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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!驚愕のコンボ、ラクドス巨体変異(スタンダード)

岩SHOW

春の風物詩がキタァァ!

 良いものもくれば、良くないものもやってくるのが春。何かって?黄砂だよ!空が砂に覆われる……年に数度遭遇するアレだ。春の日、遠くの空がもやがかかって見えたら、それが黄砂だ。これはタクラマカンやゴビといった遠く遥か彼方の砂漠から、砂や鉱物やその他いろいろな成分が風に乗って運ばれてくる現象のことだ。いや距離にしてどんだけ離れてるねんと思ってしまうが……砂などが数千メートル上空まで巻き上げられ、それが海を越えて日本までやってくるのだという。地球ってすげぇなぁ、スケールが違うよ……。

 僕はジムに行くのが趣味の一つで、特に人が少ない深夜帯に汗をかきに行くのだが……天気予報の空気汚染度はめちゃ高いことに。こんな夜は家にこもって、スタンダードでもやるに限るな!というわけで地球の壮大なスケールに負けず劣らず、様々なカードが織りなすドラマが繰り広げられるスタンダード。このフォーマットをこよなく愛する者。これから挑みたいと思っている人たち……皆でスタンダードという険しくも楽しい道を歩んでいく、これをモットーにした道場的コラム、「とことん!スタンダー道!」今週も始動だ!

春の夜を彩るのはコンボ

 さて、黄砂でスッキリしない夜には……何か気分爽快なデッキをプレイしたくなる。となるとコンボだな。『サンダー・ジャンクションの無法者』のリリースを迎え、カードもゴリッと増えたスタンダード。コンボもさぞや面白いものが生まれたことだろうと思っているそこのあなた。ビンゴ!残念な夜を吹き飛ばしてくれる、希望の光のような素敵なコンボに遭遇したので、皆にも共有させてもらうぞ!

MTG Creative Combos - 「ラクドス巨体変異」
スタンダード (2024年4月17日)[MO] [ARENA]
4《行き届いた書庫
4《アダーカー荒原
4《金属海の沿岸
4《さびれた浜
1《皇国の地、永岩城
1《天上都市、大田原
2《平地
4《
-土地(24)-

4《錠前破りのいたずら屋
2《ファラジの考古学者
2《帳簿裂き
4《巨体変異
-クリーチャー(12)-
4《異世界の凝視
4《航路の作成
4《信仰の繕い
4《第三の道の創設
4《アブエロの覚醒
4《ラクドスの加入
-呪文(24)-
X より引用)

 

 このリスト、一目見て何がしたいのか理解できたらあなたも普段から独特なカードを愛でているコンボオタクなことだろう。これは実際に動いているところを見るまで、僕にはよくわからなかったことを白状しておこう。なんの自慢にもならないが、それだけこのデッキの発想はずば抜けたものだ。

 《錠前破りのいたずら屋》や《第三の道の創設》など、切削や諜報を行うカードがやたらと盛り込まれている。ここにデッキの狙いが込められているのは明白だ。《航路の作成》《信仰の繕い》と手札を捨てるカードも揃っているため、とにかくキーカードを墓地に落とすことを狙っているのが伝わってくる。

 というわけでキーカードを明かそう。コンボ始動のスイッチは《アブエロの覚醒》!墓地のアーティファクトやエンチャントを、クリーチャーにしてリアニメイトするというかなり変則的なソーサリーだ。X呪文でもあり、支払ったマナが大きければ大きいほど、スピリットと化したそのパーマネントのサイズも上がる。マナ総量が大きなパーマネントを釣り上げてそのカードパワーで圧倒する使い方はイメージしやすいが……今回のリストでは重要なのはクリーチャー化させるという点。ここが重要で、他のカードでこの代役は果たせないのだ。

 この《アブエロの覚醒》でクリーチャー化させリアニメイトするのは、《ラクドスの加入》!まさかのチョイス。このデッキの土地を見れば一目瞭然、このデッキは《ラクドスの加入》を唱えるつもりは一切ない。覚醒でスピリットにすることしか狙っていないのだ。

 クリーチャーとなって戦場に出た《ラクドスの加入》は能力が誘発、墓地からクリーチャーをこれまたリアニメイトすることに。それで戻すのが……こんなカードよく思いついたなぁ(賛辞)。《巨体変異》だ。このクリーチャーは戦場に出る際に、すでに戦場に居るクリーチャーのコピーになれる。これで《ラクドスの加入》のコピーとして戦場へ出す。すると……《ラクドスの加入》は伝説のサブタイプを持っている。巨体はこれのコピーになるため、同じ名前の伝説が2体並ぶことに。コピーの方の《ラクドスの加入》の能力が誘発するより先に、まずこの伝説2体の問題が解決される。1体しか存在できないのでどちらかを墓地に送ることになるのだが、この時コピーの方を選択する。すると《巨体変異》が墓地にある状態で、コピーの加入によるリアニメイトが誘発。これの対象として今しがた墓地に落ちた巨体を選ぶことが可能だ。なので即リアニメイト。あとは同じことを繰り返す。

 《ラクドスの加入》には伝説のクリーチャーが死亡する度に、そのパワー分のダメージを対戦相手に与えるという能力も書かれている。つまり上記の《ラクドスの加入》コピーを墓地に置いた時、加入2枚それぞれの能力が誘発する。加入により+1/+1カウンターが2個乗った《巨体変異》によるコピーのパワーは9。なのでこれが2回誘発して計18点分。そしてこのループを、相手の妨害さえなければ望む数だけ繰り返せる。相手のライフが0になる数だけダメージを誘発させたら、後はそれらを解決して勝つために《巨体変異》をコピーではなく素のまま戦場に出すことを選ぶ。あとは9点ダメージが雨のように、いや、風に巻き上げられた砂のようにどこからともなく降り注ぎ、対戦相手のライフは無に帰すことに。

 いやぁ、凄まじいコンボだ。一度動いているところを目にすれば、その原理を理解できるのだが……最初にこのコンボを思いついた人は本当にすごい!着眼点が違うよなぁ。マジックを、スタンダードを全力で楽しむという姿勢あってこその発見なんだろうな。敬意をこめて拍手しつつ…我々も負けていられないッ!いやぁ、やる気出てきたなぁ。じゃあガッツリとスタンダード、やりこみますか。予定は狂ったが、これもまた恵みと受け取ることもできるかな。視点を変えて、カードの真価を見抜こうじゃないか。

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