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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
とことん!スタンダー道!パイオニアからもいらっしゃい、ボロス・ヒロイック(スタンダード)
マジック、なにやってる?
僕らの愛するこのゲームは、同じプレイヤーの間で「なにやってるんですか?」のような質問が交わされる、不思議な世界だ。一口にひっくるめれば全部マジックだが、その中に色々なものが内包されている。カジュアルフォーマットかリミテッドか、あるいは構築か……構築の中にも何種類ものフォーマットが用意され、それぞれに競技レベルの大会が開催されている。「私もマジックやってますよ!」「そうなんですね!」では終わらない。その中でなにを主にプレイしているのか、このへんの会話に至るはずだ。
いつもスタンダードの話ばかりの「とことん!スタンダー道!」らしからぬスタートになったのには理由がある。『サンダー・ジャンクションの無法者』には2色のマナを加えられる5種類のレア土地が収録された。これらはファストランドというサイクルに分類される。コントロールしている土地の枚数が少ない、早い(ファスト)ターンであればアンタップ状態で戦場に出せる。ゲームが長引くと足を引っ張ることもあるが、早いデッキにおいてはデメリットをほとんど感じずに運用できる便利土地として、初登場時から多くのプレイヤーに愛されている。
今回のファストランドは再録という形であり、パイオニアでは定番の土地が再びパックから登場することになった。今までパイオニアに参入する機会をうかがっていたプレイヤーにとっては朗報だね。手に入りやすくなった定番カードで、スタンダードをメインで遊んでいたプレイヤーがパイオニアへとデビューを……という流れもそれなりにあったんじゃないかなと。
そして今回このコラムで提唱したいのは、この逆。既に長くパイオニアをやっているプレイヤーであれば、ファストランドを持っていることだろう。現スタンダードにはこれ以外にもパイオニアの範囲であれば、色マナを加えればプレイヤーにダメージを飛ばしてくるダメージランドやペインランドと呼ばれるサイクルも使用可能になっている。パイオニアでも使われているこれらのレア土地でマナ基盤を作れるので、最近スタンダードやっていなかったというプレイヤーにもスタートしやすい環境になっているのではないかなと。そしてちょうど都合の良いことに、パイオニアのデッキコンセプトをスタンダードに移行させたものも存在している。「ボロス(白赤)ヒロイック」のスタンダード版、パイオニア・プレイヤーの心に響くことを願って……いざ!
とことん!ヒロイック!
4《戦場の鍛冶場》 4《感動的な眺望所》 3《日没の道》 1《皇国の地、永岩城》 1《反逆のるつぼ、霜剣山》 2《平地》 4《山》 -土地(19)- 4《僧院の速槍》 4《精鋭射手団の目立ちたがり》 4《逃走する暗号破り》 4《照光の巨匠》 -クリーチャー(16)- |
3《火遊び》 4《ロランの脱出》 4《農家の勇気》 4《祖先の怒り》 4《巨怪の怒り》 4《悪魔の大騒動》 2《熊野と渇苛斬の対峙》 -呪文(25)- |
2《救済の波濤》 3《失せろ》 2《祭典壊し》 3《石術の連射》 1《未認可霊柩車》 4《ウラブラスクの溶鉱炉》 -サイドボード(15)- |
