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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ダーク?ケイオス?ペインターコンボとバトルキャノン!(レガシー)
「ダーク○○」ってデッキ名、見たことあるかい?最近はとんと見なくなったものだが、かつてはこれが定番の表現だった。ダーク、即ち暗黒。黒い○○デッキのことになるわけだが、肝心なのは元々黒くないデッキに黒い要素がチョイ足しされたものに対して使うと言うこと。作られた時からガッツリ黒いデッキのことはわざわざそう表現しないってことだ。例えば「ファイアーズ」。《ヤヴィマヤの火》を使った赤緑の2色デッキに《魂売り》などの黒いカードを添えてデッキパワーを底上げしたものを「ダーク・ファイアーズ」と呼んだのが最も印象深いかな。
デッキに黒を足す、その意味とは。まずはやっぱり除去だな。クリーチャーやプレインズウォーカーを破壊や追放、生け贄という形で除去することをお家芸とする黒は、それらが得意でないデッキからの要請を受けて用心棒的に採用されるものだ。それから黒はライフを失う形でカードを引いたり探してきたりと、アドバンテージを稼ぐのも得意とするところ。手札消耗の激しいアグロデッキや、パーツを揃えたいコンボデッキにもダーク要素はありがたいものだ。《思考囲い》《強迫》などの手札破壊もそういったデッキに出荷されがちだ。
今回紹介するデッキも、黒が足されていることはとても珍しいもの。通常のものよりダークなデッキなわけだが……同時に「ケイオス」なデッキでもある模様。ケイオス?その正体は……
3 《Badlands》 4 《古えの墳墓》 2 《裏切り者の都》 4 《ウルザの物語》 3 《大焼炉》 6 《山》 -土地(22)- 4 《ゴブリンの溶接工》 4 《ゴブリンの技師》 4 《絵描きの召使い》 2 《猿人の指導霊》 1 《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》 1 《ブレイヤの見習い》 2 《激情》 2 《ケイオス・ディファイラー》 -クリーチャー(20)- |
2 《水蓮の花びら》 1 《オパールのモックス》 4 《紅蓮破》 2 《赤霊破》 2 《稲妻》 2 《丸砥石》 1 《魂標ランタン》 4 《鏡割りの寓話》 -呪文(18)- |
3 《月の大魔術師》 3 《外科的摘出》 2 《精神壊しの罠》 2 《激情》 2 《アメジストのとげ》 1 《真髄の針》 1 《倦怠の宝珠》 1 《削剥》 -サイドボード(15)- |
レガシーの「ペインター」というメジャーなコンボデッキ、昨年末開催の2022 NA Legacy Championshipで8勝2敗の好成績を残したリストだ。ペインターとは《絵描きの召使い》のこと。戦場のパーマネントのみならず、墓地や手札やライブラリーなどすべてのカードに指定した色を追加するというオンリーワンの能力の持ち主である。これでライブラリーのカードは土地などの無色のカードもすべて同じ色を持つ。
そこに対して《丸砥石》を起動すると……ライブラリーが2枚切削され、その2枚が同じ色。なので、もう1回切削、また2枚とも同じ色……無限にライブラリーが削り落とされることに。対戦相手はライブラリーからカードが引けなくなって敗北という、決まれば一撃必殺でありかつ必要なカードは2枚という手軽さも強い、歴史あるコンボデッキだ。
元来このデッキは赤を中心にして組まれる。その理由は2つ。赤はアーティファクトを扱うのが得意な色だ。《ゴブリンの溶接工》《ゴブリンの技師》とアーティファクトを墓地に送り込んでそれを釣り上げるギミックを用意して、2枚のパーツを揃えることでコンボの安定性を最大減にまで高める。
もう1つはペインターの特性と噛み合っているという点。召使いで青を指定することで赤の誇る青対策《紅蓮破》《赤霊破》であらゆるものを打ち消し、破壊することが可能になる。1マナで何でも対処できる、高いコントロール性能で対戦相手を支配してやるのだ。
さて肝心のダーク要素……ならびにケイオス要素。その名も《ケイオス・ディファイラー》ッッ!2022年の目玉要素の一つだった、マジックと「Warhammer 40,000」のコラボ製品としてリリースされた『統率者デッキ:Warhammer 40,000』。そこに収録された1枚だ。ケイオスとは「ウォーハンマー」シリーズの世界観における、異次元に住まう渾沌(ケイオス)の悪魔の軍勢のこと。ディファイラーは重装多脚戦車であり、バトルキャノンなる主砲を備えている恐るべき破壊兵器であるとのこと。人間が乗り込むのではなくデーモンが憑依して操縦しているらしく、ここら辺の設定がしっかりとマジックのカードに落とし込まれていてクールなデザインだね。
バトルキャノンは対戦相手の数だけパーマネントを選んで、そのいずれかを破壊するという統率者戦においてはランダム性の強い能力。しかしながらレガシーのような1対1のゲームにおいては確実に狙ったパーマネントを破壊可能だ。壊せる対象は土地以外……非常に広い範囲のものをボンボンと撃ち落とす!赤単色ではまず触れることすらできないエンチャントさえも撃ち砕く、すさまじき主砲なので黒を足す価値は大いにアリというわけだな。
シンプルに5/4トランプルというボディも頼もしい。マナ総量が5と重い点だけが問題になってくるが、そこは前述のゴブリンたちにおまかせ。《ゴブリンの技師》でサーチしてきて墓地に送り込んで、そこを《ゴブリンの溶接工》で拾い上げる!1マナ以下の軽量アーティファクトとこのディファイラーを入れ替えて、バトルキャノンをぶちかませ。
そしてこのバトルキャノン、戦場に出た時だけでなく死亡時にも誘発する点に注目。溶接工でグルグル入れ替えて、対戦相手のパーマネントをバキバキに崩壊させていく姿……たまらないね。この墓地利用システムは《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》《ブレイヤの見習い》とも好相性。アーティファクトをクルクルと出し入れして気持ちよくなろう。
ダークでケイオス、暗黒で渾沌なペインターデッキはメインのコンボが対策されても、もう一つの勝ち筋として《ケイオス・ディファイラー》がバトルキャノンを発射する……たまらなくカッコいいデッキが現れたものだ。2023年もレガシーなどエターナル環境でも活躍する各種コラボカードに期待が高まるね!
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