READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

機械巨人型独創力:《推理》の強み(パイオニア)

岩SHOW

 《推理》というカードは強い。コモンと侮るなかれ、このインスタントは歴代の同様のカードと比較しても、かなりイイ線をいっている。2マナで1ドロー、これだけだと所謂サイクリングなどと形容される、手札が増えないドローだ。呪文を唱えることで誘発する能力、ライブラリーの圧縮などを手札を減らさずに行える。不可でもないが可とするにはやや弱い。そこに調査を行うという一文が加わるだけで、一気に化ける。調査とは手掛かり・トークンを生成すること。このトークンは{2}支払って生け贄に捧げることで1ドローできる。つまり《推理》とは実質的に計4マナ使って2ドローするというインスタントなのである。

 こうなると1枚の手札が2枚に増えているので、アドバンテージを獲得できている。4マナあれば一気に2枚引きに行っても良いし、あらかじめ《推理》を唱えておいて余裕がある時に後から手掛かりのドローを回収しても良い。実に柔軟な使い方ができて、単純に4マナで2ドローと書かれたインスタントと比較しても《推理》が上回っていると言えるだろう。

 さらに手掛かりというトークン、単にドローとしてだけでなくアーティファクトであることもその強さに拍車をかけている。アーティファクトを参照するカードの多いことったら、ね。《電圧のうねり》や《鬼流の金床》などのアーティファクトの生け贄を要求するカードにとって、《推理》で手札を減らさずに得た手掛かりは格好の餌となる。気軽に生け贄として使って、それらのカードを活かす。あるいは素直にドローする。この臨機応変さが嬉しい。

 アーティファクトをクリーチャー化させる《生命ある象形》などで戦力に変換するのもうってつけだ。何せ1ドローしているので手札が減っていない、リスクを恐れずに遠慮なくこういった呪文や能力の対象にしてやろう。アーティファクトを使うデッキにとっても《推理》は一考に値するのだ。

 さらにはトークンを生成することに注目すれば、《倍増の季節》などがあれば本来1枚で2ドローできる《推理》が……それ以上に手掛かりを得て、もっと強烈にアドバンテージを稼いでくれる可能性も。手掛かりというサブタイプを参照するタイプのカードとの組み合わせも面白い。《不屈の追跡者》や《アカデミーの整備士》がハッスルする光景……見てみたい。

colesmith - 「イゼット独創力」
Magic Online Pioneer League 5-0 / パイオニア (2024年4月3日)[MO] [ARENA]
4《蒸気孔
3《シヴの浅瀬
4《嵐削りの海岸
2《轟音の滝
4《河川滑りの小道
1《ミレックス
1《ストーム・ジャイアントの聖堂
1《天上都市、大田原
1《反逆のるつぼ、霜剣山
1《
2《
-土地(24)-

4《奔流の機械巨人
-クリーチャー(4)-
4《推理
4《厳しい授業
3《プリズマリの命令
3《塔の点火
2《焦熱の衝動
2《かき消し
1《否認
1《呪文貫き
1《イゼットの魔除け
4《マグマ・オパス
1《崇高な天啓
4《不屈の独創力
2《鏡割りの寓話
-呪文(32)-
2《霊気の疾風
2《神秘の論争
2《引き裂く流弾
2《神々の憤怒
1《通電
1《ヴァラクートの涙
1《アクロス戦争
1《許可なき脱出
1《軽蔑的な一撃
2《サメ台風
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 そんな《推理》の加入で湧いているのが、パイオニア環境の《不屈の独創力》デッキだ。このソーサリーはクリーチャーやアーティファクトを破壊し、その数だけライブラリーから公開された同タイプのカードを戦場に出すという、混沌で豪快な1枚。クリーチャーやアーティファクトをごく少数デッキに採用し、それらのトークンを生成するカードをたっぷりと用意。それらのトークンを対象に独創力を唱えることで、狙った大物を確実に戦場に出すというコンボは、パイオニアでも高い人気と実績を誇っている。赤をメインとし、コンボを支えるための打ち消しなどで青を足すことが一般的な独創力。

 その構成に《推理》はまさしく願ったりかなったり。これの手掛かりを対象に《偉大なる統一者、アトラクサ》を叩きつけたり、他のトークンも巻き込んで《世界棘のワーム》《歓楽の神、ゼナゴス》と並べて一撃必殺を叩き込んだり……

 いくつかのゴールを持つ独創力コンボだが、その中でも個人的に好みなのが今回のリスト、機械巨人型だ。独創力で戦場に出すのは《奔流の機械巨人》。他の面々に比べるとちょっとインパクトに欠けるかもしれない。しかしこれがやりよるのだよ。

 墓地からインスタントをマナ不要で唱えられるため、墓地に重い呪文があればとてつもないことを起こせる。そこで狙うのが《マグマ・オパス》だ。このインスタント、8マナと重いだけあって結構ハチャメチャなことをしでかす。焼いて寝かせて引いて生成して……対戦相手とアドバンテージ差が大きくつく。オパスは自身の能力で手札から捨て、宝物を生成することができる。これで能動的に墓地に落とし、かつ機械巨人を唱えるためのマナも提供。また手札から唱えず、この宝物を対象にして独創力を唱えてもOKと、そんな作りになっているわけだ。このコンボを完成させるためのパーツ集めのドローであり、また独創力の餌にもなる《推理》。待望の1枚というのがよくわかってもらえただろう。

 僕が個人的にこのタイプの独創力が好みな理由は、機械巨人が手札に来ても問題なく唱えられる範囲のマナコストであるからだ。独創力でしか出せないようなクリーチャーをゴールに設定すると、それが手札に来てしまった時にライブラリーに戻すためのカードなども採用しなければならず、どうしてもデッキパワーが下がりがち。ここで独創力でコンボ決まった!というターンのドローがワームでげんなり、というような事態も機械巨人型では起こりにくい。ただ単に機械巨人の水増し感覚で独創力を採用している、と解釈した方が正しいのかもしれない。

 なので、サイド後はよく独創力を減らして、コンボというよりコントロールとして立ち回る。相手の動きを除去や打ち消しで捌きつつ、アーティファクトを生成するため採用されている《ミレックス》などで、普通に殴って勝つというわけだ。このサイド後のゲームをやっている時が楽しい。コントロールプランと噛み合うのが《崇高な天啓》で、これ単体でも状況にハマればめちゃ強。これのクリーチャーのコピーを生成するモードで機械巨人をコピれたら……そのコピーがそのまま天啓を再利用して、さらに機械巨人が増えて相手のパーマネントが手札に戻って、滅茶苦茶なことになる。独創力からの機械巨人→天啓を墓地から唱えて2体目の機械巨人→オパスという大逆転ムーブも起こり得る、本当に気持ち良いデッキなのだ。

 さあ、皆も《推理》を使ってみよう。このカードを単に便利なドローとするか、それとももっとそのポテンシャルを引き出すか。どう使うかは自由だが、どうやったってこのカードは役に立ってくれるはず。ちょっと軽くてデッキがスムーズに動く呪文が欲しいな…と思っているなら、《推理》を採用することからはじめてみよう!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索