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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ロードで強化! パイオニアの部族デッキ2選(パイオニア)
「ロード/Lord」というクリーチャー・タイプがかつて存在していた。
ロードとは領主や支配者といった意味で、平たく言えば王様ってこと。現在でも「貴族」のタイプが存在するように、支配階級そのものがタイプとして存在していたのだ。
このタイプが用意されたのにはカードデザイン的な理由がある。マジック最初期のセットには白と緑を除く3色にロードが用意された。《アトランティスの王》《ゾンビ使い》《ゴブリンの王》、いずれも各色の主要部族として今日も生き続けているタイプを強化する能力を持っている。
そして現在ではテキストが変化しているが、当時のこれらのカードには「すべてのマーフォークは+1/+1の修整を受ける」「すべてのゴブリンは山渡りを持つ」のように能力が書かれていた。
これらのロードたちがロードではなく、自身もマーフォークだったりしたら自分の能力で自分自身を強化してしまえるようになる。なので、この問題を解決するために、強化役はあくまでロードというタイプのみを持つものとしてデザインされていたのだ。
ただこれだと《アトランティスの王》を複数枚引いて並べても、それらはただの2/2というお寒い状況になってしまう。これはこれで大問題なので、後にロードのタイプは廃止に。かつてロードだった者たちはきちんと自身が強化するものと同じ部族の仲間入りを果たし、そして能力は「他の○○は~」という書式に変更されたことで自分自身が強化される問題を解決した。
この古き時代の名残りとして、多くのプレイヤーは特定のタイプを強化するクリーチャーのことをロードと呼んでいる。この認識が広まりすぎて、ロードと書いてあると全体強化を持っているに違いないという常識が浸透してしまっている中で新しいロードを作ると誤解を招く、というケアもあったのかもしれないね。
ロードというタイプ自体は去ったが、その概念は今日も残っている。『団結のドミナリア』では5色の新ロードが集結した。
今回はそんなロードたちを活用したパイオニアのデッキを紹介しよう!
5 《島》 1 《森》 4 《繁殖池》 4 《植物の聖域》 4 《樹皮路の小道》 2 《閑静な中庭》 -土地(20)- 4 《水底の生術師》 4 《クメーナの語り部》 2 《霧の呼び手》 4 《マーフォークの霧縛り》 4 《マーフォークのペテン師》 4 《銀エラの達人》 4 《ヴォーデイリアの呪詛抑え》 2 《潮流の先駆け》 3 《玻璃池のミミック》 3 《ヴォーデイリアの精神詠い》 2 《オラーズカの暴君、クメーナ》 -クリーチャー(36)- |
4 《集合した中隊》
-呪文(4)- |
3 《潮縛りの魔道士》 4 《形成師の聖域》 3 《失われし者のランタン》 2 《霊気の疾風》 3 《神秘の論争》 -サイドボード(15)- |
まずはマーフォーク! やっぱりロードと聞くと《アトランティスの王》を思い浮かべる人が多いんじゃないかな? その他のロードも並べて、ムキムキボディのお魚軍団で圧倒するのがマーフォークのジャスティス。
新ロードは《ヴォーデイリアの呪詛抑え》!
