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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今年は寅年、タイガーデッキ!(特別企画)
新年あけましておめでとうございます! 今年も当コラムをどうぞよろしくお願いいたします! 2022年も楽しいコラムをお届けできるよう、精進あるのみですわ。
さてさて正月元日より早速始動するデイリー・デッキ。毎年恒例の企画になっており、マジック初めの場を設けていただけるのはありがたい限りでございますね。
昨年は丑年、年男ということもあって喜んで作成したお正月デッキは「ターンガース単」だったなぁと。我ながら無茶やったもんだぜ……翌年の自分へのハードルとか何も考えていない。まあ今年もその路線で行くけどな! 計画性? なんですそれは?
というわけで2022年の干支は寅! 虎、トラ、タイガーでございますよ。幼少時は生まれるのが1年ズレれば寅年だったのかぁと、その響きのカッコ良さに随分と憧れたりもしたもんです。
屏風や掛け軸、置き物など、とにかく虎はモチーフになりがち、そしてどれもパワフルな捕食者として描かれていてカッコイイ。関西出身ということもあって某球団の影響力や、虎柄のおばちゃんに囲まれて育ったというのもあってか、虎という生き物への憧れはもはや信仰に近いものがあった(かもしれない)。
僕がマジックを始めた頃のセットにも虎の姿は見られた。というか当時は虎というタイプが存在していた。《剣歯虎》や《忍び寄る虎》などがそれにあたる。
後にこれらは猫に統合されて虎は廃止となるわけだが……当時からひとつ疑問があった。『ウルザズ・サーガ』には《洞穴の虎》というまんま虎カードがあるわけだが、こいつはなぜかタイプが猫だったのだ。
何の違いなのかと、中学生当時不思議に思ったものである。まあ当時は猫族の戦士とか、チータとかライオンとか、やたらと猫関係のタイプには幅があったし、それは猫に限った話でもなかったのですぐに気にはならなくなったな。ゴブリンデッキに《ゴブリン岩ぞり隊》を採用しても、これのタイプはなんとまさかの「岩ぞり隊」で部族カードの恩恵を受けられなかったりしたもんだからね。
話は虎に戻って。《洞穴の虎》の話ついでにイラストを見返してみたもんだが……良いねぇ。掛け軸に描かれた日本画のようで、迫力満点だ。他にも虎タイプだったカードはどれも魅力的な虎が描かれているし、猫カードの中にもカッコいい虎はたくさん潜んでいる。
今日はもちろんそれらの虎を使ったデッキを組むわけだが……そういえば、この時期にピッタリな虎がいたなぁ。
アメリカでは年末はホリデーシーズンとして、家族で過ごすのが定番だ。そして毎年ホリデーシーズンにマジック関係者には「ホリデーギフトカード」というこの時期にちなんだジョークを盛り込んだ素敵なカードが贈られる。これらは銀枠なので通常のゲームでは使えないが、『Unglued』などのジョークセットと一緒に使ったテーブルゲーム的なパーティー感覚のマジックを楽しむのであればこれほど優れたものはない。
で、そのホリデーギフトカードのひとつに《Stocking Tiger》がある。
靴下の虎ということだが、これは《忍び寄る虎》の英名「Stalking Tiger」のパロディである。ホリデーの一大イベント、クリスマスの風習でサンタクロースさんが靴下におもちゃのプレゼントを詰めてくれる、というのがあるよね。そのプレゼントを期待して吊り下げた靴下が虎になったのがこのカードということだな。
ではその能力。5マナ3/3とサイズには優れてはいない。しかしながら、その能力はまさしくオンリーワン。戦場に出る際に、この虎の靴下でできた胴体にはプレゼントが詰められる。マジックのブースターパックを1つ、これの上に置いて戦場に出すのだ。
そして、この虎の攻撃が対戦相手に通り戦闘ダメージを与えるのに成功した暁には……そのパックを開封し、その中のカードをすべて手札に加えることができる! 単純に10枚以上手札を増やせるチャンスである。
また、これが配られた当時には存在しなかった種類のブースターパックもリリースされていることにも注目だ。レアや特殊仕様のカードがたっぷり詰まったコレクターブースターなんかを開封したりすると、手札の内容がとんでもないことになるだろう。
まさしくお正月に相応しい、豪華絢爛な手札を持つことが可能になる。今回はこの《Stocking Tiger》を中心に、銀枠カードを使った寅年を祝うデッキを考えてみよう!
