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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アゾリウス・コントロール:勝利の公式とは(アルケミー)
前回は新フォーマット・アルケミーにおける《審問官の隊長》や《書庫の鍵》を《テレポーテーション・サークル》で出し入れして得をするデッキを紹介した。クリーチャーをそうやって使いまわすデッキは多く見られるが、アーティファクトに関しては珍しいのでより注目度の高いリストだったね。
そんな使いまわすことでカードを得られる《書庫の鍵》。
単純にカード1枚として見てもなかなかに強いものである。マナの支払い先が指定されていないもので、好きな色の組み合わせで2マナ得られる……そんなアーティファクトは稀有なもので、ここだけを見てもかなり優秀だ。
そして呪文書からのドラフト能力。これで得られるカードはミスティカルアーカイブから選ばれた15枚。つまりこれは、ストリクスヘイヴンの重要な魔法に関する書物を納めた書庫を開けるための鍵ってことだな。
この鍵でアクセス可能なインスタント&ソーサリー15種類の顔ぶれは、まさしく歴史的な呪文の数々といったところ。中でも《対抗呪文》や《審判の日》、《副陽の接近》とかつてコントロールデッキで活躍したカードが多めに用意されている。つまり、コントロールデッキで用いればデッキのベクトルとも噛み合って、その強さを存分に発揮できるということだ。
コントロールと言えばまず青。打ち消しやクリーチャーや呪文を手札に戻すバウンスで対戦相手の展開を足止め、減った手札はドロー呪文で補充。そしてスタンダードをベースとしたアルケミー環境では、最強格のフィニッシャーである《船砕きの怪物》を用いることが可能と、コントロールするなら青がやっぱり安定というところだ。
これと組み合わせるのはクリーチャーやプレインズウォーカーなど、パーマネント除去に優れた色。《ドゥームスカール》《運命的不在》を擁する白、《食肉鉤虐殺事件》《血の長の渇き》など選択肢は多数の黒、《家の焼き払い》《棘平原の危険》など小技を持った赤……いずれも魅力的であり一長一短。
《書庫の鍵》を採用した青いコントロールと組み合わせるならどの色かな……いや待てよ、あぁ、この色には他に勝る圧倒的な長所があったな。というわけでアルケミー環境のコントロールデッキ、その初期のリストをご覧あれ。
4 《島》 2 《平地》 4 《さびれた浜》 4 《連門の小道》 2 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 1 《フロスト・ドラゴンの洞窟》 1 《見捨てられた交差路》 1 《廃墟の地》 -土地(19)- 3 《霊媒者》 2 《クローンの造り手》 2 《溺神の信奉者、リーア》 2 《船砕きの怪物》 -クリーチャー(9)- |
2 《神聖な粛清》 1 《予想外の変換》 1 《同族の否定》 3 《消えゆく希望》 3 《運命的不在》 3 《ジュワー島の撹乱》 2 《黄昏の享楽》 4 《ゼロ除算》 2 《記憶の氾濫》 2 《書庫の鍵》 3 《公式発見》 2 《海門修復》 1 《エメリアの呼び声》 3 《日没を遅らせる者、テフェリー》 -呪文(32)- |
3 《才能の試験》 2 《黄昏の享楽》 2 《記憶の氾濫》 3 《ドゥームスカール》 2 《環境科学》 1 《アルカイックの教え》 1 《殲滅学入門》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
青白2色、通称アゾリウスカラーのコントロールだ。
白が選ばれた理由は? その答えは《日没を遅らせる者、テフェリー》!
彼は[+1]能力で土地・クリーチャー・そしてアーティファクトをタップorアンタップできる。そう、アーティファクトを起こせるということは《書庫の鍵》から計4マナ得られるということであるッ!
この爆発的マナ加速により、大振りのアクションを同一ターンに複数回行うような、パワフルなコントロールデッキが成立したというわけだ。コントロールにとってマナとは血液のようなもの、それが少なければ決して四肢は自由に動かない。鍵とテフェリー、2つ揃えてマナをあふれるくらいに得るべし!
