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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:最後の瞑想は精神接合器で♪(スタンダード)
今週もいくぜきめるぜクールだぜ。個性的なデッキを紹介することが多い当コラムでも、このデッキはとりわけクールだなぁオイと感じたデッキを取り上げるのが金曜日のお約束!クールなデッキを皆にも知ってもらうためのCool Deckのコーナーだ。
さてさて、今週はどんなクールを取り上げようかな……と。そうだ、こんな小ネタはどうだろう。この世にはクールなカードが数えきれないほど存在するが、シンプルでかつクールすぎるテキスト欄を持つカードと聞けば、皆はどれを思い浮かべるだろうか?僕はベタだけどもやっぱり……『第10版』のプレミアム・カード(所謂フォイル仕様のもの)の《時間停止》、それも英語版だね。『第10版』のプレミアム・カードには注釈が印刷されていない、特別な仕様が施されている。これはプレミアム感をより演出するための粋な計らいであるわけだが、そのためにルール的に少々難しい《時間停止》のテキストにびっしりと書かれた注釈がすべて消えてしまうことに。その結果、英語版のこのカードのテキスト欄にはたった三言だけが記されている。
「End the Turn.」
こいつぁクールすぎる!当時この現物を見た時には、イラストの雰囲気も相まってそのクールさに痺れたものだよ。《時間停止》、良いよね……良い……。ターンを終了するという強制的にスイッチを切る行為、マジックのルールに最も挑戦しているものだと言えるね。自分のターンが来たと思ったら終わっていた、何を言っているのかわからねぇヤバすぎる効果は誰もが一度は体験してみたくなる。対戦相手のターンを終わらせる、禁忌の扉を開くが如きちゃぶ台返し!このクールの極致を体感できるカードは《時間停止》以後もちょいちょいと後継機が作られている。現行スタンダードにもあるじゃないか、End the Turn.と記された呪文が。《ハーキルの最後の瞑想》だ。
このインスタントはただターンを終わらせるだけでなく、土地でないパーマネントを全て手札に戻してしまうというド派手な効果もついている。《激動》と《時間停止》を足して2で割ったような1枚だが、その盤面への圧倒的影響力ゆえにコストは激重。青のトリプルシンボル含む7マナ、これでも十分ヘビー級だが、インスタントなのを活かして対戦相手のターンに唱えようと思ったら、なんと追加コストを含めて計10マナの支払いが要求される!これはとてもじゃないがそうそうと払えるものじゃない。
でもどうせ使うなら相手のターンにパーマネントを戻してターンを強制終了させ、何も出来ない返しのターンでこちらだけ再展開という動きをかましてみたいものである。それは想像するだけでクールな光景。一体どうやってこの願いを成就させるか?その答えは……黒き油にあった。
4 《ザンダーの居室》 4 《闇滑りの岸》 4 《憑依された峰》 4 《難破船の湿地》 4 《嵐削りの海岸》 2 《硫黄泉》 1 《天上都市、大田原》 2 《島》 2 《沼》 -土地(27)- -クリーチャー(0)- |
4 《かき消し》 1 《呪文貫き》 4 《切り崩し》 4 《喉首狙い》 3 《削剥》 3 《銀の精査》 3 《青の太陽の黄昏》 2 《ハーキルの最後の瞑想》 4 《精神接合器》 4 《鏡割りの寓話》 1 《時間の旅人、テフェリー》 -呪文(33)- |
2 《否認》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《兄弟仲の終焉》 1 《削剥》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《時間の旅人、テフェリー》 3 《刃とぐろの蛇》 -サイドボード(15)- |
というわけでスタンダードのグリクシス(青黒赤)カラーのコントロールデッキを紹介しよう。グリクシスと言えば前環境でも屈指の強デッキとして君臨したものだが、これはそれらと根本的な設計思想が異なる。デカい呪文を唱えりゃ勝てる、シンプルにしてクールな欲求を形にしたものだ。《ハーキルの最後の瞑想》を対戦相手のターンに唱えることを始め、ビッグアクションで逆転を狙うこのデッキの動力源とは……。