ヒロイックとは英雄的という能力のこと。自身が唱えた呪文の対象となることで誘発し、何らかのボーナスを受け取れるクリーチャーというデザインだ。英雄的を持つクリーチャー、そしてそれに近い能力持ちをデッキの主軸として、軽いインスタントやソーサリー、エンチャントを連打して大ダメージを狙いに行く……これがパイオニアの「ボロス・ヒロイック」。このヒロイックの中核を成すクリーチャー、その多くはスタンダード環境でも使用可能なのである。1マナ圏の要《僧院の速槍》をはじめ、英雄的チックな能力で謀議を行う《照光の巨匠》、そして最近ヒロイックに加入したドロー源《逃走する暗号破り》……スタンのクリーチャーって優秀なんだなと改めて実感するね。ここに今を時めく《精鋭射手団の目立ちたがり》も加われば、本家パイオニアに勝るとも劣らないラインナップの完成だ。
果敢持ちと目立ちたがり、そして二段攻撃持ちの巨匠。これらの能力を軽量呪文で誘発させ、瞬間的に大ダメージを発生させて一気に押し切る。これがヒロイックデッキの基本だ。フォーマットが変わってもそこは変わらない。《農家の勇気》や《祖先の怒り》など、軽い上に一度だけでは終わらないような呪文、そして《ロランの脱出》のようなクリーチャーを除去から守れるインスタントが望ましい。対戦相手がタップインの土地を出したり、自分のやりたいことを優先したり…そういった隙はゲーム中に必ず生じるもの。そこを逃さずに、呪文の連打でパワーを上げて、ぶん殴る!この分かりやすさが良い、実に良い。ヒロイックを名乗るに恥じないものだ。細心の注意を払いつつも時に大胆に《巨怪の怒り》でダメージを増大させる。このあたりの駆け引きはこれぞまさしくマジックの醍醐味というやつだ。
《巨怪の怒り》と共にトランプルを与えることでダメージを与えやすくするのが《悪魔の大騒動》。これは威迫も与えるので、ブロックをする難易度も上がる。その上でパワー/タフネスにも修整を与えてくれて、このエンチャントが墓地へと落ちれば1ドローもついてくる。これだけでも強いのだが、1ターン目に計画しておくことで後に0マナ呪文になるというのが……メチャ強!これで巨匠からの3ターン目に決着という展開も現実味を帯びる。今後のスタンダードではこれを使ったヒロイック的なアグロデッキと遭遇することを常に念頭に置いておきたい……置いてたところでブン回るとどうしようもないくらいの破壊力を持ってるのがこのデッキなんだけどもね。
イゼット(青赤)の場合
4《シヴの浅瀬》 4《尖塔断の運河》 2《嵐削りの海岸》 1《眠らずの尖塔》 2《スランの門》 1《ミレックス》 1《天上都市、大田原》 1《反逆のるつぼ、霜剣山》 2《島》 2《山》 -土地(20)- 4《僧院の速槍》 4《帳簿裂き》 4《精鋭射手団の目立ちたがり》 -クリーチャー(12)- |
4《手練》 4《考慮》 4《稲妻の一撃》 2《魔女跡追いの激情》 3《巨怪の怒り》 3《悪魔の大騒動》 1《呪文貫き》 4《熊野と渇苛斬の対峙》 1《プロフトの映像記憶》 2《タルキールへの侵攻》 -呪文(28)- |
1《削剥》 2《石術の連射》 1《焦熱の射撃》 1《抹消する稲妻》 2《兄弟仲の終焉》 2《否認》 2《未認可霊柩車》 4《ウラブラスクの溶鉱炉》 -サイドボード(15)- |
《感動的な眺望所》《戦場の鍛冶場》を所持しているのであれば上記のヒロイックがオススメだが、青赤系の土地を所持しているのなら……こういうデッキもあるよとオマケで紹介。《手練》《考慮》と1マナドローの連打で果敢と目立ちたがり、そして《帳簿裂き》を誘発させていく。さながら《弧光のフェニックス》デッキのようでもあり、ドローを唱えまくるのが好きなプレイヤーにはこちらもオススメだ。
スタンダード・プレイヤーにパイオニアが勧めやすいのと同様に、パイオニア・プレイヤーにもスタンダードを勧めたい。とことんスタンダードをプレイして、強くなる!フォーマットの垣根を越えて活躍するカードを手に、今こそ皆でスタンやろうぜ!それじゃあファストランドとダメージランドを引っ張り出して……どこにしまってたかなぁ…。
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