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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アゾリウス・アーティファクト・アグロ:君の初手に斧はあるか?(スタンダード)

岩SHOW
 

 マナを払わずにパーマネントを出したいな。はい、力線サイクル~!ッマジックではすっかりお馴染みな存在になった○○の力線という名のエンチャント。ゲーム開始時に手札にあれば、マナを支払ったり唱えたりせずに直接戦場に出せるという、共通の能力を持ったサイクルだ。《虚空の力線》や《神聖の力線》のように、対戦相手の戦い方を妨害する手段をゲーム開始時から設置して有利に戦うお助けアイテム、あるいは《残響の力線》《豊穣の力線》のようにそのデッキのメインコンセプトを大きく後押しする主力として、力線は様々なデッキで活躍し、新たなデッキを生み出してきた。

 ゲーム開始時に手札にあるかどうか、それは完全に運任せになるが、上振れた時には凄まじいメリットをもたらしてくれる……ロマンと実用性のバランスが何とも絶妙で、だからこそ人気が高く、サイクルの新カードが登場し続けているのだろう。

 

 さて、この力線サイクルにこれまでの流れを断ち切るような、イレギュラーな新作が加わった。『ファウンデーションズ』に収録された《力線の斧》。これまでエンチャントしか存在しなかったサイクルに、遂にアーティファクトが登場!しかも装備品だ。これを持つクリーチャーは+1/+1修正と二段攻撃&トランプルを得る。装備したクリーチャーの打撃力を強烈に上昇させる1枚、装備コストには{3}必要なため、力線能力で戦場に出した状態からゲームを開始しても、動き出すまでにはラグがある……のだが。4マナの装備品がノーコスト・ノーリスクで戦場に出せるのは……さすがに強いでしょうよ!

 ということで、この斧を採用したデッキがスタンダードで見られるように。今回はそんな《力線の斧》デッキの中でも安定感が高そうなリストを一つ、紹介させていただこう。

FishyPhysics - 「アゾリウス・アーティファクト・アグロ」
Magic Online Standard League 5-0 / スタンダード (2024年11月29日)[MO] [ARENA]
4 《アダーカー荒原
4 《金属海の沿岸
4 《フラッドファームの境界
2 《不穏な投錨地
1 《噴水港
4 《平地
3 《
-土地(22)-

4 《内なる空の管理人
4 《ひよっこ捜査員
4 《遠眼鏡のセイレーン
4 《威厳あるバニコーン
4 《鋼の熾天使
4 《マネドリ
-クリーチャー(24)-
4 《幽霊による庇護
1 《同化の神盾
4 《生命ある象形
4 《力線の斧
1 《地底のスクーナー船
-呪文(14)-
2 《エルズペスの強打
2 《邪悪を打ち砕く
2 《第三の道のロラン
1 《失せろ
2 《否認
1 《交渉団の保護
2 《ティシャーナの潮縛り
2 《安らかなる眠り
1 《除霊用掃除機
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 スタンダードのアゾリウス(白青)2色のアグロデッキだ。《内なる空の管理人》や《威厳あるバニコーン》が主軸で、それと相性の良いカードで構成されている。管理人はクリーチャーやアーティファクトを合計3つタップすると+1/+1カウンターを得てさらに占術を行う。バニコーンは土地以外のパーマネントの数だけのパワー/タフネスを持つ。なのでパーマネントのカウントを増やす《ひよっこ捜査員》《遠眼鏡のセイレーン》らが採用されている。これらのトークン生成クリーチャーと同じく、ゲーム開始時からパーマネントのカウントを増やす《力線の斧》はすこぶる相性が良い、というわけだな。

 ただサイズアップに貢献するだけでなく、これらの2大エースに二段攻撃とトランプルを与えることで、対戦相手に効率よくダメージを叩き込める。ひよっこやセイレーンなどの小さなクリーチャーも斧を担げば戦力にカウントできるので、新たな力線はデッキの戦闘力を高めることに貢献してくれるはずだ。

 

 この斧入りのアグロの特徴として、他にはオーラ呪文を重要視している点にも触れておこう。《幽霊による庇護》は白いクリーチャーデッキではもはや定番、スタンダードのオーラの中でも最強の座を争うレベルの1枚としてすっかりお馴染みになったね。パーマネント除去でありながら、同時にクリーチャーに絆魂や護法を与える強化オーラとしての側面も持つ……こんなに強くて2マナで本当に良いのか?何度プレイしてもされても、驚きを隠せない。この庇護の護法のおかげで、装備品の最大の弱点である「装備コストを支払ってクリーチャーに装備させようとしたところに除去を合わせられ、大きくテンポを損なってしまう」という点をカバーできるのは天晴れ。庇護と斧の2枚貼りで、もはやどれだけのキーワード能力がついているかわからない戦闘マシーンを作りだそう。

 またこのデッキに多数採用されているアーティファクト・トークンを生成するカードとの相性がピカイチなのが《生命ある象形》。アーティファクトを5/4のゴーレムに変貌させる、突然ガチの戦闘力をもたらす奇襲的要素を備えつつ、もしこのエンチャント自体が墓地に落ちても探検能力で他の呪文にアクセス可能……貼り付けたパーマネントが対処された時に損をするというオーラの弱点をカバーし得る器用さも有難い。これで各種トークン、場合によっては斧をゴーレム化させ、5点という無視することが難しいパワーでプレッシャーをかけるべし!

 《力線の斧》、力線サイクルの最新作にしてこれまでにない動きを見せる斬新な1枚。このカードがマジックに一体どんな影響を与えることになるか。今回紹介したようなデッキの場合、初手の内容がパッとしないようなら、思い切ってマリガン!開始時の手札が6枚に減っても、中途半端な7枚よりは斧を含んだ6枚の方が良い結果に繋がる、ということもあるだろうね。マリガンを肯定してくれるカードは有難い。スタンダードを中心に、他のフォーマットでもアーティファクトや装備品をテーマとしたデッキで試す価値アリ、今最も面白いカードの一つであるに違いない。さあ、デッキを考えてみよう!

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