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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

バント・ランプ:ランパンの意味、教えます(ヒストリック)

岩SHOW

 本日皆さんに覚えて帰ってもらうマジック用語(通称)はこちら!

「ランパン」

 突然ではあるが、マジックプレイヤー同士でデッキの話をする際にはどうしてもマジックならではの用語が飛び交うもの。知らない用語が飛び出した際にはそれってどういう意味?と聞けばよいのだが、親しい間柄なら問題なくとも、例えばフライデー・ナイト・マジックでマッチングした対戦相手との感想戦の時なんかには話の腰を折ってしまいそうで聞くに聞けない……なんてことはあるだろうね。そんなマジック初心者のために、このコラムができることをやっていこうと。毎回詳しく説明できない分、たまにはこうやってガッツリ文面を割いて解説させていただこう。

 さて、ランパン。マジックのトーナメント配信などで実況解説の口から出てくることもあるだろう、割と日常的に用いられるフレーズだ。ランパンとは、結論から言うと「土地をライブラリーから戦場に出す」という呪文やアクションや意味する。《移動経路》をダブルランパンと呼んだり、そんな感じで1ランパン=土地1枚という認識だ。

 この手のカードは主に緑のソーサリーが担う役目で、自然が豊かになることで土地が拡張され得られるマナが増えるというニュアンスだ。緑という色のイメージをマジック始めたばかりのプレイヤーにも一発で理解してもらえそうなデザインだね。

 では、なぜランパンと呼ぶのか? それにはランパン系呪文の中で歴史ある1枚、《不屈の自然》が関わっている。

 これの英名は「Rampant Growth」。Rampantからランパンと呼ばれるようになったわけだ。

 土地をランドというのもあって、語感もしっくりきて定着した形だ。

 《不屈の自然》は初出が『ミラージュ』と古いのだが、この手の呪文の最初の1枚というわけではない。ではなぜ、このカードがこのメカニズムを代表する1枚となったのか。それは《不屈の自然》が基本セットに再録され続けたことが大きな後押しとなっているだろう。デビューから長らく基本セットで色のイメージを伝える役目を担っていたランパン。スタンダードの速度が徐々にスローダウンし、多色土地のカードパワーも落ち着いたことから基本土地を持ってくるというマナ加速の価値が上昇。これを用いたスタンダードのデッキが使われるようになり、ランパンという呼称が幅広い世代に定着した……というわけだ。

 MTGアリーナではさまざまなランパン系カードがプレイ可能だが、元祖《不屈の自然》は収録されていない。近年のスタンダードでは2マナでランパンすることが少々強すぎるのか、再録されていないことが影響してのことだ。2マナでのマナ加速から3ターン目4マナに繋げる、これはランパンを用いる古典的なランプデッキ(土地を並べて大量にマナを得て勝つデッキ)ユーザーにとっては少々寂しい。

 そんなところに、『ヒストリック・アンソロジー4』にてやってきたのが《北方行》。

 氷雪土地なら何でもタップ状態で出せる、2マナのランパン系ソーサリーだ。『カルドハイム』の基本土地と2色土地、これらの氷雪土地をサーチできるので、緑を中心とした多色デッキを大きく後押ししてくれる1枚である。

 リリースからしばらく時間が経ったのもあってか、最近この氷雪ランパンを用いるデッキと対戦することが増えたように感じる。今日はそんなリストを1つご紹介しよう!

Renzo Arana - 「バント・ランプ」
Insight Esports Presents: Tier 1 Summer Series $5,000 Invitational 8位 / ヒストリック (2021年7月31日)[MO] [ARENA]
2 《冠雪の森
2 《冠雪の島
2 《冠雪の平地
4 《繁殖池
3 《霧氷林の滝
4 《寺院の庭
1 《極北の並木
4 《氷河の城砦
1 《不詳の安息地
4 《寓話の小道

-土地(27)-

2 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン
2 《ハイドロイド混成体

-クリーチャー(4)-
4 《北方行
4 《記憶の欠落
3 《不可解な終焉
1 《乱動への突入
3 《神の怒り
4 《サメ台風
2 《暗記 // 記憶
3 《覆いを割く者、ナーセット
1 《伝承の収集者、タミヨウ
4 《世界を揺るがす者、ニッサ

-呪文(29)-
1 《孤児護り、カヒーラ

-相棒(1)-

1 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン
2 《霊気の疾風
2 《ドビンの拒否権
2 《安らかなる眠り
1 《不可解な終焉
1 《乱動への突入
3 《神秘の論争
1 《審判の日
1 《残骸の漂着

-サイドボード(14)-
MTG Melee より引用)

 

 ヒストリックの「バント・ランプ」だ。以前から存在するデッキではあるが、《北方行》型というのが注目すべき点。《成長のらせん》や《探検》を2マナの疑似ランパンとして用いる形もあったが、より確実性の高い正真正銘のランプを選んだということだ。

 ドローが付いており、手札が減らない《成長のらせん》などは、上手く土地を手札から出せれば言うまでもなく非常に強いのだが、空振りしてしまう危険性も併せ持っている。その危険を回避できる《北方行》は、特に手札が減っているマリガン時などには確実な挙動が安心感をもたらしてくれる。

 また、ただのランパンではなく基本土地以外も持ってこれるというのもこのカードの強み。氷雪2色土地を持ってきて3色デッキのマナ基盤を安定化させ、色マナシンボルを2つ以上含む呪文の運用を楽にしてくれる。それらの氷雪2色土地は森タイプを持っているというのも後述のカードと噛み合っており素晴らしい。

 また、色マナだけでなく盤面にダイレクトに影響を与える《不詳の安息地》までサーチできるのは素晴らしい。

 ゲーム後半ではランパンは無駄なドローになりがちであるが、クリーチャー化する安息地を持ってくればそのままゲームに勝つことも可能なのだ。

 さて、デッキとしては何に分類されるかというと、ランプデッキの多くがコントロールに分類されるように、このリストもその例外ではない。《記憶の欠落》で相手の行動を1ターン遅れさせ、《神の怒り》で戦場をリセット。

 この動きを《北方行》で支えながら、5マナ以上の重い呪文を唱えて戦場を制圧する準備を行う。最もキーとなるのは《世界を揺るがす者、ニッサ》。

 彼女の常在型能力により森タイプの土地からは緑マナが1個多く得られる。これで行動できる回数を増やしつつ、土地をクリーチャー化させてズンズンと攻め返していき、どうやってもひっくり返せない状況まで対戦相手を追い込むのだ。

 大量に得られるマナは《ハイドロイド混成体》や《サメ台風》に注ぎ込み、特大の飛行生物を降臨させてジ・エンドだ。

 安定したマナ加速を求めるのであれば《北方行》はオススメできる、2マナのランパンだ。このカードの存在とランパンという用語を1人でも多くのプレイヤーが覚えてくれれば、これに勝る喜びはないね。

 ところで発音はどうかって? う~ん、ラン↑パン↓……かな? ラン↓パン↓、ラン↑パン↑、ラン↓パン↑……思い返してみれば人によっていろんな発音で言ってたなぁ。皆それぞれしっくりくる発音で言えば問題ないんじゃないかなぁ。

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