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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ナヤ・ウィノータ:その男、デカすぎにつき(パイオニア)
マジックのカードって本当に面白くってね。カード1枚を見ているだけでもいくらでも語れることがある。
たとえばクリーチャー・カード。そこには背景ストーリーの舞台となる次元の住人の姿が描かれている。何が面白いかって、時折異常なフィジカルの持ち主が現れることがある。
例えばマジックの世界では《灰色熊》が2/2だ。
これに対して武器と防具で武装したり魔術を用いる人間たちも2/2であったりする。これはまだイメージできるかな、身の丈2メートルを超える熊と戦えるくらいには戦士やウィザードは強いってことで。
3/3になると熊を一方的に倒せることでかなり強い人間だなとなり、4/4までいくと一部のドラゴンなんかとも相討ちが取れるかなりの戦闘民族という認識になる。
そして時折、それすらも遥かにしのぐとんでもないフィジカルの持ち主が登場する。マジックの世界では巨人は珍しい存在ではなく、この巨人の中でも最も有名なのが《太陽のタイタン》《霜のタイタン》《墓所のタイタン》《業火のタイタン》《原始のタイタン》のタイタン・サイクル。6マナ6/6と圧巻のサイズを誇るこの巨人と呼ぶにふさわしい面々……
……に肩を並べる、非巨人の人間がいる。『イニストラード:真夜中の狩り』で登場した《トヴォラーの猟匠》だ。
で、でっけぇ……タイタンに引けを取らず、《黄金架のドラゴン》くらいなら正面からぶつかって一方的にブッ倒すって、どういうフィジカルしてんだよ……と、初見の時はやや引いてしまったくらいだ。
イラストで狼を従えているように、このハンターは戦場に出ると狼・トークン2体を生成する。6マナで10点分のクロックを用意できるとあって、何かと《墓所のタイタン》と比較対象になってネタにもされている。
その正体は狼男であり、変身すると7/7とさらにサイズアップする正真正銘の化け物だ。純粋な人間でないとしても、ここまでデカい人がいるとは……イニストラード恐るべし。
ゲーム的には6マナ支払って真面目に使ってもそれに十分見合うパワフルな1枚。ただ、もっとワルい使い方もできてしまう。そう、何度も言うように《トヴォラーの猟匠》は人間なのだ……
1 《森》 4 《踏み鳴らされる地》 4 《寺院の庭》 4 《岩山被りの小道》 4 《枝重なる小道》 3 《感動的な眺望所》 2 《針縁の小道》 1 《ハイドラの巣》 -土地(23)- 4 《エルフの神秘家》 4 《ラノワールのエルフ》 2 《金のガチョウ》 4 《裕福な亭主》 2 《無私の霊魂》 4 《粗暴な聖戦士》 2 《精鋭呪文縛り》 4 《軍団のまとめ役、ウィノータ》 4 《トヴォラーの猟匠》 -クリーチャー(30)- |
3 《レンジャー・クラス》 4 《エシカの戦車》 -呪文(7)- |
3 《エメリアのアルコン》 2 《砕骨の巨人》 2 《精鋭呪文縛り》 2 《スカイクレイブの亡霊》 1 《傑士の神、レーデイン》 3 《引き裂く流弾》 2 《安らかなる眠り》 -サイドボード(15)- |
デカくて強い人間とあればこの人の出番、《軍団のまとめ役、ウィノータ》!
彼女も4マナ4/4とかなりの武闘派人間なのだが、その神髄は能力にあり。非人間クリーチャーで攻撃することで、ライブラリーから公開された人間をそのまま戦場に出せるという、強烈なコスト踏み倒し能力を持っている。
というわけでこれはパイオニアの「ナヤ・ウィノータ」。ウィノータで《トヴォラーの猟匠》を戦場に引っ張り出し、6/6で攻撃しつつ2/2を2体立たせるというとてつもないムーブをやってのけようという貪欲なデッキである。殴りながらブロッカーも複数用意できて攻防一体、これを決められて平然としていられるデッキなどほとんどないぞ。
《トヴォラーの猟匠》という大当たり以外にも人間を用意しないと、さすがにデッキとしては機能させるのが難しくなる。そこで猟匠と同セットから白い狼男《粗暴な聖戦士》が登場だ。
戦場に出た際にクリーチャーを追放するので、攻撃を止められることなく本体に叩き込む強烈な除去として働いてくれる。戦場を離れると追放したクリーチャーは戻ってしまうが、ウィノータで出た時には破壊不能がついているので攻撃状態で飛び出ても安心というわけだ。
これに安定の《精鋭呪文縛り》と、採用されている人間はいずれも戦場に出たときに誘発する能力を持っており、マナを支払わずクリーチャーを出した上に、さらなるアドバンテージまで取ってしまおうという欲望むき出しな構成だ。
強力な人間を得るには、ウィノータを誘発させる非人間クリーチャーのチョイスも重要になる。まずはパイオニアが誇るマナエルフ、《ラノワールのエルフ》と《エルフの神秘家》の2種8枚セット。さらにここに《金のガチョウ》まで加えて、絶対に1ターン目にマナを出すクリーチャーを出してやるぞという強い意志を感じる。
これらの加速でウィノータを3ターン目に戦場に出し、その後はこれらの攻撃でバンバン人間を叩きつけるのである。
一度きりのマナとして宝物を与える《裕福な亭主》も重要なカードで、同じクリーチャー主体デッキ同士の戦いではこれの持つライフ回復能力がじわじわと効いてくる。
ともに採用されている非人間として《無私の霊魂》にも注目。
2マナでパワー2の飛行と攻撃しやすいスペックに加えて、生け贄に捧げると自軍の全クリーチャーに破壊不能を付与。ウィノータからの大量展開でもとどめを刺せず、返しに《至高の評決》で何も残らず全滅……という事態を回避できる貴重な保険である。サイドボード後、ウィノータが決まりにくく真面目に展開せざるをえない状況でも、このスピリットは強気な盤面づくりを肯定してくれるはずだ。
今後も《トヴォラーの猟匠》のような異常にデカい人間クリーチャーが出てくることだろう。その時には《軍団のまとめ役、ウィノータ》と組み合わせることで強烈なインパクトを放つデッキを作れるということを念頭に置いておこう。店舗での大会が復活してどんどん盛り上がっていくパイオニア、ウィノータ・デッキは要対策だぞ!
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