《精神接合器》!物々しすぎる名前と、針状のものが色々と危険なところに食い込んでいるのに恍惚とした表情の装着者がクールなアーティファクトだ。インスタントやソーサリーを唱えるためのコストを軽減するアーティファクトで、この手のカードは定期的に作られているね。それらの中でもこの接合器は瞬速を持っている分使いやすい部類に入る。アーティファクトを設置するためにマナを使って、対戦相手のターンにインスタントを構えられないというジレンマは毎度毎度のお約束だった。インスタントを構えて、何か危険なことが起きれば打ち消しや除去で対処、平穏なターンであれば接合器を出す。この2択が取れるだけでも運用はかなり楽になる。4マナと重めながら、隙なくスムーズに唱えられるのはクールだぜ。
接合器のコスト軽減法は『ファイレクシア:完全なる統一』のカードらしく油を参照する。毎ターンこのカウンターが増えていき、その個数分の不特定マナが軽減されるという仕組みだ。即効性は薄いが、ターンを重ねるほどにその影響力が増していく。最終的には《ハーキルの最後の瞑想》を唱えるのも問題なくなるレベルに達するだろう。対戦相手のアップキープに撃ち込んで、全てリセット!もちろん接合器も手札に戻り、また油を貯めていく必要があるが、対戦相手の盤面がスッキリ片付いてドローも飛ばされるのであれば、何も怖いものはない。
ルール上はターンを強制終了するとスタックも空になるので、呪文を唱えたところにハーキルをかましてド派手な打ち消しとして運用するのも楽しいね。《偉大なる統一者、アトラクサ》を何もなかったことにするのは大変に気分が良いクール・モーメントであることは疑いようがない。
ハーキル以外にも接合器でコスト軽減して唱えたい呪文はもちろん用意されている。《銀の精査》はX=3以下で相手のターンに唱えても良し、もっと大きな値でドカッと手札を満たしても良し。接合器に油が3つ以上乗っていればとりあえず青マナ2つから唱えられるインスタントの3枚ドローだ。どんな不測の事態にも対処できるだろうし、自身のターンで一気に引いた場合でも軽減されたコストのおかげで《喉首狙い》やら《かき消し》やら次のターンに構えるのが容易なので、接合器と精査の2枚はぜひともセットで用いたいところ。
もう一つ、同じく青マナ2つにXというコストを持つソーサリーとして《青の太陽の黄昏》も見逃せない。これはコントロール奪取系のカードの中でもかなり強烈なデザインが施されている。Xマナ以下のクリーチャーのコントロールを得る、ここまでは過去にも同様のカードがあったが……Xの値が5を越えればおまけにそのコピーであるトークンも生成する。Wow。これはカード1枚で対戦相手のカードを1枚減らした上に、こちらにカード2枚分の恩恵をもたらす。1:3交換と言え、極めて効率的だ。Xの値を5以上にしてもそれ以下のクリーチャーを対象に取ることが出来るので、大きいクリーチャーしかコピーできないと勘違いしないようにね!
このソーサリーの革新的なところは、この手のコントロール奪取の中でもピンチの時にしっかり役立つという点。クリーチャー2体以上に攻撃されている状況下で、片方のクリーチャーのコントロールを得るとする。そうしたところで、それが警戒でも持っていない限りはタップ状態でこちらの戦場にやってくるので、もう1体の攻撃は止められない。これが致命傷になるのはマジックを長くプレイした人なら何度も身を持って体験してきたことだろう。コントロールを得ながらそれのコピーをアンタップ状態で用意してくれる黄昏は、この苦悩を取り払う最高にクールな一手になり得るな。
ターンを終了させる《ハーキルの最後の瞑想》をはじめ、クールなインスタントやソーサリーがひしめくスタンダード。この重たい呪文たちを運用するために《精神接合器》はそれらを唱えるためのサポートとして、今後も期待大!青以外の色にもヤバい呪文はあるので、ドカンと一発かましてみるデッキを皆も組んでみよう。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! End the column!!
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