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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アゾリウス・スピリット:今しかない夏(スタンダード)
この夏、最高潮。何がって? スタンダードのカードプールの話だ。
現在、スタンダードのローテーションは秋のセットのリリース時に行われている。スタンダードは際限なくセットが追加されていくわけではなく、リリースから一定の期間が経ったセットはスタンダード落ちして使用できなくなる。そうすることでゲームバランスを保ち、環境で使用されるカードに変化をもたらして飽きのこない新鮮味のあるゲームを提供してくれているのだ。
秋セット、今年で言えば『イニストラード:真夜中の狩り』のリリースと同時に使用可能セット数が減る(もちろん新セットと入れ替わりではあるが)。ということは、つまりはその手前である夏。まさに今がスタンダードの使用可能なカードが最も多いタイミングなのである。
今しかプレイできないデッキがあるということで、2019年から2021年にかけてのセットが作り上げたこのスタンダードが好きなんだという方は、最後までお気に入りのカードやデッキを満喫してくれたらなと。
今回はこの夏しか組めないデッキをご紹介しよう。シナジーを重視するカードは、それがリリースされた段階ではデッキを組むのに十分なカードが足りずに本領を発揮できないことがあったりする。特に部族シナジー、すなわち特定のクリーチャータイプで固めたデッキでこそ輝くカードは、カードプールが拡がりきらないとデッキが成立しないこともしばしば。
今回紹介するデッキ、その主役は「スピリット」。白と青に多く収録され、単体でのサイズは大きくないが回避能力と部族シナジーで対戦相手に妨害するなどテクニカルな面を押し出した部族デッキが知られている。
1年前の『基本セット2021』では、このスピリットが揃えばシナジーを形成するカードが収録されていたのだが、それらのみでデッキを組むには枚数が足りないという状況だった。1年経って、カードプールは最大に。それにより、役者は揃った。「アゾリウス(白青)・スピリット」の登場だ。
9 《冠雪の平地》 7 《冠雪の島》 4 《氷河の氾濫原》 4 《連門の小道》 -土地(24)- 4 《隆盛するスピリット》 4 《堕ちたる者の案内者》 4 《クラリオンのスピリット》 4 《幽体のこそ泥》 4 《鎖霊》 3 《ガーディアン・オヴ・フェイス》 3 《スカイクレイブの亡霊》 -クリーチャー(26)- |
4 《パラディン・クラス》 4 《モンク・クラス》 2 《兵員の結集》 -呪文(10)- |
3 《トーモッドの墓所》 4 《ポータブル・ホール》 4 《否認》 3 《神秘の論争》 -サイドボード(14)- |
《鎖霊》はスピリットを2体タップすることで対戦相手のクリーチャー1体をタップできる。
数の面では損をしているが、どれだけサイズで負けていても攻撃やブロックを封じることができるというのは強力だ。
これを活かすための軽量のスピリットは2021年になって増えることとなった。1マナ域から3マナ域まで、軽くて使い勝手の良い面々だ。早いターンから積極的にそれらを展開して攻撃を続け、向こうも攻撃の体制が整ったら《鎖霊》で戦場を支配して殴り切る……というのが理想的なストーリーだ。
アンタップ状態になるたびに{2}を支払えばドロー可能で、サイズには恵まれないボディで攻撃するために《鎖霊》のタップを駆使する、あるいはタップする役を担わせるなどしてドローさせてアドバンテージを得ていこう。
もう1体、《クラリオンのスピリット》もスピリット・トークンを量産するので、タップ役をどんどん生みだして戦場を制圧しよう。
これらの大事なスピリット、せっかく並べたところに除去を受けたりしたらたまったもんじゃない。そこで重要な役割を担うのが《ガーディアン・オヴ・フェイス》、この夏登場したスピリット最後のピースだ。
瞬速で飛び出して、自分のクリーチャーをフェイズ・アウトさせる。こうなったクリーチャーは戦場にいるのだが、一時的にいないものとして扱うことになり、戦闘ダメージや各種除去などあらゆる影響を受けず、死亡することはない。うまくこれを差し込んで、戦線が崩壊するのを防ぎつつスピリットの数を増やしてどんどん有利な状況に持っていこう。《スカイクレイブの亡霊》の死亡を避けられたらベストだね。
非クリーチャー呪文のチョイスも面白い。《兵員の結集》とともにスピリットの全体強化を行うのは《パラディン・クラス》。
レベル2はもちろん、レベル3は《クラリオンのスピリット》や《堕ちたる者の案内者》でクリーチャーの数を並べられるデッキにとっては必殺の一撃ならぬ二撃を生み出すポテンシャル有り。
同じクラス・エンチャントである《モンク・クラス》も面白いチョイス。
1ターンに2回呪文を唱えることにボーナスを与えるもので、アドバンテージ源とマナ加速を兼任する。それでいてレベル2ではパーマネントを手札に戻せるので、無理やり攻撃をねじ込んだり、あるいは自分のスピリットを戻して使いまわすというトリッキーな作戦も狙える。《クラリオンのスピリット》のために1ターン2回行動したいデッキにとっては、まさしく待ちに待っていた1枚だね。
《鎖霊》たち『基本セット2021』のスピリットがスタンダードで使えるのはあとわずかな期間。ただ、ローテーション落ちしても他のフォーマットでは使用することができるので今生の別れというわけでもないし、このデッキの場合は大部分が来期スタンダードにも残ることになる。秋に訪れる次元はイニストラード、スピリットが宙を舞う妖しい世界なので……入れ替わりで強力なスピリットがやってくるかも?
ランク戦にて6連勝以上の成績を残したデッキ集からチョイスしたリストなので、ここをベースに各自の好みに調整する甲斐もあるかもしれない。暑い夏、アツいスタンダード。夏休みはたっぷりマジック、今しかないカードプールを堪能しよう!
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