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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ヘリオッド・ライフ:定番コンボを進化させるのはナイスミドル(ヒストリック)
2022年。綺麗に2が並ぶ、インパクトの強い年だ。今年はマジックフェストのようなデカい会場を使った日本中のマジックプレイヤーが集うようなイベント、再開できるようになったら良いなぁ。日本をモデルにした神河への再訪、ワルが統治する街、ドミナリアにウルザ……2022年のマジックにも大いに期待してしまう。2021年を超える素晴らしいマジックイヤーになりますように!
個人的にはマジックと出会って24年目を迎えようとしているってところかな。僕の人生のゆうに半分以上をこのゲームとともに歩んでいると考えると、なんだかもう……よくわからないな(笑)。しかし出会いから20と数年、そりゃあ歳もとるはずだと実感。今年は良い意味で歳を重ねたイケてるオヤジとしてマジックに関わっていこうかな。
僕のようにずっと続けているプレイヤーが多い、稀有なコミュニティである。外から見て、良い意味で成熟した大人がたしなむ趣味として認知されたいものだ。カッコいい、シブいベテランプレイヤーを目指して!
身だしなみは何よりも大切だな。カードからもそういうことを学ぶことができる。マジック界における、いわゆる「おじさん」「おばさん」と呼ばれる年齢の人間たちは、その重ねた年齢をそのまま魅力に感じさせるようなキャラクターが多く見られる。
最近だと《白髪混じりの猟匠》なんかがそうだな。
カード名からもうオヤジ感が半端ない。白髪というと加齢の象徴的なものであるが、ハンティングの装備一式に身を固めたイラストは、老いすらも魅力に感じさせる激シブ具合。そして3マナで4/3と、若造にはまだまだ負けないどころか突き放すような戦闘力も魅力的。
さらに彼は、デジタルならではのバキバキに最新フレッシュな能力の持ち主だ。テキストは一見複雑で、使ってみるまではわかりにくいかもしれない。この能力は要するに手札のクリーチャーをサイドボードのクリーチャーと置き換えるというもの。入れ替えるカードと同名のものが手札にあれば、それも追放して同じものになるというのがかなり特異で、このカードのセールスポイントと言える。
近年のマジックは相棒や講義など、サイドボードをメインから用いるというアドバンテージの取り方がよく見られるが、この白髪混じりの能力はその究極形と言えるかも。
いらないクリーチャーをサイドのより有効なものと交換できる、つまりはマナクリーチャーなど、それ自体のカードパワーは低くともデッキ運用のために複数枚入れなければならないカードをタップリと採用しやすくなる。その上でサイドボードには、単体でとてつもなく強いカード・特定のデッキ相手には鬼となる者たちを潜ませておくと、ゲーム中の無駄なドローを極力抑えられるということだ。
では今日はこのアルケミー環境に現れた新カード、我らが目指すべきナイスミドルを使ったデッキを紹介するわけだが……フォーマットはヒストリックだ!