このデッキは鍵以外にもアルケミーの新カードを多く取り入れている。まずはクリーチャー、相手のライブラリーからクリーチャーの複写を得るというデジタルならではの能力を持った《クローンの造り手》。
これはデッキの重要なパーツというわけではないが、ブロック役やフィニッシャーを得られる可能性がある、ちょっとしたスパイスになっている1枚だ。2マナと軽いので気軽に使えるのが良いね。
同じく2マナのクリーチャー《霊媒者》はかなり重要なデッキのエンジン的役割を持つ。
手札のインスタントかソーサリー1枚のコストを{2}少なくするという、ゲームの流れを大きく変えるコスト軽減を行う。重くて強いカードをいち早く唱えるように準備するのも良いし、《ゼロ除算》を1マナにするというよるな小技のために用いても良い。ただのマナ加速でなくタフネス3でブロック役としてライフを護ってくれるので、これ1枚で時間短縮と時間稼ぎの両方ができると考えると……見た目からイメージするより、はるかに高いカードパワーを誇っている。
そしてコントロールにとって重要な除去。なんと3マナに新しい全体除去がやって来た。《神聖な粛清》だ。
マナ総量3以下のアーティファクトとクリーチャーを追放! 範囲は限定されるが、序盤の脅威をまとめて薙ぎ払うその威力は目をみはるものがある。こうして追放されたカードは、追加コストとタップインという追加効果を与えられた形で、再度唱えられるようになっている。つまりは病を根っこから完治させるわけではないのだが……これは逆に考えれば、自分の《霊媒者》たちを使いまわせるということでもある。自分のクリーチャーを巻き込んでも損しない、むしろ得すらしうる全体除去、こいつはツエ~ぜ。
そして青系コントロールを支える、最強のカードといえるのが《公式発見》だ。
これは手札に土地でないのカードを3枚抽出し、その後手札のカードすべての(ここ重要!)コストを{1}下げるという、いわばドローとマナ加速を同時に行っているというとんでもないインスタントだ。
カードタイプを問わず永久にコストを下げるというのは、言うまでもなく超強力、鍵やテフェリーのコストが下がればそれだけ積極的に動けるようになるからな。
これだけ大きな効果をもたらすインスタントなので、コストは重めの6マナ。ただ、これ《霊媒者》で下がっちゃうんだよな。4マナと軽くなった《公式発見》……これを唱える時のアドレナリンの量は平常時の10倍じゃきかないかもしれないな。
アグロデッキたちはここに至るまでコントロールを生き延びさせてはダメということで、逆にコントロールはこの領域に至れば勝ったようなもの。コストが軽い《溺神の信奉者、リーア》や《船砕きの怪物》がいればできないことはもう何もあるまい。
上記のリストは土地が19枚、土地のモードを持つ両面カードが6枚で実質25枚という形で運用されている。これをコピーして回してみたのだが、個人的には土地が3枚や4枚で止まってしまうゲームにどうしても遭遇してしまった。土地はいくらあっても困らないの精神で、もう2枚追加して計27枚にすると安定したので……ドローに自信がない人には同様の改造をオススメしておこう(笑)。
僕は《見捨てられた交差路》の枚数を2枚増やす形でやっている。
この土地、2色の中速~コントロールではかなり強く感じたね。後手ならアンタップで置ける可能性がある、2色のうち欲しい方が得られる土地。先手ならタップインではあるが、占術できるのは1ターン目などマナを必要としないデッキには嬉しいオマケ。なんだったら後手の時もアンタップではなく占術を選べると、使い勝手が非常によろしい。アルケミーで遊ぶのなら、入手しておいて損はないと断言できるね。
手札のカードのコストを減らし、手札を増やし、さらにそのコストを減らして……デジタルならではの恩恵をバンバンに受けまくる青いデッキの代表、「アゾリウス・コントロール」。このデッキに勝つには赤のスピード感と、手札を捨てさせる黒の要素といずれかがあると道が開けるように思えたね。アルケミーをプレイする、それは《公式発見》で気持ちよくなるか、あるいはそれを阻止するかという戦いなのかもしれない。
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