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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
クリーチャーでアドバンテージを稼ぐには(ヒストリック)
クリーチャー・デッキはマジックにおいて比較的素直なデッキである。
クリーチャーを展開して攻撃し、相手のライフを減らして勝つ。最も基本に忠実な方法で勝利に向かう。文字通り真面目なので扱いやすく、初心者から競技プレイヤーまで誰もが用いるデッキである。
その正直さは強みではあるが、時にバカ正直というか……その真面目すぎるところが弱点として浮き上がることがあるのも事実だ。手札から土地を出し、手札からクリーチャー呪文を唱えることで戦場に1体のクリーチャーを出す。これを毎ターン行っているところに、《神の怒り》など唱えられようものなら、簡単にカード1枚でこちらの2枚以上と交換が取られてしまう。
カードの枚数差が発生、つまりアドバンテージを得られてしまう。なのでライフを減らすことだけを考えて、真面目すぎるクリーチャーデッキを組むことには注意したいところだ。
アドバンテージ差をつけられる前に圧倒的なスピードで押し切る、手札破戒や打ち消しなどで対抗する、あるいはこちらもカード1枚で2枚以上と交換できる武器を用意してアドバンテージを得に行くか。
今回はこの最後の選択肢、カード1枚で2枚以上の働きを見せるものをメインテーマに話していきたい。
クリーチャーでアドバンテージを得ると言っても、その形はさまざまだ。
最もわかりやすいのはカードを引けるクリーチャー。盤面の頭数を増やしつつ、そのクリーチャー能力でカードを引けば手札が減らない。たとえクリーチャーが除去されたとしても、こちらは手札1枚分得しているという状況だ。
似たようなものとして、対戦相手の何かを奪うクリーチャーもまたわかりやすくアドバンテージを提供してくれる。クリーチャーなどのパーマネントを除去したり、手札を捨てさせたり墓地を追放したり……なんらかの形で相手のアクションを1つ潰すことができれば、クリーチャーを失ってもまだおあいこだ。
さらにはカード1枚で2体以上のクリーチャーにカウントできるカードというのも強いアドバンテージの取り方だ。トークンを生成するものなど多数あるが、最も多岐に渡って活躍しているクリーチャーデッキの友といえば《集合した中隊》だな。
当時のスタンダードはもちろん、モダンやパイオニア、ヒストリックでもクリーチャーデッキのド定番。4マナで3マナ以下のクリーチャーが2体、最大で計6マナ分の働きを見せるのでカードの枚数だけでなくマナの面でもアドバンテージが得られる。
インスタントなので対戦相手のターン終了時に唱えてソーサリー除去を回避しつつ次のターンに速やかに攻撃したり、コンボパーツをかき集めるのにも使えるとあって引っ張りだこ。このカードのためだけに緑を足すデッキもあるくらいだ。
クリーチャー・デッキにとって重要なアドバンテージを得る手段、その中の最高峰《集合した中隊》。このカードに並ぶようなものは出てこないと考えていたのだが……それを打ち破ったのがデジタルフォーマット、アルケミーのためにデザインされた《審問官の隊長》だ。
中隊と同じ4マナで、3/3警戒とプラスでもう1体、3マナ以下のクリーチャーが戦場に出る。これには条件があるのだが、それほど難しいものではない。中隊と同じ感覚で使えて、これ自身がクリーチャー。インスタント・タイミングで唱えられるという中隊の利点にはかなわないが、《否認》などの非クリーチャーを狙ったカードで打ち消されない・中隊の対策カード《墓掘りの檻》に引っかからない・もともと白いデッキなら緑を足さずに使えると、このカードの強みはかなり多い。
アルケミーはもちろんのこと、同じく使用可能なヒストリックでも、中隊よりも隊長に乗り換えていくデッキが増えている。今日はそんなデッキの中からひとつ紹介しよう。