8 《平地》 1 《森》 4 《寺院の庭》 3 《草茂る農地》 4 《陽花弁の木立ち》 4 《枝重なる小道》 -土地(24)- 4 《月皇の古参兵》 4 《魂の管理人》 4 《裕福な亭主》 4 《祝福されし者の声》 3 《月の踊り手、トレラッサーラ》 3 《太陽冠のヘリオッド》 3 《小走り樫》 4 《白髪混じりの猟匠》 3 《審問官の隊長》 -クリーチャー(32)- |
4 《集合した中隊》
-呪文(4)- |
1 《巨人落とし》 1 《太陽に祝福されしダクソス》 1 《スカイクレイブの僧侶》 1 《太陽冠のヘリオッド》 1 《小走り樫》 1 《スカイクレイブの亡霊》 1 《群れの力、アジャニ》 1 《赦免のアルコン》 1 《変容するケラトプス》 1 《秘密を知るもの、トスキ》 1 《審問官の隊長》 1 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 1 《長老ガーガロス》 2 《安らかなる眠り》 -サイドボード(15)- |
アルケミーのためにリリースされたカードはヒストリックでも使用が可能だ。同じく調整されたカードもその性能で用いることができる。なので、ヒストリック環境も12月の新セットの影響を確実に受けている。
上記のリストはヒストリックの定番デッキのひとつ「ヘリオッド・ライフ」の『アルケミー:イニストラード』参入後の一例だ。
《太陽冠のヘリオッド》が戦場にいる状態でライフを得ると+1/+1カウンターを任意のクリーチャーに置くことができる。これの対象を《小走り樫》にすると、樫の能力が誘発しリスが1体生成される。
つまりはクリーチャーが戦場に出るので《魂の管理人》《月皇の古参兵》《裕福な亭主》などが戦場にいればライフを得られる。
これによりヘリオッドが再誘発→樫が再誘発→回復役が再誘発……と無限にライフ回復・樫などクリーチャーのサイズが無限にアップ・リスが無限増殖……とあらゆる面で勝利を手中に収められる。
この白と緑のコンボデッキに、我らが猟匠が参入。何をするかというと、まずはヘリオッドおよび樫の4枚目をサイドボードに落とし、これをサーチするというコンボ成立のアシスト役を担う。
一見、メインデッキからコンボパーツの枚数が減っているように見えるかもしれない。だが樫とヘリオッドで6枚、そして実質樫でもヘリオッドでもあるカードが4枚と、トータルの枚数は大きく上昇している。除去されて妨害されやすい樫を猟匠で水増しできる意味は大きい。
《魂の管理人》など同じカードを引きすぎてしまったらまとめて追放して、コンボパーツを複数枚補充すれば無駄にならない。《集合した中隊》および《審問官の隊長》から戦場に出せる3マナの猟匠を得たことで、コンボはより決まりやすくなったというわけなのだ。
そして、猟匠がもたらす恩恵はコンボだけにあらず。状況に合わせた便利な1枚を持ってくる「シルバーバレット」戦術。このリストはそれをかなり意識したサイドボードを用意している。何せ13種類ものクリーチャーが搭載されているのだから。
《巨人落とし》《スカイクレイブの亡霊》《赦免のアルコン》などはクリーチャーデッキへのアンチテーゼとして。
《変容するケラトプス》は青系コントロールを踏み潰す。
アドバンテージ勝負になれば《審問官の隊長》《秘密を知るもの、トスキ》《長老ガーガロス》からお好きなものを。
コンボ用にライフを回復する者が必要ならば《太陽に祝福されしダクソス》の出番。
《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》は「ジャンド・フード」などの生け贄系デッキを沈黙させる。
これをメインから、しかも2枚以上使われる可能性があるなんてたまったもんじゃない。
《スカイクレイブの僧侶》は一見何に使うのかわかりにくいが、これは要するに土地としての役割を見込んでいる。
猟匠からこれを得て《スカイクレイブの列柱廟》として出し、伸びたマナで次のターンにコンボ決めるなりビッグアクションに確実に繋げるためのチョイスというわけ。
コンボとシルバーバレットというテクニカルな武器、そして元来のライフデッキのメインウェポンであるライフを得ることで大きくなるクリーチャーでの攻防一体の攻め。《月の踊り手、トレラッサーラ》に《祝福されし者の声》とどちらも軽くて強力無比。
《祝福されし者の声》は飛行を得ることでこのデッキの弱点だった空中戦をも制する貴重な戦力だ。トレラッサーラの占術も非常に有効で、伝説なので2枚以上引くと無駄になるという弱点も白髪混じりのあの方が問題解決してくれるので以前より使いやすくなった。
使っていて楽しく、毎回違うゲーム展開を味わえる強力デッキ「ヘリオッド・ライフ」。2022年の新戦力にも期待しつつ、僕らも《白髪混じりの猟匠》に負けないシブい歳の取り方をしていこうぜ。
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