》のドローの2枚があれば、禁止ロックの完成だ。手札が切れて毎ターンのドローにかけている対戦相手は、これが決まればもうゲームオーバー。《貿易風ライダー》《ミューズの囁き》《レガシーの魅惑》などなど名カードが居並ぶ古き良き青単色のデッキは、ロングゲーム愛好家に贈りたい。
2 《アダーカー荒原》 2 《低木林地》 3 《ヤヴィマヤの沿岸》 3 《沿岸の塔》 2 《広漠なるスカイクラウド》 3 《サングラスの大草原》 2 《ナントゥーコの僧院》 1 《平地》 5 《島》 1 《森》 -土地(24)- 3 《神秘の蛇》 1 《秘教の処罰者》 1 《起源》 -クリーチャー(5)- |
4 《対抗呪文》 3 《記憶の欠落》 4 《吸収》 2 《除外》 4 《排撃》 3 《神の怒り》 4 《嘘か真か》 3 《綿密な分析》 2 《生ける願い》 2 《狩猟場》 -呪文(31)- |
3 《種蒔き時》 3 《もつれ》 1 《緑の防御円》 3 《翻弄する魔道士》 1 《雲を追うエイヴン》 1 《神秘の蛇》 1 《ナントゥーコの追跡者》 1 《幻影のニショーバ》 1 《荊景学院の戦闘魔道士》 -サイドボード(15)- |
蛇でロック、という繋がりで続いては2002年のグランプリ台北優勝の「狩猟場コントロール」!このデッキが用いる蛇は《神秘の蛇》。《対抗呪文》に2マナ2/2がくっついたデザイン、相手のアクションを打ち消しながら自分はクリーチャーを出すという動きは実にテクニカルで、多くのプレイヤーの心を掴んだ。この蛇は普通の打ち消し呪文よりは少し重いが、クリーチャーであることを活かした構築をしてやることでその潜在能力を発揮する。「狩猟場コントロール」はその最たるものだろう。
《狩猟場》は墓地が7枚以上、スレッショルドの状態になると、対戦相手が呪文を唱えた際に能力が誘発。手札からクリーチャーを戦場に出すことができる。この能力で4マナの《神秘の蛇》を繰り出して、相手の唱えた呪文をセミオートで打ち消そうというのがデッキの狙いだ。《狩猟場》と蛇での打ち消しは、こちら側は呪文を唱えない。そのため当時のスタンダードにおいては、青いデッキとの打ち消し合戦においてはほぼ妨害されない、一方的な打ち消しとして機能したのだ。
《リスの巣》《対立》デッキ、《サイカトグ》、青緑の「マッドネス」……打ち消しを巡る攻防で優位に立てる《狩猟場》《知恵の蛇》ロック。《排撃》で蛇を戻してロックを維持している間に、《秘教の処罰者》や《ナントゥーコの僧院》などのフィニッシャーで勝つ姿は、最高にスマートでカッコイイ。
4 《つぶやき林》 1 《ラノワールの荒原》 3 《光り葉の宮殿》 3 《地平線の梢》 2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 2 《樹上の村》 1 《ペンデルヘイヴン》 2 《平地》 1 《沼》 3 《森》 -土地(22)- 4 《極楽鳥》 2 《ラノワールのエルフ》 4 《タルモゴイフ》 3 《サッフィー・エリクスドッター》 4 《オーランのバイパー》 3 《包囲の塔、ドラン》 2 《叫び大口》 -クリーチャー(22)- |
4 《名も無き転置》 2 《原初の命令》 2 《不敬の命令》 1 《ロクソドンの戦槌》 4 《苦花》 3 《野生語りのガラク》 -呪文(16)- |
2 《カメレオンの巨像》 3 《雲打ち》 2 《クローサの掌握》 3 《忘却の輪》 2 《殺戮の契約》 3 《突然の俗化》 -サイドボード(15)- |
