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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ラクドス・サクリファイス:クリーチャーともう一つの生け贄要員(スタンダード)

岩SHOW
 

 現行スタンダードで最もカッコイイ1枚を選べ!と言われたら……迷うねぇ。でもなんだかんだ言ってやっぱり《イマースタームの捕食者》かな。『ファウンデーションズ』のStarter Collectionに再録されたこのカードは、黒と赤の2色のクリーチャーらしく、それぞれの色の代表種族である吸血鬼とドラゴンを併せ持っている。この時点でもうカッコよすぎるよなぁ。その上でイラストも最高だ。これぞ捕食者って感じの、巨大な牙を携えた下顎がたまらねぇな。個人的にはビジュアル・設定共にスタンダードでは最高峰の1枚だなと、とにかくカッコイイぜ。

 《イマースタームの捕食者》は能力もこれぞ黒赤=ラクドス・カラーというわかりやすいものである。クリーチャーを生け贄に捧げることでターン終了時まで破壊不能を得る。その際にこれはタップ状態になる。そしてこの捕食者はタップ状態になった時に、墓地のカードを1枚追し、そしてこれの上に+1/+1カウンターを1個置く。攻撃時にも誘発するので、効率よく対戦相手の墓地を追放してカードの再利用などを妨害しつつ、高いダメージを叩き込んでいけるアグレッシブなクリーチャーだ。

 この手の他のクリーチャーを生け贄に捧げる、というのはラクドスの定番で、様々なセットでこの2色にこの役割が与えられている。今回紹介するデッキは、スタンダードのそんなラクドスの生け贄系カードが集ったものだ。そしてこのデッキが生け贄に捧げるのはクリーチャーに限らず、パーマネント全般。特にエンチャントにもフォーカスしたもので……

Jacopo Ciocchetti - 「ラクドス・サクリファイス」
地域チャンピオンシップ予選(イタリア・メラーテ) トップ4 / スタンダード (2024年12月8日)[MO] [ARENA]
4 《硫黄泉
4 《黒割れの崖
4 《ブレイズマイアの境界
2 《不穏な火道
4 《
3 《
-土地(21)-

4 《機械仕掛けの打楽器奏者
4 《悪意ある呪詛術士
4 《逸失への恐怖
3 《甦りし悪夢、ブレイズ
-クリーチャー(15)-
4 《最後の復讐
4 《塔の点火
3 《逃げ場なし
4 《望み無き悪夢
3 《迷いし者の骸
3 《ウラブラスクの溶鉱炉
4 《不穏な笑い
-呪文(25)-
2 《鋼と油の夢
1 《強迫
2 《喉首狙い
2 《紅蓮地獄
2 《大群への給餌
2 《除霊用掃除機
1 《ヴェールのリリアナ
2 《暗黒星の占い師
1 《黙示録、シェオルドレッド
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 「ラクドス・サクリファイス(生け贄)」!生け贄がテーマで、本来ならパーマネントを失うこのアクションをプラスに変える、カードとカードのシナジー(相乗効果)を重視したデッキである。なので強力なカードをドーン!という感じではなく、単体ではそんなに強くないんだけども……というカードを輝かせて勝利をかすめ取る、そんなテクニカルなデッキだ。

 このデッキは《甦りし悪夢、ブレイズ》のような生け贄を要求するカードと、《機械仕掛けの打楽器奏者》のような生け贄に捧げても損しないカードを中心に構成されている。ブレイズはパーマネントを生け贄に捧げ、同じタイプのものを相手も生け贄に捧げなければペナルティを迫る、ねっとりと意地の悪い攻め方をする生け贄系カードの代表格だ。打楽器奏者は死亡すると、ライブラリーの上から1枚追放して次の自分のターンが終わるまでの間それをプレイできるというアドバンテージをもたらす。打楽器奏者を生け贄に捧げれば(運の要素はあるが)元手なしでブレイズの能力を運用できるというわけだ。このほかに《ウラブラスクの溶鉱炉》だったり《望み無き悪夢》といった生け贄に捧げても痛くないパーマネントを用意する手段と、《最後の復讐》などの生け贄を要求するカードとを組み合わせることで、後者のデメリットを帳消しにしながら美味しいところだけ運用していく……これが「ラクドス・サクリファイス」の流儀だ。

 

 上述の《最後の復讐》からもわかるとおり、このデッキのメインの生け贄要素はクリーチャー及びエンチャントだ。ラクドスにしてはこのエンチャントを生け贄に捧げる系のカードは珍しいものなのだが、『ダスクモーン:戦慄の館』でこの手のカードが一気に登場。それとスタンダードの生け贄にして嬉しい類のエンチャントをまとめることでデッキに仕上げている。

 中でも注目は《悪意ある呪詛術士》!これ自体は1マナ3/2とハイスペックなクリーチャーなのだが、戦場に出た時に呪われし者・役割・トークンを生成してしまう。これがつけられているクリーチャーは1/1になってしまうので、呪詛術士を1ターン目に出すと役割を自分につけてただの1/1になってしまう。他の自分のクリーチャーにこれを擦り付けることが出来れば3/2として運用できるが、それには準備が必要でありそうこうしている間に1マナでパワー3という優位性は薄れてしまう……と、扱いが非常に難しいカードだ。しかし《最後の復讐》や《塔の点火》などでこの厄介な役割を処理できるのであれば、早いターンに出して自分に役割がついてしまっても問題なし。むしろ1マナのカード1枚が最大で2回分の生け贄を提供してくれるのは効率面で見れば優れている。

 特にオススメなのは《不穏な笑い》との組み合わせ。このエンチャントは他のエンチャントやクリーチャーの生け贄を要求する代わりに2枚ドローをもたらす。いらない役割が2枚の手札に化けるのはお得なんてレベルじゃない。さらにこの笑い自体も他のカードの生け贄になることで、戦慄予示が誘発してクリーチャー1体を確保できる。2枚目以降の笑いやブレイズなどなど、様々な手段で多様なエンチャントを生け贄に捧げ、細かい積み重ねから勝利を手繰り寄せよう。

 《イマースタームの捕食者》が採用されたサクリファイスデッキも、是非ともスタンダードで活躍してほしいものだ。カッコイイ!と思わされるデッキリストを見つけたら、喜んでコピーさせていただくので……皆、任せたぞ。

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