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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
悪魔の取り引きコンボ:デモコンの復活(パイオニア&エクスプローラー)
君は「デモコン・デス」を知っているか?
「デモコン」とは《Demonic Consultation》のこと。1マナのインスタントにして、指定したカードをライブラリーから手札に加えられる超優秀なサーチ呪文だ。
そんなん最強カードやん!となるところだが、もちろんデメリットも付与されている。サーチを行う前にまずライブラリーの上からカードを6枚追放し、その後指定したカードが公開されるまでライブラリーからカードを追放し続けるというものだ。指定したカードがライブラリーのかなり底にあった場合、ライブラリーがぺらぺらになって長期戦を行えなくなる。
それどころか、指定したカードのすべてが最初に追放した6枚の中にあったら? ライブラリーは公開されることのないカードを求めて掘り進められていく。最後には消滅、次のドローが行えないのでやがてゲームに敗北することになる。こういったデモコン由来の敗北を「デモコン・デス」と呼ぶ。
この悲劇的な結末は、世界選手権やグランプリといった競技イベントの決勝戦などでも発生している。勝利を願った一手が敗北へのジェットコースターになる……マジックというゲームの奥深さを実感できるね。
デモコンは後に調整版ともいえる類似カードがいくつか作られている。デモコン的なライブラリー追放デメリットを背負わされた黒いサーチ呪文。その最新型である《悪魔の取り引き》は不吉な数字である13枚分ライブラリーを追放した後、ライブラリーから好きなカードを手札に加えられる。
欲しいカードが13枚の中に含まれていたら……そもそも13枚も吹っ飛ぶといろいろと必要なカードが消えてまずいのでは?と、デメリット面がどうしても目につく。なので、僕も4枚持っていても一度も構築で使用したことはなかった。
でも、なんだか文字通り悪魔的な魅力がある1枚なんだよなぁ。アートも雰囲気抜群だしね。この《悪魔の取り引き》を主役としたデッキリストを見つけた時、それはもう胸が躍ったよ。そのリストというのが、コレ。
4 《島》 2 《沼》 4 《湿った墓》 2 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 2 《清水の小道》 1 《ヴァントレス城》 1 《ロークスワイン城》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 3 《寓話の小道》 -土地(25)- 3 《タッサの神託者》 -クリーチャー(3)- |
4 《致命的な一押し》 3 《考慮》 2 《検閲》 2 《任務説明》 2 《染みついた耽溺》 4 《悪意ある妨害》 3 《悪魔の取り引き》 2 《魂の粉砕》 4 《記憶の氾濫》 2 《影の評決》 4 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(32)- |
2 《塵へのしがみつき》 3 《否認》 2 《霊気の疾風》 2 《神秘の論争》 2 《絶滅の契機》 2 《エレボスの介入》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
MTGアリーナのフォーマットであるエクスプローラーの青黒デッキで、つまりはそのままパイオニアでも使用可能なリストだ。
根っこの部分はコントロールデッキである。《致命的な一押し》《悪意ある妨害》などで対戦相手の展開を阻み続けて攻勢を抑え込む。そしてゲームのペースを握ったらフィニッシャーで勝利に向かう。
これがコントロールデッキのたどるストーリーだが、このデッキはそのフィニッシャーの枠も、コントロールするのに必要なカードを得る役目も、《悪魔の取り引き》が担っている。
現代マジックでは「デモコン・デス」はむしろ勝利への通行手形である。「デモコン・ウィン」とさえ言える。どういうことかというと、ライブラリーがないというのは勝利条件の定番だからだ。《タッサの神託者》と《神秘を操る者、ジェイス》!
青の誇るこの2枚で勝利しようという魂胆だ。ライブラリーが残り13枚以下なら、《悪魔の取り引き》に次いで2枚のどちらかを唱えて即勝利!
……13枚以下になるまで待つって相当なロングゲームだなって? 違いないな。まあ真面目にそこまでゲームを続ける必要はない、《悪魔の取り引き》から《悪魔の取り引き》を持ってきても良いのだから。13枚→13枚と削って《タッサの神託者》でWIN、このルートであればライブラリーが26枚以下で土地が8枚あれば良い。グッと現実的な値になったな。
《悪魔の取り引き》は13枚という大量のカードをライブラリーから追放するが、純粋にこれだけでライブラリーを消し飛ばそうと思うと、手間がかかるのも事実。《神秘を操る者、ジェイス》の能力で切削&ドローを繰り返してかなりの枚数を減らすことが可能なので、盤面を掌握しつつジェイスを生存させてガリガリとライブラリーを掘り進めて勝利への道筋をたどる。
同時に《悪意ある妨害》の諜報、《考慮》の切削、《染みついた耽溺》のドローなど駆使してライブラリーを効果的に擦り減らしていく。
諜報を行うカード《任務説明》はこのデッキの影の主役でもある。
諜報した後に墓地からインスタントかソーサリーを唱えられるようにする、この効果を活かして除去や打ち消しを使いまわすのはもちろん、《悪魔の取り引き》をおかわりすることもできてしまう。その取り引きからコントロール手段を持ってくるも良し、フィニッシャーで決着しても良し。このフレキシブルな感じ、実際にやってみると「マジックやってるなぁ」と実感できるもので個人的には大いに好みだった。
古き時代の悲しき敗北の象徴、デモコン・デス。今日ではそれは勝利への最短ルートになり得る。《悪魔の取り引き》、13枚の追放されたカードで思ったことができないこともあるが、それも含めてドラマチックなマジック。この怪しいソーサリーの使い道を探していたプレイヤーには、このデッキをベースにチャレンジしてみてほしいね!
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