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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

横綱コンボ!5色独創力(モダン)

岩SHOW

 遂に今週末は……「プロツアー・指輪物語」ッッ!『指輪物語:中つ国の伝承』リリースに伴うプロツアーのフォーマットはモダン(とドラフト)、同セットの新カードが加入し沸騰中の環境で行われる激闘を刮目せよ!

 というわけで当コラムでもモダンのデッキを紹介!今回は同イベントにおける本命デッキの一つを取り上げよう。このプロツアーのデッキ分布を予測するうえで格好のサンプルとなるのはやはり300名を超すような大型トーナメント。先月末に千葉で開催されたオープンイベントはまさにうってつけ。新カード参入直後のこのトーナメントで優勝したのは……。

Kawai Reo - 「5色独創力」
プレイヤーズコンベンション千葉 2023 モダンオープン 優勝 / モダン (2023年6月24日)[MO] [ARENA]
4 《沸騰する小湖
4 《乾燥台地
3 《樹木茂る山麓
1 《血染めのぬかるみ
1 《ザンダーの居室
1 《ケトリアのトライオーム
1 《ジェトミアの庭
1 《血の墓所
1 《蒸気孔
1 《聖なる鋳造所
1 《踏み鳴らされる地
1 《耐え抜くもの、母聖樹
4 《ドワーフの鉱山
1 《
-土地(25)-

3 《残虐の執政官
1 《偉大なる統一者、アトラクサ
-クリーチャー(4)-
3 《稲妻
2 《虹色の終焉
4 《力線の束縛
4 《呪文貫き
1 《方程式の改変
2 《プリズマリの命令
4 《不屈の独創力
4 《鏡割りの寓話
4 《レンと六番
3 《時を解す者、テフェリー
-呪文(31)-
3 《夏の帳
2 《花咲く沈静
2 《耐え抜くもの、母聖樹
2 《神聖なる月光
2 《掘り返し
1 《方程式の改変
1 《狼狽の嵐
1 《機械の母、エリシュ・ノーン
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 現モダンのコンボを語る上で外せないデッキの一つ、「独創力」!様々なバリエーションが存在するが、このリストはいわゆる「5色型」だ。では、そもそも独創力とは?

回転

 《不屈の独創力》。クリーチャーかアーティファクトを破壊し、代わりにそのコントローラーにそれらのタイプのカードを授けてくれる。ライブラリーからクリーチャーorアーティファクトが公開されるまで捲り、それを戦場に出すという赤特有のランダム性を持ったカードだ。この独創力の持つ文字通りの独創性は、X呪文であるということ。パーマネントをX枚対象にして、X枚のそれらのカードを戦場に引っ張り出す。

 というわけでこれを用いたコンボは、超強力な高コストクリーチャーを状況に合わせて1体のみならず2体以上展開するのを狙っていく。クリーチャーかアーティファクトをごく少数採用し、それらと同タイプのトークンを生成するカードを主戦力として投入。《鏡割りの寓話》などはまさしくうってつけ。ゴブリンと、それが攻撃した時の宝物、さらに寓話自身もクリーチャーに変身する。1枚で独創力の対象を複数枚用意してくれるすげーヤツだ。

 そして独創力デッキの定番と言えば《ドワーフの鉱山》!そもそもが赤マナ3つを要求する独創力である。唱えるためには山タイプを持った土地が複数枚並ぶことになる。だったらこの鉱山も採用して、マナも使わずに土地からトークンだせば最高率!空いたスペースには打ち消しなどのコンボサポートなり、除去などのコントロール要素なりを詰め込めばOKというわけだ。5色でありながら優秀過ぎる土地構成により山が並んで《ドワーフの鉱山》が使える。モダンという環境の奥深さが、独創力コンボのエンジン部分から伝わってくるね。

 さて、トークンを餌におびき出すデカブツは……モダンであればやはり《残虐の執政官》!コイツは優先順位において、列の先頭を陣取っている。戦場に出るだけで対戦相手にとって嫌なことが、そしてこちらにとって嬉しいことが起こる。もうもたらされるものが大きすぎてこう表現するのを許して欲しい(笑)。クリーチャーを用いるアグロにも、手札を大事にするコントロールやコンボにも効き、もららされるアドバンテージが桁違い。さらに攻撃しても同じ恩恵が受けられるので、執政官で馬乗りマウントポジションを取ったなら、そのままボコボコに完封してしまえることだろう。忘れがちだけど6/6飛行というボディだけでも脅威だしな。

 このリストでは執政官と共に《偉大なる統一者、アトラクサ》も用いている。これまた戦場に出ただけで大量に手札供給という大役を果たしてくれる大型飛行持ちであり……。

 5色型のこのリストではそのアトラクサの能力がさらに活きてくる。メイン除去を担っているのは《力線の束縛》だ。5色デッキなら1マナで唱えられる。確実性の高い万能除去!エンチャントというタイプのおかげでアトラクサでヒットしやすいということだ。さらに同じ5色デッキで輝く《虹色の終焉》と、白くて実質5色なカードがこのリストのコントロール要素の中心を構成しているね。

 さらにアトラクサでプレインズウォーカーを手札に加えられる可能性も高い。このリストが採用しているそれらは、コンボに直接的に関わってくるわけではない。《レンと六番》は《乾燥台地》などの土地を使いまわして山を並べ、《ドワーフの鉱山》へと繋げる。《時を解す者、テフェリー》は相手のインスタントを唱えることを許さず、即ち独創力に対して打ち消しを唱えたりその対象となっているトークンへ除去を投げたりといった妨害を禁ずる。さらにその能力でこちらのソーサリーを対戦相手のターン終了時に唱えられるようにすることで、相手のエンドに安全確実な独創力→自身のターンで総攻撃でフィニッシュという理想的な動きを可能にしてくれる。

 以上が「5色独創力」というデッキの実態だ。力でねじ伏せるコンボであり、柔軟に相手を選ばずに戦える懐のデカさも持った、これぞ横綱。久しぶりのモダンのプロツアー、もちろん独創力がこの舞台を見逃すわけもなく……暴れ回るに違いない。どんなデッキを倒し、そしてどんなデッキに倒されるか。独創力を軸にモダン環境を見てみるのも良いかもしれないな。

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