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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス・マウス:ネズミとは違うぞ、ハツカネズミ!(スタンダード)

岩SHOW
 
 

 ハツカネズミを全体強化する《岩山炎の後継者、メイブル》、そしてネズミを参照してサイズが上昇するネズミを呼び出す《情け知らずのヴレン》。相反する2色のこれらのネズミを見て、こう思われる方もいるだろう。

ネズミとハツカネズミ、なんで分かれてるんや!

 まあこれは自然なリアクションだよな。ネズミとハツカネズミ、シルエットも同じような生き物だし何が違うのか?ネズミの中にハツカネズミがいるんじゃないの?と。ここで動物解説の時間だ。日本語では同じもののように思えるこれらの動物だが、英語で表記するとRat/ラット(ネズミ)とMouse/マウス(ハツカネズミ)という具合にかなり響きが異なる。Ratというのはドブネズミやクマネズミといった、比較的大きなネズミの仲間が属するグループだ。分類上ではクマネズミ属/Rattusのネズミたちがラットと呼ばれている。対してハツカネズミ属は小さく、様々な捕食者に狙われる。繁殖力が高く生態系を支え、また様々な実験で人類の発展に大いに貢献してくれた尊敬すべき小さな英雄たちである。

 どちらもネズミ亜科に属するクマネズミ属とハツカネズミ属だが、これはどれぐらいの違いなのか?単純に比較できるものではないが、ヒト亜科にゴリラ属・チンパンジー属・ヒト属と含まれていることを考えると、ラットとマウスは僕らが思っている以上に近いようで遠い生き物なのかもしれない。何が言いたいかというと、マジックでこれらが別種としてカウントされているのには納得ということだ。

 ネズミは最古のセットより収録されているが、ハツカネズミは比較的新しいタイプなのでそれほどカード数は多くない。しかし『ブルームバロウ』では一気に主要なタイプとして、それこそ多産のハツカネズミを体現するように新カードがたっぷりと世に放たれた。先ほどの《岩山炎の後継者、メイブル》で全ハツカネズミを強化するデッキを組むことも可能になっている。スタンダードのマウスデッキ、環境理解も進んでその構成も固まってきたので、ここで紹介させていただこう。

perret - 「ボロス・マウス」
Magic Online Standard Challenge 32 トップ8 / スタンダード (2024年8月31日)[MO] [ARENA]
4 《戦場の鍛冶場
1 《魂の洞窟
4 《感動的な眺望所
5 《
4 《平地
2 《眠らずの露営
2 《岩面村
-土地(22)-

4 《心火の英雄
4 《花足の剣豪
2 《小癪な家ネズミ
4 《熾火心の挑戦者
4 《多様な鼠
2 《渓間の冒険呼び
3 《岩山炎の後継者、メイブル
-クリーチャー(23)-
3 《失せろ
4 《ショック
4 《弱者の力
4 《巨怪の怒り
-呪文(15)-
2 《エルズペスの強打
1 《災厄の追い返し
1 《失せろ
2 《イラクサの護衛
2 《ゴバカーンへの侵攻
1 《陽背骨のオオヤマネコ
3 《救済の波濤
1 《鉱炉と前線の剣
2 《髭谷の先駆け
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 小さなハツカネズミの大冒険、「ボロス(赤白)マウス」だ。マウスたちはお互いを助け合うカードが揃っており、メイブルのように数が揃うことで打撃力が上昇するカードたちを集結させてデッキを組むことができる。その最たるものが《多様な鼠》だ。ネズミ1体に二段攻撃かトランプルを与える。毎ターン攻撃前に誘発するので、最も大きなダメージを与えられるように能力の対象を選ぼう。この《多様な鼠》は新生能力でコピーして2体目を得ることもできる。2体並べば二段攻撃とトランプルの両方を1体のハツカネズミに与えて、一気に大ダメージを弾き出すこともできる。

 そしてハツカネズミ特有の能力・雄姿。各ターンに呪文や能力で最初に対象に取ると誘発するもので、《花足の剣豪》はこれにより全ハツカネズミのパワーを上昇させる。これも新生能力で2体並べられるので、《多様な鼠》で2体とも対象に取って一気に打点を引き上げることが可能だ。

 

 この雄姿は全体に関係するものと、ピンポイントで打点を高める《心火の英雄》とが用意されている。1ターン目英雄→2ターン目《多様な鼠》で雄姿を誘発させてサイズアップさせつつ二段攻撃で4点!という動きはシンプルにしてめちゃ強だ。この2ターン目までに対処できないと、もう手が付けられないぞ。《熾火心の挑戦者》も雄姿を持っており、これはライブラリーを追放してそれをプレイできるようにするもの。貴重なアドバンテージ獲得能力だ。この挑戦者の雄姿と、そして果敢を持っているのでこれらをまとめて誘発させるために《巨怪の怒り》と《弱者の力》が採用されている。トランプルを付けて、ハツカネズミがいればパワーも+1。さらにドローもついているので、手札を減らさずに攻めていくことができる。

 雄姿はクリーチャーを対象に取るという仕様のため、《切り崩し》などで簡単に妨害され得るので、これらの呪文を唱えるのにはリスクが伴う。簡単に1:2交換されてしまう可能性もあるが……隙を見つけて、あるいは覚悟を決めてて、雄姿を見せることに成功すれば……一気に勝利が目前に。ここはハツカネズミの小さな体に備えられた大きな心臓で勝負だ。

 ハツカネズミとネズミの違い、ちょっと伝わったなら幸いだ。どちらにも共通しているのは、小さな存在が群れを作れば脅威になるということ。そしてどちらのネズミたちも、人と密接にかかわりを持っている、我々の近くに住んでいる生き物だ。親しみのある、かわいい隣人。ハツカネズミとネズミでそれぞれデッキを組んで、げっ歯類最強決定戦をやってみるのも楽しいかもね!

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