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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:バザール・トリンケット・ヴァイン(モダン)
今週もいくぞッ! Cool Deck!
ということで毎週金曜日は戦績や強さよりもまずクールに感じたか否かを最重要視してピックアップしたデッキを紹介していくコーナーをやっているので、初見の方はなんだそれはと戸惑うかもしれないけえwども、クールな世界についてきてくれると幸いだ。
全体的に好きにやらせていただいている当コラムだが、クールという正直どうとでも言える概念を盾にこのコーナーでは本当に個人の好みを全開でやらせてもらっている。なので今週もその例に漏れず、否、いつも以上に趣味全開でやっていこう。
早速だが、マジックの何がクールだろうか? ゲーム性ももちろん、語りだすとキリがない。それは置いといて、ビジュアルもむちゃくちゃにクールだよね。マジックのカードアートは本当に唯一無二のもので、ここにしかない世界観がある。
僕はそこにほれ込んでこのゲームをスタートしたので、特にアートに関しては重要だと思っている。たとえ世間一般では弱いと認識されているカードでも、イラストが良すぎるという理由でデッキに採用してしまうくらいには。これは勝利には繋がりにくいが、クールな遊び方だと信じている。
マジックを始めてすぐに気付いたのは、カードの下部にそのイラストを担当したアーティスト名が書かれているということ。そこからは好きなアーティストにのめり込んでいくことに。
特に独特な怪物や巨大な機械がグロテスク、バイオレンスなシーンを彩っているものが好きで、マーク・テディン/Mark Tedin、ケヴ・ウォーカー/Kev Walker、ロン・スペンサー/Ron Spencerといった名アーティストたちにハマっていった。
クリストファー・メラー/Christopher Moellerもそんなアーティストのひとりで、この人のアートはクッキリした陰影が他のそれと一目で見分けがつく個性を放っていて記憶に残る。僕がマジックを始めた『ウルザズ・サーガ』にて《抹殺》《隠れたるゲリラ》でメラー氏もマジックデビューを果たす。
これらのカードもクールだったねぇ。以降長きに渡って僕らにクールなイラストを提供し続けてくれた。《翻弄する魔道士》《破滅的な行為》《包囲攻撃の司令官》《梅澤の十手》《罰する火》《稲妻》などなど……構築シーンを彩ったカードも多数手がけている。そんなメラー氏がかつてグランプリにて来日した際に、《セファリッドの皇帝、アボシャン》の手描きプレイマットを贈ってもらえたことは僕のマジック人生で最もクールな出来事のひとつだ。
そんなメラー氏は『イクサラン』を最後にマジックのカードアートを手掛けることを引退すると宣言。世界中のファンが惜しみつつもその勇退に敬意を示した。
それから時を経て、『モダンホライゾン』にて、まさかのメラー氏の新規アートが登場。これまた世界中のファンを驚かせた。おそらくはすでに納品済みだったアートなのか、あるいは今後はこのようなスポット参戦になるのか。どちらにせよこういうサプライズは大歓迎で、新作を拝めたことはクールな喜びに満ちていた。
そのカードは《バザールの交易魔道士》! 今日はこのクールなカードが主役のデッキを紹介だッ!