まず、個人的に外せないと思うのが……《Coal Golem》と併せて使うこと。
なぜかというと、このカードが《Stocking Tiger》のフレイバーテキストに登場しているからだ。「Just hope yours isn't full of coal golems.」と書かれており、訳するらなら「君の靴下の中身がたっぷりの《Coal Golem》じゃないことを祈っているよ」と。
サンタさんが靴下にプレゼントを詰めていってくれることは有名だけども、実はこれを良い子に対して。悪い子にはおもちゃではなく石炭を詰めていくのだという……これは嫌だね、悪い子認定されないようにいろいろ改めるというもんだな。石炭のゴーレム、《Coal Golem》を詰められることがないようにというジョークってわけだ。
このゴーレムも《Stocking Tiger》と同じ5マナ3/3というのも味わい深いポイント。3マナ支払って生け贄に捧げると{R}{R}{R}を加えるという能力を持っているが……これ、マナが増えるわけでもなく、お世辞にも強い能力とは言えない。
だが、パックを開封してカードを得る《Stocking Tiger》との組み合わせを考えると……この能力のおかげで唱えられるカードも見つかるかもしれない。
もちろんゴーレム以外にも各色のマナが得られる方法を準備しておくことが、プレゼントされたおもちゃを活かしきる方法であることは間違いない。なのでマナ能力を持ったアーティファクトやクリーチャーをたっぷりと用意しておこう。
どんな色マナでも出せるデッキ構成と、そして開封されるためのパック。これらを用意した銀枠構築で《Booster Tutor》を使わない手はない。
未開封のパックを開けて公開、その中から1枚を手札に加えるというぶっ飛んだ効果のサーチカード。一体何が得られるのか、予測がつくようでつかないワクワクカード、これとTigerで新年のマジック初笑いはいただきかも?
というわけでデッキにまとめてみよう!
1 《平地》 1 《冠雪の平地》 1 《島》 1 《冠雪の島》 1 《沼》 1 《冠雪の沼》 1 《山》 1 《冠雪の山》 1 《森》 1 《冠雪の森》 4 《City of Ass》 4 《真鍮の都》 4 《産業の塔》 2 《マナの合流点》 2 《世界樹》 -土地(26)- 4 《極楽鳥》 1 《金のガチョウ》 1 《虎の影、百合子》 4 《Paper Tiger》 1 《セトの虎》 3 《Stocking Tiger》 3 《Coal Golem》 1 《虎威将軍 趙雲》 1 《エフラヴァのジェディット・オジャネン》 1 《Jedit Ojanen》 -クリーチャー(20)- |
3 《呪文書》 4 《Booster Tutor》 3 《彩色の灯籠》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(17)- |
1 《Stocking Tiger》 1 《Coal Golem》 1 《白金の天使》 1 《Ashnod's Coupon》 1 《Jack-in-the-Mox》 1 《呪文書》 1 《稲妻のすね当て》 1 《Water Gun Balloon Game》 1 《彩色の灯籠》 1 《Handy Dandy Clone Machine》 1 《虎目石のカメオ》 1 《彩色の宇宙儀》 1 《囁き絹の外套》 1 《多勢の兜》 1 《Gleemax》 -サイドボード(15)- |
これが岩SHOW流の新年銀枠デッキ「Tiger New Year」だ!
《Stocking Tiger》のポテンシャルを余すことなく味わえるデッキに……仕上げたつもりだ。このデッキのキーカードはタイガーにゴーレム(?)に、パックから得たカードを唱えるための5色すべてのマナを得るための《彩色の灯籠》《彩色の宇宙儀》とアーティファクトに固まっている。
なのでそれらをサーチできる《大いなる創造者、カーン》を採用。
これで銀枠界の素敵アーティファクトの数々をサイドボードに陳列して楽しむことが可能になる。状況に合わせてベストな1枚を手に入れよう。《Ashnod's Coupon》で対戦相手にジュースを買いに行かせるのはマジックプレイヤーであれば経験しておきたい挙動だな。
銀枠だけでなく、真面目なカードも《Stocking Tiger》を活かすためのものをチョイスしてある。タイガーは攻撃を通さないと楽しいパック剥きを迎えられない。なので《囁き絹の外套》でブロック不可にしてねじ込んだり、《稲妻のすね当て》で隙ありと突撃させてなんとかパックをいただきにかかろう。
そしてそのパックを手札に迎え入れた後。15枚も手札が増えてもすぐに捨てなければならないのは……もったいないよね。なので《呪文書》で必死にキープしようという魂胆だ。
本来、手札の上限をなくすというためだけにカードを1枚消費するのは損なのだが、タイガーの大量手札補充があれば正直1枚ぐらいどうということはなくなる。良い意味で開き直ってこその銀枠ゲーム! 《聖遺の塔》を使えば土地の枠でこれを用意できるのだが、5色デッキという大前提で組んでいるのもあってちょっと使いにくいんだよなぁということで。カーンから持ってくるカードとしても味わい深いでしょ?
後は虎カードで固めてデッキ完成だ(適当)。虎の見た目、あるいは称号が虎、虎目石……ここには載り切らない虎カードがあるので、「Tiger」でカード名検索して、カッコいい虎をいっぱい拝んでみてね。
パックについて
欲しいカードが収録されているセットのパックを用意しておくのが言うまでもなくベストだが、これまで剥いたことがないパックを手にする機会にしても良いかもしれない。闇鍋ならぬ闇パック、ランダムで何が飛び出るかわからないようにするのもエキサイティング。
やっぱり銀枠セットを用意しておくのが噛み合って面白いかな? あるいは《Coal Golem》の赤マナ生産を前提に、赤のトリプルシンボルで強いカードが入っているセットに期待するのも趣があるな。個人的には『ザ・ダーク』を開封して実際に靴下の中身が《Coal Golem》だったという体験をしてみたいね!
《Stocking Tiger》と《Coal Golem》、寅年を祝うホリデーデッキを構築させていただいた。今年もこんな具合に「初心者にやさしく&マニアもディープに」をモットーに誰でも楽しめるコラムを目指していくので、どうぞよろしく。今年もマジック:ザ・ギャザリングを生活のおともに!
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