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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

青単の少数精鋭、どうやって守る?(スタンダード)

岩SHOW

 「少数精鋭」ってカッコいいよな。大きなチームで凄いことを成し遂げるのもとても素敵なことではあるけども、映画などでごく限られた精鋭達が手を組んで物事を解決していくストーリーにはグッとくる。1人では心細く、メンバーが多すぎると全体で何が起きているのかぼやける。少数精鋭で多勢を打ち倒す!憧れちゃうな。

 マジックでも少数精鋭が活躍すると心を揺さぶられる。全体の使用者数が少ないデッキが優勝したり、大規模調整チームに対して友人ら数名で調整したプレイヤーが奮闘する光景などは何かこう精神の昂揚を感じさせてくれるのだ。デッキの話で言えば、ごく限られたクリーチャーで戦うデッキは、多数のクリーチャーを搭載したデッキとはまた異なる魅力を備えている……そう思わないかい?

 スタンダードにおいては青単などがまさしく少数精鋭で戦うデッキだ。墓地のインスタントとソーサリーの枚数を参照する《傲慢なジン》と《トレイリアの恐怖》。いずれも低コストで高い打点に繋がる可能性を秘めている。ジンのパワーを上げ、海蛇のコストを下げるためにインスタントとソーサリーを大量にデッキに詰め込む。ジンの能力でこれらのマナを軽減して、手数で勝負する。それが青単の基本理念であり、そのためにデッキにはジンと恐怖以外のクリーチャーは極力採用しない、少数精鋭スタイルで戦うのが定番だ。

 ただ、いかに精鋭と言えども少数だと問題が生じることは想像に難くないだろう。まず、デッキ内にクリーチャーが少ないとそれを引けない可能性が高い。打ち消しやバウンスで相手を妨害することのできる青単だが、いつまでもそれをやり続けることは不可能である。どこかで自分も攻勢に躍り出る必要がある。少数のクリーチャーを引けずにダラダラやっていると、負けてしまう可能性が高まる。

 その点青単は安心できるもので、《考慮》や《情報集》で墓地をカードで満たしながらこれらのキーカードを掘りあてることが可能だ。《知識の流れ》のように大量にドローする術も備えているので、ゲーム中に1枚も精鋭クリーチャーを引けずに負け、という展開はそうそう起こらないはず(あるにはある、運がない日もあるさ!)。ただ問題は、引いてきたクリーチャーを簡単に対処されてしまう危険性。可能な限りは《否認》などの打ち消しを構えられるときにクリーチャー展開をしたいものだが、100%それができるほどゲームは甘くはない。どこかで除去が来るというリスクと対峙しなければならないし、そもそも手札から捨てさせられたり打ち消されたりすることも。少数精鋭の弱点はわかりきってはいることなので、なんとかこれを乗り切る工夫をデッキに盛り込みたいところ。では、そのアンサーを備えた青単のリストを見ていただこう。

Xafon13 - 「青単テンポ」
トーナメント(28人規模) トップ4 / スタンダード (2023年1月9日)[MO] [ARENA]
20 《
1 《天上都市、大田原
-土地(21)-

4 《傲慢なジン
4 《トレイリアの恐怖
1 《船砕きの怪物
-クリーチャー(9)-
4 《考慮
4 《情報収集
3 《発見への渇望
3 《知識の流れ
3 《消えゆく希望
3 《渦巻く霧の行進
3 《かき消し
2 《否認
2 《散乱光
1 《呪文貫き
2 《悪賢い隠蔽
-呪文(30)-
2 《ウィークストーンの支配力
2 《青の太陽の黄昏
2 《組立分解
2 《軽蔑的な一撃
1 《カーンの酒杯
2 《真髄の針
2 《未認可霊柩車
2 《アージェンタムのマスティコア
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 打ち消しとドロー、そしてクリーチャーに対する時間稼ぎであるインスタントを備えた、青単らしい構成のリストだ。クリーチャー2種8枚にプラスして《船砕きの怪物》が1枚足されている。合計9枚、これぞ少数精鋭。インスタントを構えながら動き、隙があれば精鋭を戦場に送り出し、そのまま優位な状況を維持しながら殴り勝つ……という理想のゲーム展開。これを護るためには、対戦相手のクリーチャーへの対抗策が役立つことも。

 《消えゆく希望》は対戦相手のクリーチャーを手札に戻す減速手段であり、戻したクリーチャーを受けすことで実質的に除去になったりする。これをいざという時は自身のクリーチャーに撃ち込んで、カード1枚を消費する形にはなっても貴重な戦力を失わないように守護するのである。ある意味、除去に対する打ち消しのようなものだ。《渦巻く霧の行進》は対戦相手のクリーチャーを複数体フェイズ・アウトさせて攻撃を防ぐこと、あるいはこちらの攻撃を強引にねじ込むための攻めの手段にもなる。そして時には自身のクリーチャーをフェイズ・アウトさせて除去を耐え忍ぶ……非常に柔軟なインスタントで、これを上手く使うことがこのデッキで勝つための近道である。青単を極めたいなら、行進の存在を強く意識してプレイすると、達人に一歩近づけるかも。

 戦場に出たクリーチャーを護るためなら上記のカードでOKなのだが、捨てさせられたり打ち消されたりといったアクションには……基本的には打ち消しで対処する。それでもクリーチャーを護れずに、あるいは除去を撃ち漏らしたりして墓地にいってしまったら……回収しよう!

 《悪賢い隠蔽》はちょっと重めの打ち消し。ジンがいれば3マナにはなるが、それでも他の打ち消しよりはマナがかかる。それにはわけがあって、墓地の4枚のカードをライブラリーに戻してシャッフルするというオマケが付いている。これで貴重なクリーチャーを回収し、また引いて再展開!能動的に使えるわけではなく、戻したものを再度引けるかどうかはわからないが……それでも可能性が繋がるというのは重要だ。0じゃない、希望があることは何より素晴らしい!

 サイドボードには追加のクリーチャーである《アージェンタムのマスティコア》が。シブいチョイスだ。マスティコアと名のつくカードのお約束でアップキープに手札1枚を捨てるという維持コストがかかるが、それを支払ったら対戦相手のパーマネントを破壊できるチャンスが。捨てたカードのマナ総量以下のものに限られるので状況は限定的かもしれないが、それで相手の切り札に対処できたら……めちゃ気分いいだろうな。

 少数精鋭で戦う青単、クセはあって扱いこなすには慣れが必要なデッキだが……少数精鋭の仲間入りがしたくなったら、皆もこのテクニカルなデッキを練習しようぜ!

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