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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
バント・テレポート:今こそ発揮せよ、そのポテンシャル(アルケミー)
アルケミーはスタンダードと差別化を図るために設立されたフォーマット……であるならば、スタンダードでは活躍していないカードにとっての晴れ舞台となることが望ましい。
前々回、前回と、スタンダードの既存デッキをベースに組めるデッキも良いものだが……根っからのマジックマニアであれば、現行スタンダードでは味わっていないゲーム体験を求めているのではないだろうか。
安心してほしい、もちろんそういうデッキが登場したぞ! そのデッキのキーカードは……《テレポーテーション・サークル》!
これは面白いデザインのカードだが、スタンダードではなかなか活躍できていなかった1枚だ。ターン終了時にクリーチャーかアーティファクトを追放、それを即座に戦場に戻すという、通称ブリンクと呼ばれる能力を毎ターン行えるエンチャントだ。
このカードの特徴として、クリーチャーのみでなく、アーティファクトもブリンクできるという点が挙げられる。しかしながらスタンダードではブリンクして嬉しいアーティファクトというものが……パッと思い浮かばないな。クリーチャーであれば《精鋭呪文縛り》などブリンクすることでかなり美味しい思いができるのだが、カードのポテンシャルを最大限引き出せているとは言えないなぁ。
その点、アルケミーなら大丈夫。テレポーテーションさせて嬉しいクリーチャー、そしてアーティファクトが新規参入だ。早速、デッキリストを見てみよう。「バント(白青緑)テレポート」の姿を!
2 《森》 2 《平地》 4 《草茂る農地》 1 《夢根の滝》 3 《さびれた浜》 4 《枝重なる小道》 4 《樹皮路の小道》 4 《連門の小道》 -土地(24)- 4 《裕福な亭主》 3 《象徴学の教授》 3 《シガルダ教の福音者》 1 《絡みつく花面晶体》 2 《古物蒐集家》 4 《玻璃池のミミック》 3 《スカイクレイブの亡霊》 2 《月恵みのクレリック》 3 《白髪交じりの猟匠》 4 《審問官の隊長》 -クリーチャー(29)- |
3 《書庫の鍵》 4 《テレポーテーション・サークル》 -呪文(7)- |
3 《精鋭呪文縛り》 1 《粗暴な聖戦士》 1 《スカイクレイブの亡霊》 1 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》 1 《星界の大蛇、コーマ》 2 《ポータブル・ホール》 2 《否認》 1 《運命的不在》 1 《環境科学》 1 《封印突破法》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
《テレポーテーション・サークル》が軸ということはブリンク・デッキであり、戦場に出た時に能力を誘発させるクリーチャーがたっぷりと入っているものである。
《裕福な亭主》で宝物を生成する(ついでに他のクリーチャーがブリンクすると回復する)、《象徴学の教授》で2教科以上履修する、《スカイクレイブの亡霊》で新たなパーマネントを対処する、《玻璃池のミミック》のコピー先を変更する、《月恵みのクレリック》で2枚目のサークルを持ってくる……既存カードで行えるアクションだけでも十分に楽しそうに見えるが、ここにアルケミーの新カードが加わることでゲームに勝てる強さも付随してくる。
まず分かりやすいカードから、《審問官の隊長》。
これは条件があるものの、それをクリアしている状況下だと4マナで3/3警戒+もう1体のクリーチャーを得られる。何を得られるかはランダムに選ばれた2枚から選ぶことになるが、まあ何が出ても弱いということはなく。
《集合した中隊》は時折クリーチャーを1枚しか出せない、あるいは0枚というハズレも起こり得るが、この隊長は墓地・ライブラリー・手札の3マナ以下のクリーチャーが合計20枚を切らない限りはハズレることなくクリーチャー2枚を供給する「ハズさない中隊」とも言える凄いヤツなのだ。これをサークルの対象にしてブリンクすれば如何に強いか、語るまでもあるまい。
《玻璃池のミミック》を連れてきて隊長のコピーになってもう1回、なんてのが複数回継続することもある。対戦していてそれをやられると気絶しそうになるし、自分で使っていてそれが決まっても良い意味で気絶しそうになる。隊長がテレポート、最強の動きを決めていこう。
他にも新顔が多いデッキである。ライブラリー内のクリーチャー量が減ると隊長が弱くなってしまうという点を補うのは《古物蒐集家》。
クリーチャー死亡時にライブラリーに戻って手掛かりを残すという能力を付与する、これまたアドバンテージに繋がるナイスカード。
《シガルダ教の福音者》は唱えれば手札にその複写が現れ、このターン限りの連打が可能というデジタルならではの能力持ち。
2マナ3/1を複数並べて戦線を再構築、あるいはタップする能力でブロックをこじ開けて攻撃をねじ込んで決着など、劇的なゲーム展開を生み出す隠れたパワーカードだ。
《白髪交じりの猟匠》は少しテキストがややこしいが、要するに手札のクリーチャーをサイドボードの任意のものと交換することができる。サイドの《星界の大蛇、コーマ》をはじめとする、相手や状況によって火を噴くカードを手に入れてゲームを優位に進めるべし。
ターン終了時に消えてしまう福音者の複写を、この猟匠で他のカードに交換するというテクニックは覚えておいて損なしだ。この猟匠もまた《テレポーテーション・サークル》と相性の良い1枚だな。
さぁそしてお待ちかね、アルケミーならではのブリンクして嬉しいアーティファクト、それが《書庫の鍵》!
4マナで色マナが2つ得られるアーティファクトというだけでも強いが、これが戦場に出れば呪文書からカードを1枚ドラフトできる。それが《時間のねじれ》や《対抗呪文》《稲妻のらせん》《化膿》など、ミスティカルアーカイブのシンプルに強力なものから、かゆい所に手が届く的なものまで取り揃えてあるので、さまざまなゲーム展開・対戦相手に応じたカードを得られる便利な置き物となっている。
これをブリンクすれば……そう、強力カードを常に手札に持ってくることが可能になるということ。長期戦にもつれ込んだ場合、これをサークルで出し入れするだけで不要な土地やクリーチャーがゲームを決める1枚へと化けていく。クリーチャーで戦うデッキと思いきや《副陽の接近》で勝ちとかいう、わけのわからない事態も引き起こしてしまう。どうだい、使いたくなったろう?
というわけでクリーチャーのみならずアーティファクトをブリンクするという、デザインされた通りの挙動でフルパワーを発揮できるようになった《テレポーテーション・サークル》。今後アルケミーでは存在感を発揮していくことになるだろう。
MTGアリーナで手に入れて、未だに日の目を見ていないなというレアや神話レアがあったら……今こそアルケミーで輝かせてあげようじゃないか。拡がった可能性、逃すわけにはいかないぞ。
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