2006~8年の間、スタンダードにおける蛇と言えば《オーランのバイパー》。《知恵の蛇》のリメイク的な1枚で、サボらずに対戦相手に戦闘ダメージを与えることでドローをもたらす現代風アレンジが施されている。またブロックされたとしても、戦闘ダメージを与えたクリーチャーを破壊する……接死によく似た能力を持つ。戦闘終了時に誘発する、遅れて効いてくる毒や石化を表現したこの手の能力、懐かしいね。ブロックされても最低限相討ち、攻撃が通ればドロー。ブロック役に回してもOKと、蛇界の中でもなかなかのやり手である。
この時代は《タルモゴイフ》《思考囲い》や初のプレインズウォーカーなどの強力カードが登場し、非常に刺激的なスタンダード環境だった。多色土地の種類も多く、そのためこのリストのように3色のものも一般的に見られるようになった。特に黒緑白の3色……当時はまだアブザンという呼び名がなかったね……このカラーには《包囲の塔、ドラン》がいたため高い人気を誇った。クリーチャーがタフネス分の戦闘ダメージを与えるようになるため、《オーランのバイパー》に唯一足りていない打点も、これでしっかりカバーできる。パワーカードで固められた今でいうミッドレンジデッキ、「ロック」系の中でもドランカラーのものはレアがてんこ盛りで皆の憧れのリストだったなぁ。
4 《霊気拠点》 2 《異臭の池》 4 《花盛りの湿地》 4 《植物の聖域》 1 《島》 2 《沼》 4 《森》 -土地(21)- 4 《光袖会の収集者》 4 《牙長獣の仔》 4 《巻きつき蛇》 4 《ならず者の精製屋》 2 《ピーマの改革派、リシュカー》 3 《人質取り》 1 《スカラベの神》 3 《歩行バリスタ》 -クリーチャー(25)- |
4 《霊気との調和》 4 《顕在的防御》 4 《致命的な一押し》 2 《ヴラスカの侮辱》 -呪文(14)- |
2 《短命》 1 《本質の散乱》 3 《強迫》 2 《否認》 1 《人工物への興味》 3 《貪る死肉あさり》 1 《スカラベの神》 2 《自然に仕える者、ニッサ》 -サイドボード(15)- |
最後に紹介するのは2017年、プロツアー『イクサラン』優勝デッキ。このデッキの主役は《巻きつき蛇》。この蛇はクリーチャーに置かれたりプレイヤーが得るカウンターの数を1つ増やす。色んなカードとの組み合わせで輝くことが容易にイメージでき、実際にスタンダードや他のフォーマットでもこれを用いたデッキが流行ったものだ。自身が2マナ2/3という絶妙なスペックなのも◎。《致命的な一押し》などで対処はされるが、もしうっかり生き延びると後続のカードの価値を大きく高めるため、厄介な2マナ域である。
当時のスタンダードでは……《歩行バリスタ》に1発オマケ付き、《ピーマの改革派、リシュカー》で打点モリモリ。プレイヤーが得るカウンターと言えばエネルギーで、これの個数が1つ増えるというのもゲームにかなりの影響を与える。特に相性が良かったのは《牙長獣の仔》で、これがもたらすエネルギーも、それを消費して自身に乗せる+1/+1カウンターの数も増やしてくれる。蛇と牙長獣を備えた黒緑のエネルギー系デッキの中でも、この優勝リストでは青を足して《ならず者の精製屋》や《人質取り》、《スカラベの神》といったアドバンテージの化身のようなクリーチャーを盛り込んだ「スゥルタイ・エネルギー」。今見ても王者の風格漂う、大変に格好の良いリストだ。
さて、長々とスタンダードにおける蛇デッキについて話してきたが……現スタンダードでももちろん蛇たちの姿を確認できる。黒を中心としたそれらのカードは過去のものと見劣りしないくらいに個性的で、蛇が主役のこの1年に様々なデッキが構築される期待が高まる。さあ、今年もデッキを作って、試して、どっぷりマジック!そんなわけで、皆さんにとって2025年がマジックに満ちた幸せな一年でありますように。蛇のごとくしぶとく、生命力に満ちたデッキを組んで遊ぼうぜ~!
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