マーフォークの全体強化とともにこれがもたらすのは、マーフォークを生け贄に捧げて非クリーチャー呪文に追加の{1}を要求、支払えないなら打ち消しという妨害能力だ。全マーフォークが《呪い捕らえ》になるようなものだな。
《呪い捕らえ》もシブい働きを見せるかなり強いカードだったが、呪詛抑えはその先代よりも打ち消せる呪文の範囲が広いのが強み。瞬速を持っているのも特筆すべきポイントで、対戦相手が非クリーチャー呪文を唱えてきたところに飛び出して、適当なマーフォークを投げつけて打ち消すという芸当が可能だ。あるいは戦闘時、ブロック確定後にシュシュッと参上して全体強化して思わぬダメージを叩き出すという奇襲も。
モダン環境にはものすごく多く存在するマーフォークのロードだが、パイオニアでは純粋なロード役は《マーフォークの霧縛り》ぐらいしか選択肢がなく、それが8枚体制になるというだけでもデッキを大きく底上げしてくれる強化だ。
ロードを軸とした部族デッキは非常にシンプルな戦術を用いるもの。マナを効率よく使い切ってクリーチャーを最大限展開し、それらをまとめて強化して大ダメージを弾き出す。
そんなシンプルな部族業界の中でも、マーフォークはかなりテクニカルな連中だ。呪詛抑えと同じく瞬速持ちの《マーフォークのペテン師》《潮流の先駆け》などが戦闘をかき回す。
タップとバウンスを駆使して、相手の攻撃は防ぎこちらの攻撃は強引にねじ込むのだ。
また、呪詛抑えとともにやってきた新戦力《ヴォーデイリアの精神詠い》の働きぶりも見逃せない。
自身よりパワーの低いクリーチャーのコントロールを奪うという盤面を大きく変化させる能力の持ち主だ。ロードで強化してやることでかなり効率よくクリーチャーを奪取できるし、キッカー・コストを支払って単体でもデカくなれるのがエラい。
このデッキには赤マナを得る土地は採用されていないように見えるが、《閑静な中庭》で支払うことが可能なので、キッカー2回で6/6以上になることもできちゃうぞ。
12 《平地》 3 《シェフェトの砂丘》 1 《アーデンベイル城》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 1 《皇国の地、永岩城》 4 《変わり谷》 -土地(22)- 4 《不屈の護衛》 4 《有望な信徒》 4 《スレイベンの検査官》 1 《アクロスの英雄、キテオン》 4 《サリアの副官》 4 《雄々しい古参兵》 3 《光輝王の野心家》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 4 《粗暴な聖戦士》 3 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 -クリーチャー(34)- |
4 《精霊への挑戦》
-呪文(4)- |
2 《日金の歩哨》 1 《白蘭の騎士》 2 《傑士の神、レーデイン》 4 《ポータブル・ホール》 2 《運命的不在》 2 《安らかなる眠り》 2 《婚礼の発表》 -サイドボード(15)- |
続いてオマケでこちらのリストも紹介しておこう。
パイオニアでは一般的な「白単アグロ」に2種類の部族の要素を盛り込んでいる。自然に組むとデッキの大半を占めるのは「人間」で、これらを《サリアの副官》と絡めて大ダメージを狙う。
そしてここに新たに加わったのが《雄々しい古参兵》! 新たな兵士のロードが登場だ。
白単は兵士の数だってかなり多い、このリストでは古参兵自身を除くと16体の兵士が採用されている。デッキを歪めずにナチュラルに必要なカードを並べてこうなっているのが、なんというか幸運だね。
ロードのために兵士オンリーで組もうとするとどうしてもちょっと弱いカードが混入し、ノイズが生じてしまいがち。《不屈の護衛》《有望な信徒》など関係のない部族も気にせずに併用し、強化されるものだけ強くなったらそれで良し!という思い切った構成は、同様のデッキを組んでみたいプレイヤーにとって良いヒントとなるはず。
古参兵は兵士を全体強化し、死後は墓地から追放することでも兵士をサイズアップさせる。こういう息切れ対策、引きすぎた土地をダメージに繋げるための要素を、変な工夫などせずにデッキに盛り込めるのがこの古参兵の強みである。《変わり谷》などと併せて、途切れない攻めで消耗戦を乗り切ろう!
《ヴォーデイリアの呪詛抑え》《雄々しい古参兵》と新たなロードが活躍するパイオニアのデッキを紹介させていただいた。これらのデッキは君の心に響いただろうか?
他にも3体のロードが同時にやってきている。スタンダードでは強化する選択肢がまだ少なくて本領発揮できないカードも、パイオニアだとまさに王の風格を漂わせる! さあ、部族デッキでパイオニアへと駆けだそう!
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