1 《島》 1 《山》 1 《森》 1 《神聖なる泉》 1 《聖なる鋳造所》 1 《寺院の庭》 2 《繁殖池》 1 《湿った墓》 1 《草むした墓》 2 《蒸気孔》 2 《踏み鳴らされる地》 1 《血の墓所》 1 《ケトリアのトライオーム》 1 《ラウグリンのトライオーム》 2 《霧深い雨林》 1 《沸騰する小湖》 3 《樹木茂る山麓》 -土地(23)- 1 《メムナイト》 4 《猛火のルートワラ》 3 《エスパーの歩哨》 1 《呪詛の寄生虫》 4 《縄張り持ちのカヴー》 4 《バザールの交易魔道士》 4 《谷の商人》 4 《粗石の魔道士》 4 《復讐蔦》 1 《不可思議》 2 《虚ろな者》 -クリーチャー(32)- |
1 《ポータブル・ホール》 3 《万華焼》 1 《虚空の杯》 -呪文(5)- |
2 《基盤砕き》 1 《トーモッドの墓所》 2 《狼狽の嵐》 2 《白鳥の歌》 1 《不死の霊薬》 2 《呪われたトーテム像》 2 《減衰球》 1 《壌土からの生命》 1 《仕組まれた爆薬》 1 《スフィアー・オヴ・アナイアレイション》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
その名も「バザール・トリンケット・ヴァイン」。なんのこっちゃな集合体である。デッキ名を一つずつ解説すると、まずバザールは先に紹介したクールなアートの《バザールの交易魔道士》。トリンケットとは《粗石の魔道士》の英名Trinket Mageより。ヴァインも同じく《復讐蔦》の英名Vengevineからとられたものだ。
これらのクリーチャーはいずれも4枚採用されており、デッキの核であることがわかる。ではこれらのカードが集まることでどのような動きを見せてくれるのか? 順を追って見ていこう。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:バザールは今日も大賑わい
《バザールの交易魔道士》は3マナ3/4で飛行持ちと、マナ総量で考えた場合かなり破格のスペックを持っている。
そのためにデメリット的な能力が付与されており、戦場に出たときにカードを2枚引き3枚捨てなければならない。手札がたくさんあればそれほどマイナスには作用せずむしろ手札を入れ替えられてプラスになるかもしれないが、少ない時にはこれが重くのしかかる。何せ引く枚数よりも捨てる枚数の方が多いので、手札の総数は減ってしまう。これが手札2枚以下であれば手が空になってしまうということである。
ただデメリットと断言せずに「デメリット的」と表現したのには理由がある。マジックは時に手札を捨てることがポジティブに働き、その枚数が多ければ多いほど良いというケースもある。3枚捨てることを活かせるデッキを構築すれば、デメリットどころかメリットにもなり得るのだ。このデッキがクールなのはそこにある。
手札からヴァインこと《復讐蔦》を捨てて、この4/3速攻が持つ墓地から戦場に戻る能力を利用して怒涛の展開を演出するのが狙いだ。《バザールの交易魔道士》で捨てた《猛火のルートワラ》をマッドネスしたり、《メムナイト》を唱えるなどすれば3ターン目に3/4飛行・4/3速攻・その他もろもろというパワフルな展開も可能。
《復讐蔦》は何枚墓地にあろうと1ターンにクリーチャー呪文を二度唱えるという条件を満たせば全部戦場に戻ってくるので、いきなり8点、12点なんていうクライマックス展開も。
《バザールの交易魔道士》の3枚捨てるデメリットをクールに活かすために、ヴァイン以外には《虚ろな者》も採用。
3枚捨てれば{0}で唱えられるので、これを複数体出したりヴァインと組み合わせることでデッキの暴力性を高めている。
これらのパワー4軍団を《不可思議》で飛ばすというのが必殺パターンだ。
《万華焼》は捨ててもフラッシュバックで唱えられるという点で手札の損失をカバー。しかもフラッシュバックコストのおかげで5点火力になるので、これで最後の一撃をくれてやるのは実にクールだ。
バザールだけでは手札を捨てる役が足りないので《縄張り持ちのカヴー》と《谷の商人》を併用。
カヴーは2マナで最大5/5とサイズも頼れて、捨てるだけでなく墓地対策も兼ねている優れモノ。これのためにタイプを複数持つ土地をたっぷり採って、同時に《万華焼》も活かすという発想は本当にクールだね。
クールポイントその2:トリンケットも大忙し
バザールとヴァインにしか触れていないので、ここでトリンケットこと《粗石の魔道士》のターン。
トリンケットは1マナ以下のアーティファクトを手札に加えられるので、これで《メムナイト》や《エスパーの歩哨》などを持ってくると1枚でクリーチャー2枚分のカウントになる。バザールなどで下準備をしたところにトリンケットで確実にヴァインを戻すというシナリオが用意されているわけだ。
そしてもちろん、ただクリーチャーを持ってくるだけでなく、それ以外にも1マナ以下のアーティファクトが手に入るので、メインとサイドにはそうやって調達して特定の相手・ケースで力を発揮するものを散らしてある。1枚ずつ散らしたカードをそれぞれの怪物(デッキ)に効果覿面な銀弾になぞらえた、トリンケットを用いるデッキが得意とする「シルバーバレット戦術」だ。これを無理なく採用しているデッキって、クールだよなぁ。
クールなまとめ
マジックの歴史に名を残すクールなアーティスト、クリストファー・メラー/Christopher Moeller。彼の引退後にもたらされたサプライズ《バザールの交易魔道士》と、その癖のある能力を活かしたクールなデッキを紹介させてもらった。
皆も今一度、手元のカードを見返してみよう。何気なく触れているそのカードにも、クールなイラストが施されていることに気付いた時、マジックはさらに面白くなる。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Moeller is awesome!!
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