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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

安定感のオルゾフ、迎える新カードは数々のエンチャント(スタンダード)

岩SHOW

 『ブルームバロウ』環境のスタンダード、早くも終結。ローテーションも合わさり怒涛の1ヶ月半、前スタンダード環境とは全く異なるデッキも誕生し、非常にやりごたえのあるシーズンだったなぁ……というわけでこの環境の締めくくりとも言える、Magic Online Super Qualifierの優勝デッキを見てみよう。参加者数は234名!大盛況となったこのオンライン予選を勝ち抜いたのは……

Ale_Mtg - 「オルゾフ・ミッドレンジ」
Magic Online Standard Super Qualifier 優勝 / スタンダード (2024年9月15日)[MO] [ARENA]
4 《コイロスの洞窟
4 《秘密の中庭
4 《薄暗い裏通り
2 《眠らずの城塞
4 《寓話の小道
2 《噴水港
2 《平地
3 《
-土地(25)-

4 《大洞窟のコウモリ
4 《分派の説教者
3 《星界を呼ぶ者、ゾラリーネ
2 《第三の道のロラン
2 《跳ねる春、ベーザ
2 《最深の裏切り、アクロゾズ
-クリーチャー(17)-
3 《切り崩し
3 《喉首狙い
1 《保安官を撃て
1 《軍勢を灰に
2 《一時的封鎖
2 《巣ごもりの季節
2 《忠義の徳目
2 《執念の徳目
2 《ヴェールのリリアナ
-呪文(18)-
1 《跳ねる春、ベーザ
3 《残虐爪の強奪
2 《強迫
2 《エルズペスの強打
1 《太陽降下
2 《一時的封鎖
2 《無形の処刑者、ケイヤ
2 《ヴェールのリリアナ
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 オルゾフ(白黒)カラーのミッドレンジデッキだ!このアーキタイプは『ブルームバロウ』で《星界を呼ぶ者、ゾラリーネ》を獲得。ゾラリーネは3マナ以下のパーマネントを墓地から戦場に戻せる能力を持つ。これで《分派の説教者》や《ヴェールのリリアナ》を使いまわす動きが非常に強力。コウモリで攻撃するとライフを得られる能力も《大洞窟のコウモリ》と微妙に噛んでおり、クリーチャーを展開しながら対戦相手に嫌がらせをするデッキコンセプトを強力に押し進めてくれる。

 また4マナ域には《跳ねる春、ベーザ》も加わり、アグレッシブなデッキに押されている状況からでも耐え忍んで逆転を狙う動きが決まりやすくなった。というわけで受けも攻めも器用にこなすオルゾフは、対戦相手を選ばずに環境の様々なデッキと対等に立ち回れるというセールスポイントから多くのシェアを獲得し、またトーナメントでも好成績を残した。

 

 このオルゾフには実はエンチャントがそれなりの枚数採用されている。除去には《一時的封鎖》や《執念の徳目》、クリーチャー及び強化手段に《忠義の徳目》……いずれも今のスタンダード環境を生き抜くうえで役に立つ強力なカードだ。

 

 何故急にエンチャントの話をしたのかというと、『ダスクモーン:戦慄の館』に収録されるオルゾフカラーのレアカード《ヴァルガヴォスの執事長、ヴィクター》はエンチャントにまつわる能力を持っているからだ。エンチャントが戦場に出たのがそのターンの一度目なら諜報2を行う。ドローを操作しながら墓地を豊かに。続けて2回目の誘発が起これば、対戦相手は手札を1枚捨てる。エンチャント1つが相手のリソースを1つ奪うので、アドバンテージ差をつけることができる。そして3回目の誘発まで達したなら、墓地のクリーチャー・カードを戦場に戻す。死亡していた自分のクリーチャーを戻しても良いし、相手に捨てさせたクリーチャーを即座にいただくという動きも最高だ。

 夢の拡がるカードであるヴィクターはエンチャントを必要とするカードであるため、そこを意識してデッキを組まないとただの3マナ3/3というだけで終わりになってしまう。独特の魅力を放つヴィクターを使うなら、どんなオルゾフデッキを組めば良いだろうか?

 

 ダスクモーン自体のテーマにエンチャントがあるため、このセットには見るからに強そうなエンチャントがいくつか収録されている。《幽霊による庇護》はオーラであり、クリーチャーに絆魂と護法{2}を与えパワーを+1する。これだけでも戦闘面が有利になりそうな性能だが、さらにこれが戦場に出た時にクリーチャーを1体追放するという除去能力までついてくる!このオーラが戦場を離れると追放したクリーチャーは戻ってくる。クリーチャーに着けるオーラであるため捉えたクリーチャーは解放されやすいのだが、その弱みを補って余りある超強力な除去兼強化オーラだ。これが2マナというのは破格の性能で、スタンダードでもお声がかかるレベルじゃないかな。

 また、除去と言えば《続・食肉鉤虐殺事件》も見逃せない!黒マナ4つに{X}{X}というヘビーなコストが唱える難易度を上げているが、これは各プレイヤーにクリーチャーX体の生け贄を要求。自身のクリーチャーが死亡した際には3点のライフを支払えば最終カウンターを乗せて戦場に戻せる。相手のクリーチャーが死亡した際には相手が3点のライフを支払わなければそのクリーチャーを同じく最終カウンター付きでこちらのコントロール下で戻す、というお前のものは俺のもの精神が溢れた恐怖のエンチャントだ。名作エンチャントの続編に相応しい残虐っぷりがたまらない!

 

 また、今回のセットには新しいサブタイプとして部屋というものが登場。これを持ったエンチャントは2つのどちらかのモードを選んで唱える。戦場に出ることでその選ばれた部屋のドアは開放されたことになり、能力が誘発したりする。そして戦場に出た後に、もう片方のモードのマナコストを支払うと、そちらのドアも開放されたことになる。能力を誘発させたり常在型能力を得て、ゲームを有利に進められるというビックリ要素を備えたギミックだ。

 このドアの開放という行為もヴィクターの能力を誘発させるので、戦場に出ている部屋のドアを開放して複数回のヴィクター誘発を狙っていきたい。最も相性が良さそうな部屋は《大玄関》かな。この部屋のドアが開放されると、光霊というトークンが生成される。それはクリーチャーであると同時にエンチャントで、即ちこれ1枚でヴィクターを2連誘発させられるようになっている。セットで使えと言わんばかりだな。《優雅なる円形広間》へと進めばクリーチャーに+1/+1カウンターを乗せる全体強化も出来るので、光霊とヴィクターらを強化して一気に勝負を決めよう。

 こんな具合にヴィクターを軸としたオルゾフ・エンチャントも面白そうな予感がする。兎に角起用になんでもこなす、その安定感がこのカラーリングの強み。結果を残しているリストをベースに、新カードや既存のエンチャントなどを盛り込んで、色々と新しい形を試していきたいところだ。デッキの粘る力が強いため、新コンセプトにチャレンジするにはもってこいのオルゾフ。さあ、君だけのデッキを考えてみよう!

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