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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
オルゾフ・ピクシー:しつこいくらいにねっとりいこう(スタンダード)
うーむ、ダメだ。マジック、上手くいかない。このゲームは長い期間をかけて遊ぶものであるため、誰にでも好不調の波がやってくる。いつも通りのことをやっても全く勝てない、そういう厳しさを体感することもある。そんな時には思い切って、普段と違うことをする。たとえば普段使うデッキが、カードパワーで押すようなものだったりコンボだったり……一撃の重さで勝負するデッキを好きな人。いるでしょう、いっぱいね。僕もそんなデッキを使うことが多いのだけれども、そういったデッキで勝てない時には……一見すると「あんまり強くなさそう」と思ってしまうような、1枚1枚のカードパワーは控えめ・それらの組み合わせで勝つデッキを使うようにしている。そしてその度に気付くのだ。本当に好きなのはこういう、システムを組み上げるようなデッキなんだろうなぁ……と。
2024年6月初週も、幾度となく繰り返してきたこの不調→本当に好きなデッキと向き合うという経験を重ねたのであった。そんな個人的なエピソードも絡めつつ、最近スタンダードでちょっとしたブームを起こしている「ねっとり」したシステム系デッキを紹介させていただこう!
4《コイロスの洞窟》 4《秘密の中庭》 4《砕かれた聖域》 4《眠らずの城塞》 1《魂の洞窟》 1《皇国の地、永岩城》 1《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 2《平地》 3《沼》 -土地(24)- 4《ひよっこ捜査員》 4《養育するピクシー》 4《ギラプールの守護者》 3《甦りし悪夢、ブレイズ》 1《クチルの側衛》 4《敵意ある調査員》 1《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(21)- |
4《望み無き悪夢》 1《強迫》 4《税血の刃》 3《忘却の儀式》 3《ヴェールのリリアナ》 -呪文(15)- |
3《強迫》 1《長い別れ》 3《危難の道》 1《ギックスの命令》 2《クチルの側衛》 2《安らかなる眠り》 1《黙示録、シェオルドレッド》 1《夜明けの空、猗旺》 1《機械の母、エリシュ・ノーン》 -サイドボード(15)- |
スタンダードの白黒デッキ、単に分類するだけならオルゾフのミッドレンジなわけだが……その一言で片づけるのは勿体ない、特筆すべきねっとり感がこのリストにはある。《ひよっこ捜査員》や《敵意ある調査員》などなど他のデッキでもお馴染みのスタンダードの顔的カードもあるのだが、デッキの大半は他のリストで目にすることの少ないクセの強いカード達の集まりだ。そういったカードだからこそ組めるシステムというものがあり、それらがもたらす体験は他では味わえない、マニア心を掴むものなのだ。
このデッキの肝は《養育するピクシー》だ。個人的にはこのアーキタイプは「オルゾフ・ピクシー」と呼びたいくらい、デッキの中心に位置するカードである。ピクシーの能力、パーマネントを手札に戻す。この対価を支払うことでピクシーは1マナにして2/2飛行となる……額面だけ見ればそれ相応のデメリットを背負うアクションではあるが、むしろプラスに用いることもできる。戦場に出た時に誘発する、各種パーマネントの能力を使いまわせるのだ。
というわけでこのピクシーデッキは様々なパーマネントを出し入れするのを狙うわけだが、その中でも最たるものが《望み無き悪夢》!1マナで対戦相手の手札を捨てさせる、まあこれだけ見ればちっぽけなエンチャントだ。捨てさせるカードは選べないので、相手は最も要らないカードを捨てるだけ。オマケでライフも1点失わせるが、それだけではこそばゆい程度のもの。しかしこれが2度続けば、ちょっと鬱陶しい。3度となれば、おいおいなんだよ。4度ともなればいい加減にしてくれ!とでも言いたくなる。手札は枯れるし、ライフも無視できない損傷を受けることに。ピクシーで上から殴りながらこの手札破壊を繰り返す。《敵意ある調査員》や《ヴェールのリリアナ》なども使いまわせば、対戦相手の手札を空っぽにすることは簡単だ。この嫌がらせっぷり、ねっとりしたものを感じるだろう。
相手がクリーチャーを展開するデッキであれば《税血の刃》もピクシーで使いまわす候補になる。クリーチャーを何度も生け贄に捧げさせて、攻め手を狩り尽くそう。刃は《貪る墓所》に変身させてねっとりじわじわライフを削るフィニッシャーにしても良い。あるいは悪夢共々戦場に残ったこれらを《忘却の儀式》のコストに充てて、対戦相手のパーマネントをさらに除去するのも気分が良い。力でねじ伏せる以外にも、こうやって小技の連打で相手の戦う術を潰していくという戦い方もある。このちょっとずつ追い詰めていく感覚が、大技デッキとは違う面白さに満ちているのだ。
ピクシー以外には《ギラプールの守護者》も刃やその他のクリーチャーを出し入れする手段であり、さらに戦場に残ったパーマネントは《甦りし悪夢、ブレイズ》の生け贄役も務める……1枚1枚が非力なカードが束になることでしか達せない、一つの境地がある。
この「オルゾフ・ピクシー」をプレイしていて再確認できたのは《眠らずの城塞》の強さ。ピクシーで攻撃、悪夢の出し入れで1点を刻むなど、意外にもこのデッキはいつの間にか相手のライフを一桁まで減らしていることが多々。そこに4枚投入した城塞が襲い掛かる!攻撃時に2点のライフを失わせるので、これで詰めていくのだ。クリーチャーのサイズで完全に負けていても、城塞のドレインで殴り合いをイーブンにもっていけるなど、オルゾフカラーのデッキを今後も強く支えていく土地なのだろうと強く実感。
さあ、梅雨の湿気がねっとりとまとわりつくように、対戦相手を一歩ずつ敗北に向かわせるデッキを組んでみよう。そういうのを普段やらないという人も、スランプに陥った際には気分転換も兼ねてプレイしてみてね。
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