1 《平地》 4 《神聖なる泉》 1 《連門の小道》 4 《神無き祭殿》 1 《陽光昇りの小道》 4 《秘密の中庭》 4 《湿った墓》 1 《清水の小道》 -土地(20)- 4 《魅力的な王子》 4 《嘘の神、ヴァルキー》 2 《薄暮軍団の盲信者》 2 《迷い子、フブルスプ》 4 《無神経な血魔道士》 4 《玻璃池のミミック》 4 《スカイクレイブの亡霊》 4 《魂寄せ》 4 《審問官の隊長》 -クリーチャー(32)- |
4 《思考囲い》 4 《風への放流》 -呪文(8)- |
2 《墓掘りの檻》 4 《アダントの先兵》 3 《束の間の霊魂》 2 《荒廃甲虫》 2 《紺碧のドレイク》 2 《拘留代理人》 -サイドボード(15)- |
白青黒の3色のクリーチャー・デッキだ。
このカラーリングには上述のアドバンテージが得られるクリーチャーが豊富であり、このリストもそういった小技の効く面々を取り揃えている。その分打撃力は落ちるが、テクニックで稼いだアドバンテージで差をつけようという寸法だ。
戦場に出た際に能力を誘発するクリーチャーでアドバンテージを得るというのであれば、それらを繰り返し使うことでもっと得しようじゃないか!というのが「ブリンク戦術」。クリーチャーを追放した後に戦場に戻すカードを用いることで、アドバンテージをザクザクと稼ぐ手法だ。
特に《魂寄せ》は毎ターン繰り返し誘発し、膨大なアドバンテージを稼ぎ出しつつ自身がサイズアップすることでデッキの弱点もカバーするという完璧な1枚。このカードを使いたいがために組まれたデッキと言っても過言ではない。
隊長からこのキーカードである《魂寄せ》が見つかるのもなんとも噛み合っているね。隊長で《スカイクレイブの亡霊》《無神経な血魔道士》など状況に合わせたクリーチャーを見つけ出しに行きつつ、《魂寄せ》がそこにあったなら、一気に勝負を決めにいこう。
注意点として、以前の必勝パターンだった「隊長から《玻璃池のミミック》を持ってくる動き」にメスが入ったことには気を付けよう。
1月27日の再調整により、隊長の能力は「唱えた上で戦場に出た」場合に誘発するようになった。ミミックでコピーとして戦場に出ても、《魂寄せ》でブリンクしても、クリーチャーは引っ張ってこれない。
前まではミミック連打でとんでもない盤面を作っていたからなぁ……これは妥当な調整だね。このリストは調整が施される以前のものなので、ミミックの利点を隊長だけに見るならば素直に普通の土地と入れ替えた方が良いかもしれない。
このリストではブリンクデッキ定番の《儚い存在》は不採用で、代わりに《風への放流》が採用されている。
これにはちょっとした裏技がある。これで《嘘の神、ヴァルキー》を追放。その後マナを支払わずに唱え直すのだが……
その際にヴァルキーとしてではなく、《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることを選べるのだ。これにより、現在のヒストリック環境においてよく見られる《静寂をもたらすもの》《厳しい試験官》といったアンチブリンクカードをすり抜けて対処することが可能となっている。
もちろん、ヴァルキー以外のカードを使い回すのに使っても良い仕事をするぞ。上記のように唱えることが必要になった隊長ともバッチリ噛み合うね!
最後にデッキ名。さあこのデッキをなんと呼ぼうか。白黒青3色デッキの総称「エスパー」は用いるとして、メイン戦術にブリンクと合わせて「エスパー・ブリンク」? わかりやすいけどちょっと味気ないなと思ってしまうね。
キーカードの英名から「エスパー・キャプテン」なんてどうだろう。いやまった、キャプテンであればもっとしっくりくる表記法が。「キャプテン・エスパー」! どうだろう、こっちの方がなんだか呼んでて楽しくなってこないかな?(というどうでも良い話でシメ)
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