READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

オバケよりも本当に怖いのは……恐怖の人間デッキ!(パイオニア)

岩SHOW

 夏になると怪談界隈が活発化してくる。怪談好きには嬉しい限りだ。このコラムの原稿を考えている最中なども、よく怪談を聴きながら気分を高めたりする。

 時代が進んでいろいろな事情があるのだろうが、最近は「人間が一番怖い」系のお話が随分増えたなと感じる次第だ。オバケよりも悪意や狂気に陥った人間が最恐って展開のお話だね。

 個人的にはオバケが出てくる怪談の方が好きなのだが、人間の方がヤバいという話を人々が求めている事実がそれはそれで興味深いなと思いながら楽しんでいる。

 あと、マジックの多元宇宙には確かに怪談になるような狂った人間、熊や狼やライオンよりも強い人間なんてのはゴロゴロいるしなぁと。そういうことを考えながら人間の怖い話を聴くのはなかなかオツなものだし、逆にそういった話を思い浮かべながら人間デッキをプレイするのもまた一興。

 そんなわけで今回は人間が主役、人間タイプで揃えた部族デッキを紹介しよう。一般的な構成よりもちょっとホラー寄りな雰囲気のリストが見つかったものでね!

Brian Kowal - 「5色人間」
Gamer’s Library Pioneer 1K RCQ 7/9/22 / パイオニア (2022年7月9日)[MO] [ARENA]
2 《神無き祭殿
4 《秘密の中庭
2 《血の墓所
1 《感動的な眺望所
4 《閑静な中庭
4 《手付かずの領土
4 《マナの合流点
-土地(21)-

4 《魔王の器
4 《不運な目撃者
3 《血に染まりし勇者
4 《魅力的な王子
4 《忘れられた神々の僧侶
4 《サリアの副官
4 《救出専門家
4 《反射魔道士
2 《堕落した司教、ジェレン
1 《アブザンの鷹匠
1 《輝かしい聖戦士、エーデリン
-クリーチャー(35)-
4 《英雄たちの送り火
-呪文(4)-
3 《収得の熟練者
2 《スレイベンの守護者、サリア
1 《聖戦士の奇襲兵
1 《高名な弁護士、トミク
2 《ザスリッドの屍術師
1 《先頭に立つもの、アナフェンザ
1 《ドラニスのクードロ将軍
1 《配分の領事、カンバール
1 《異端聖戦士、サリア
2 《石の宣告
-サイドボード(15)-
Melee より)

 

 パイオニアの白黒2色を中心にした多色の人間デッキだ。

 このフォーマットには《閑静な中庭》《手付かずの領土》があるので、クリーチャー・タイプを統一すると3色以上のデッキも楽々運用可能だったりする。《マナの合流点》も加わればもう何の問題もないな。

 マナの問題をクリアすれば、5色すべてから人間・クリーチャーの良いとこどりができてしまう。なので一般的には打点に優れた人間を寄せ集め、それらを《サリアの副官》《ドラニスのクードロ将軍》などで強化して殴り勝つ、人間型アグロデッキはパイオニアでも人気のアーキタイプである。《集合した中隊》による複数展開を行うために白黒に緑を足した「アブザン・アグロ」が最も目にする機会が多い。

 このリストはむしろ逆に、サイドボードの《先頭に立つもの、アナフェンザ》くらいしか緑のカードは採用しておらず、黒い人間がより目立つ仕様になっているのが特徴的であり、ホラー要素を感じる部分でもある。

 1マナ圏にいきなり《魔王の器》だもんな、こえーよ(笑)。

 《不運な目撃者》《血に染まりし勇者》とホラー要素強めな1マナ圏、いずれも共通するところは、死亡しても気にならなかったり、むしろそれがメリットになったりするという能力を持っている点。

 なぜ、このような連中をたっぷり採用しているのか? その答えは《英雄たちの送り火》!

 生け贄に捧げたクリーチャーより1大きいマナ総量でかつ同タイプを持つものをライブラリーから戦場に出す、という部族デッキにトリッキーな動きを与えてくれる良きスパイスだ。

 《サリアの副官》を持ってきて全体強化したり、《反射魔道士》で盤面をこじ開けたり、副官で+1/+1カウンターをばら撒いた後に《アブザンの鷹匠》を持ってきて飛行でフィニッシュ……といったゲーム展開に合わせて動く、ただの脳みそ筋肉で殴るだけではない面白いデッキに仕上がっている。

 そしてこの死亡してもいい1マナ圏の人間と《英雄たちの送り火》の組み合わせをより強く運用させてくれる1枚が《救出専門家》だ。

 この専門家、送り火に身を捧げた面々を墓地から戦場に戻すことで損失ゼロの運用を可能とするやり手である。そして、その能力が最大限に活きるのが《魔王の器》と組み合わさった時。専門家により救出された器は、墓地から戦場に出るという条件を満たすため……魔王そのもの、デーモンへと変貌する! 5/5飛行のデーモン・トークンが出てきて空からの攻めも可能になるって寸法だ。

 またはシンプルに、《サリアの副官》で全体強化を行った後、これを送り火して救出して再度全体強化、なんて動きも悪魔的だ。どの戦法も無茶苦茶テクニカル! ただの人間デッキというよりは、人間シナジーと生け贄シナジーが絡み合ったデッキというところだな。

 《忘れられた神々の僧侶》の採用も1マナ軍団や《救出専門家》との相性の良さからくるものだ。

 《堕落した司教、ジェレン》という非常に珍しいチョイスも光る。

回転

 送り火や僧侶で生け贄に捧げられた人間がトークンを残すので切れ目なく戦場を強くしていける。《堕落者、オーメンダール》へ変身する機会は非常に稀だろうが、これが決まった暁には魔王に悪魔崇拝にと爆発する人間の狂気にテンションがブチ上ってしまうこと間違いなし!(?)

 怪談チックな怖いデッキを組むことで夏の夜が楽しく涼しいものになるかもしれない。スピリットやゾンビといった典型的なオバケも良いし、このリストのように人間の怖さを突き詰めるのも味わい深い。さあ、怪談聴きながらデッキを組もうぜ。

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索