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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
イゼット・ウィザード:アリーナの新王者、降臨!(ヒストリック)
先日、今年度のアリーナ・チャンピオンシップが開催された。各種予選を勝ち抜くなどして権利を持った世界中のプレイヤーらによる、MTGアリーナ最強決定戦だ。今年は32名のプレイヤーが招待される形に。もちろん賞金も用意されており、ハイレベルな競技イベントだ。
フォーマットは『エルドレインの森』を用いたドラフト、そして構築戦とプロツアーや世界選手権と同じ混合方式。そしてこの構築フォーマットにMTGアリーナらしさが溢れるチョイスがなされている。ヒストリックだ。歴史的という意味のフォーマット名通り、アリーナ内に実装されているすべてのセットが使用可能。そしてこのフォーマット用の特殊な再録カードも用意されており、さらにはアリーナ上にのみ存在するデジタル限定カードや能力調整カードなどもあり、モダンやレガシーなどとは一風異なるデッキをプレイすることができる。アリーナ最強を決めるにはおあつらえ向き、ヒストリックを極めし者がアリーナの王となる!
テーブルトップ(紙のカード)での世界選手権に続き開催されたトーナメントで、デジタル世界の王者となったのは……日本の齋藤慎也選手!日本からアリーナ最強のプレイヤーが誕生した。おめでとうございます!そんな王者が選択したヒストリックのデッキは……
4 《蒸気孔》 4 《尖塔断の運河》 3 《焦熱島嶼域》 4 《河川滑りの小道》 2 《バグベアの居住地》 1 《天上都市、大田原》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《島》 -土地(20)- 4 《損魂魔道士》 4 《A-対称の賢者》 4 《戦慄衆の秘儀術師》 3 《戦闘魔道士の隊長、バルモア》 -クリーチャー(15)- |
4 《手練》 4 《表現の反復》 2 《火遊び》 1 《絞殺》 1 《無謀な怒り》 1 《棘平原の危険》 4 《魔術師の稲妻》 4 《アノールの焔》 4 《無謀なる突進》 -呪文(25)- |
1 《湧き出る源、ジェガンサ》(相棒) 1 《呪文貫き》 1 《トーモッドの墓所》 2 《未認可霊柩車》 2 《霊気の疾風》 1 《絞殺》 1 《無謀な怒り》 2 《兄弟仲の終焉》 2 《真髄の針》 2 《瞬唱の魔道士》 -サイドボード(15)- |
「イゼット(青赤)ウィザード」!その名の通りウィザード・クリーチャーを主役としたアグレッシブなデッキだ。冷酷さと激情を併せ持ったカラーリング通り、スマートでありながらも野蛮な攻めを見せる、マジック上級者に好まれる類のアーキタイプだ。
青と赤の主要なクリーチャー・タイプであるウィザードの中でも、ヒストリックにおいて特に強力なのが《対称の賢者》!このカード、紙に印刷されたものはインスタントorソーサリーを唱えると対象のクリーチャーの基本のパワーを2にする。賢者自身はパワー0なので、呪文1枚でパワー2の飛行として運用できるという寸法だ。自分以外のクリーチャーも対象に取れるので、味方らをパワー2に成長させて面で攻めるという戦い方もできる。このカード、アリーナのヒストリックにおいては調整版のものを使用することになるのだが……なんと、同じ条件で誘発する能力で変更する基本のパワーは3に!そしてタフネスも3に上昇している。これはもう完全に別物、3/3飛行になるのは超強力だ。何でもないインスタントやソーサリーに3点分のダメージ、例えるなら《稲妻》1枚がオマケでついてくると言えばそのすごさは伝わるだろうか。この強化により成立し、ヒストリックの顔とも呼べるデッキについてさらに見ていこう。
賢者で強化を狙う他のウィザードは……《損魂魔道士》をはじめ《戦慄衆の秘儀術師》《戦闘魔道士の隊長、バルモア》といずれも2マナ以下。この軽い連中を用いて、最序盤からクリーチャーを出しつつも軽い呪文を唱え、賢者での打点を作っていく。落ち着きならがらも勝負所ではフルスロットルなガンガン攻めるデッキである。
《戦闘魔道士の隊長、バルモア》は、賢者と同じ誘発条件で全てのクリーチャーのパワーを+1し、トランプルも与える。賢者は基本のパワーを3に変更するという能力なので、バルモアと一緒に誘発させれば打点はしっかりと伸びる。《損魂魔道士》の果敢も含め、インスタントとソーサリーでとにかくウィザードの能力を誘発させる。これがウィザードの流儀だ。
これらの打点系ウィザードとは異なる、曲者枠が《戦慄衆の秘儀術師》。攻撃時に墓地にある、自身のパワーよりもマナ総量が低い呪文を唱えなおせる凄腕ウィザードだ。この秘儀術師、パワーを参照するってことは……そう、賢者やバルモアによりパワーを上昇させることで、大変に気持ち良くなれるってこと!ウィザードはいずれも小粒でありながら、爆発力は他のタイプに負けない、イヤ上回る強靭さを持っているッ!
賢者以外にもクリーチャー陣をウィザードで固めることで、恩恵を得られる後世にしてあることは言うまでもない。《魔術師の稲妻》は本来3マナのインスタントだが、ウィザードがいれば1マナにまで軽減される。1マナ3点、これまた《稲妻》ではないか。序盤の除去に使って良し、対戦相手本体に打って良し。
そしてヒストリックに『指輪物語:中つ国の伝承』含まれていることを活かして《アノールの焔》も採用されているのが、アリーナらしくて良いじゃないか。この3マナのインスタントは3つのモードを持ち、ウィザードをコントロールしていればその中から2つのモードを選ぶことが可能となる。2枚ドロー・アーティファクト破壊・クリーチャーに5点ダメージ……どの組み合わせでも、カード1枚で2枚分の働きをさせることが出来てメチャお得。対戦相手のゲームプランをこれで崩しつつ、賢者らウィザードで攻め立てていくのだ。
ウィザードデッキの肝と言えるのはカードを引くドロー源。果敢や賢者の能力を誘発させつつ、攻め手を途切れさせないにはこの役目を担うインスタントやソーサリーが外せない。《アノールの焔》の2枚ドローに加えて、ヒストリックと言えばこの1枚、《表現の反復》!カードを1枚手札に加え、1枚を追放してそのターンの間唱えられる。変則的ではあるがカード1枚が2枚分に増える、たった2マナでこの恩恵が受けられる超強力ソーサリーだ。20枚と切り詰めた土地をこの反復から探し当てて、キッチリと毎ターンの手数に繋げていく。
反復とアノールは2&3マナと、このデッキにとっては大振りとなる。なので1・2ターン目に唱えられる1マナ以下のドローもしっかりと準備しておくとデッキの安定感が増す。《戦慄衆の秘儀術師》からも安定してアドバンテージが得られるというものだ。このリストで選ばれた1マナドローは《手練》!『エルドレインの森』からアリーナに加わった新戦力を採用した形だ。ライブラリーの上2枚を見て1枚手札、1枚は底に送る。判断力が問われる1枚であり、2択から状況に適した1枚を見定める眼力があれば、このカードに注いだ1マナを勝利へと直結させることができる。練習を積めば積むほどこの《手練》のポテンシャルを引き出せるので、毎日兎に角プレイを重ねて、文字通りのウィザードの手練れを目指そう。
アリーナの王者を生んだ「イゼット・ウィザード」。パワフルさとテクニック、マジックの楽しさが詰まったヒストリックの王、君にも使いこなせれば……玉座のへの道が見えてくるだろう。
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