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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ラクドス・メガハンデス:マニア好みの戦術を知れ(スタンダード)
前回に引き続き、本日も初心者のためのマジック用語(通称)をご紹介! 今回覚えてもらうのはこちら!
「ハンデス」
これは前回のランパンよりも耳にする機会が多いんじゃないかな。単純に略語なので意味もイメージしやすいかもしれないが、まああえて公式コラムで解説するというのも大事なことかなと。
ハンデスとは、日本語できちんと言えば手札破壊。英語でhand destructionで、これを縮めてハンデスと呼んでいるわけだ。
手札破壊と言うものの、正式なルール用語で言うところの「破壊」をするというわけではない。破壊はパーマネント、戦場に出ているカードに対して行うものだからね。手札破壊とは対戦相手の手札を捨てさせることを意味する。そのため「捨てる」を意味する「discard」からディスカードと表現することもある。
ハンデスは主に黒の役目で、イメージとしては精神に干渉し狂気や恐怖でそれを満たしてやることで精神的なダメージを与えたり記憶を失わせたりといった形で呪文を唱えさせないというのを表現している。ゲーム的には対戦相手が持っている手札からカードを抜き去ることで、それが唱えられたり戦場に出される前に未然に対処しようという妨害手段である。次のターンにこれを唱えるぞと意気揚々としているところをハンデスで攻め、プランを崩させることで優位に立とうという手段だ。
ハンデスには大きく2種類あって、ハンデスする側が手札を確認してその中から選んで捨てさせるというものと、ハンデスされる側が任意で選んで捨てるものとがある(無作為に選んで捨てさせるものも過去にはあった)。また、捨てさせるものは墓地に置かれるが、そうではなく追放してしまうより強力なものもあったり。
ゲーム開始からノンストップで手札を展開するアグロデッキなどには効きにくい戦術だが、コントロールやコンボなどにはハンデスで計算を狂わせるのは効果覿面。デッキを構成する要素のひとつとしてだけでなく、ハンデスそのものをテーマとしたデッキもあったりする。大量のハンデスで構成されたデッキはメガハンデスなどと呼ばれることもあり、これを好むマニアの姿をトーナメントで見かけることもあるね。
今日はそんなハンデス主体デッキを見つけたので紹介しよう。フォーマットはスタンダードだ!
3 《沼》 2 《山》 4 《荒廃踏みの小道》 4 《清水の小道》 4 《河川滑りの小道》 1 《ロークスワイン城》 1 《バグベアの居住地》 1 《目玉の暴君の住処》 1 《悪意の神殿》 4 《寓話の小道》 -土地(25)- 4 《収得の熟練者》 4 《古牙の信奉者》 4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》 2 《マグマの媒介者》 2 《ぬかるみのトリトン》 2 《嘘の神、ヴァルキー》 -クリーチャー(18)- |
4 《村の儀式》 2 《血の長の渇き》 4 《落第》 1 《詩人の羽ペン》 4 《遺跡の碑文》 2 《ハグラの噛み殺し》 -呪文(17)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 4 《軽蔑的な一撃》 2 《大群への給餌》 2 《真っ白》 1 《死に至る霞》 4 《絶滅の契機》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(14)- |
このデッキはオンライントーナメントの参加デッキリストより見つけたものだ。このデッキを作成し使用しているプレイヤーはひたすらに同様の構成のデッキをプレイした結果が残っており、根っからのハンデス愛好家のようだ。やっぱり好きな人がとことん突き詰めるタイプのデッキなんだな。
黒を中心に赤も足しているもので、その理由は《死の飢えのタイタン、クロクサ》を用いるため。
コイツはまさしくハンデスの化身で、2マナのハンデスとして気軽に使いつつ、ゲームを終わらせる大ダメージ源としても使用する。
デッキとしては黒のハンデスをひたすら行いつつ、手札破壊を潜り抜けてきたクリーチャーを除去するというコントロールだ。ハンデスの大部分をクリーチャーで行うのもあって、これらで戦闘も行っていくが、顔ぶれとしては自動的に墓地に落ちるクロクサにサイズの小さな《古牙の信奉者》《収得の熟練者》さらには《嘘の神、ヴァルキー》と、すぐさま死亡してしまう面々で構成されている。
ただそれは気にしなくて良いし、対戦相手のクリーチャーをブロックしてダメージを抑えられるなら使い捨てのブロック役として積極的に使って問題ない。なぜなら《夢の巣のルールス》が相棒なので、これで後々使いまわせるからだ。
むしろルールスが機能しだす頃にライフがもうない、なんて事態の方を避けたいので信奉者&熟練者には犠牲になってもらうことを惜しまずに。
ヴァルキーが死亡するとせっかく追放したクリーチャーが手札に戻ってしまうが、その戻ったところをすぐさま捨てさせればノープロブレム! クロクサ含め《村の儀式》で生け贄に捧げてドローに変換してやるのも良い選択だ。ハンデスして対戦相手の手札が空に近い状況に導きながらこちらが攻勢に出る終盤までコントロールしていこう。
生き延びるための除去枠にもメガハンデスらしいこだわりを感じる。ハンデスも兼ねる《遺跡の碑文》は、除去可能なクリーチャーは限られるが状況に合わせて使い分けられるのがイケてるし、キッカーできればもう文句なし。
《落第》はハンデスデッキならではのチョイスで、手札が少ない相手には2マナでほぼ確殺の除去として火を噴くことだろう。
これらとハンデスで時間を稼ぎ、ルールスのもたらすアドバンテージや墓地が貯まって機能しだしたクロクサや《マグマの媒介者》で勝ちに行く。良いデッキだなと思った人は、実際に手に取ってみよう。
このリストは土地とサイドボードの構成からもやり込み具合が伝わってくる。ハンデスで対処できないものは大きく2つ。まず、手札を空っぽにさせても結局のところ、毎ターンのドローまでは止められない。ナチュラルに引き込まれた1枚を叩きつけられて逆転、というのは日常茶飯事。
もう1つは予顕呪文、具体的には《アールンドの天啓》だ。予顕は追放領域にスタンバイさせる呪文で、ここに隠されるとハンデスでは手出し不可能。安全な領域から追加ターンを得られて悔し涙……
という、これらの事態を解決し得る工夫。それが青を足して《軽蔑的な一撃》を使うというアンサーだ。
4マナ以上の呪文を打ち消すこれで、トップから降ってきた強力カードや追放領域から飛んでくる天啓を弾く! 黒赤2色のデッキでこれを可能にしてくれるのがモードを持つ土地。メインでは《清水の小道》を《泥水の小道》、《溶岩滑りの小道》を《河川滑りの小道》として用いればトラブルは起こらず、サイド後には青マナが出る面で置いて一撃を構える。よく考えているよなぁ~。《沼》《山》を大量に入れるのであればいっそのことを青を足してやれという良い意味での開き直り、素敵だね。
ハンデスとは手札を捨てさせること、そしてこれを根幹にしたデッキはやり込んでいるマニア作成のものが多いということ。今回はこれだけでも伝われば、コラム冥利に尽きるというもの。ハンデスに苦しめられたことのあるプレイヤーは、一度ハンデスする側に回ってみればハマってしまうかもよ?
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