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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
青白コントロール:番外カード、チェックしてる?(スタンダード)
番外カードというものがすっかり定番となった。
『カルドハイム』リリース時にファイレクシア語版の《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》がパックから出てくるということで話題になったが、このカードに与えられたナンバーは「333」。『カルドハイム』の収録カードは全285種類であるが、それら通常のカードとは違ったイラストを与えられたもの、あるいは統率者デッキなど特定の製品からのみ入手できるカードは番外カードとして「286」以降の数字が与えられているのだ。コレクターにとっては集めるものが多くはなってしまうが、集めていく楽しさが何段階もあるのは嬉しいことだろう。
プレイヤー視点から見れば、それらの番外カードの中に強いものがあるのかどうかが気になるところ。通常カードに含まれないということはそのセットの顔になるような目玉カードが含まれているということはないが、独自性が高かったり実験的なデザインが成されたものがちらほら見られて、これらのカードをデッキに投入して試すのは隠しキャラを発掘していくような感覚があって面白い。
セットのカードをすべて集めてあらかた試したなぁという方は、次は番外カードにも手を出してみよう。競技目線では周知されていないものが多く、つまりはほとんどのプレイヤーがそのカードに対して警戒もしていないどころか対処法もわからない。だから上手くハマれば大活躍、連勝をもたらしてくれる可能性もある。
今回はスタンダードにて存在感を示した番外カードを採用したデッキを紹介だ。
6 《島》 6 《平地》 4 《ラウグリンのトライオーム》 4 《啓蒙の神殿》 4 《連門の小道》 1 《ヴァントレス城》 1 《這い回るやせ地》 1 《廃墟の地》 -土地(27)- 4 《スカイクレイブの亡霊》 4 《太陽の恵みの執政官》 1 《夢さらい》 -クリーチャー(9)- |
4 《ガラスの棺》 4 《ジュワー島の撹乱》 4 《精神迷わせの秘本》 4 《海の神のお告げ》 4 《メレティス誕生》 4 《襲来の予測》 2 《太陽の神のお告げ》 1 《真夜中の時計》 4 《ドゥームスカール》 3 《エルズペス、死に打ち勝つ》 4 《寓話への消失》 2 《エメリアの呼び声》 2 《海門修復》 2 《ニコ・アリス》 -呪文(44)- |
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-相棒(1)- 1 《神に愛された者、シグリッド》 1 《悪斬の天使》 1 《無効》 1 《魂標ランタン》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《垣間見た自由》 2 《神秘の論争》 1 《太陽の神のお告げ》 2 《サメ台風》 -サイドボード(14)- |
さあこの《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒にしたスタンダードの80枚デッキから、番外カードを探してみよう! わかるかな……
正解は《寓話への消失》! 多くのプレイヤーが見慣れない1枚だろう。
これは『エルドレインの王権』のコレクター・ブースターおよびBrawl Deck(英語のみ)に収録されている。これらの製品に収録された番外カードはスタンダードで使用することが可能なのだ(MTGアリーナだとワイルドカードでサクっと作れていいね)。
さて、肝心のカード性能だが……まず6マナのインスタントとコストは重めだ。そして青白2色なので使えるデッキも限られる。これを唱えた際に、エンチャントとアーティファクトをコントロールしているかを確認し、そうであれば、それぞれにつきこの呪文はコピーが生み出される。その両方を盤面に出すデッキでないとそのポテンシャルは発揮できないので、これまたデッキが限られる。
そしてその効果は、2/2の騎士・トークンを生成しながらのパーマネントのバウンス(手札に戻す)だ。6マナというコストから考えた場合、対戦相手のパーマネントを一時的にどかしながら2/2を出すというのは……かなり物足りない。しかしながらエンチャントとアーティファクトの両方があった場合、パーマネント3つを戻してトークンは3体。3つも戻せば対戦相手の主力は大方盤面から取り除けるだろう、そしてそこに合計パワー6分のクリーチャー。これはゲームの攻守を入れ替えるだけのカードパワーがあると言えるレベルだ。
相手のパーマネントの中でも戻したいものがさしてない場合などのために、コピーするために設置するエンチャント&アーティファクトは、戦場に出た際に能力が誘発するものにしておくとか、使用できる回数が限られた起動型能力を持っているものにすると良い。自分のそれらを手札に戻して再利用することで得することが可能だし、それらはヨーリオンと組ませることでも火を噴くからだ。
というわけでそういったカードを集めて作られたデッキが、この「青白寓話コントロール」である。
《襲来の予測》《ドゥームスカール》と、「青白コントロール」において有効に働くカードが増えたのもあって注目されていたデッキタイプではあった。
他のデッキが最適解とも言えるような形にたどり着いている中、青白はそれが定まりきらないというか、あと一歩足りないというような状況が続いていた。もしかしたらこの《寓話への消失》型はそのアンサーとなるのかもしれない。使用者はこのデッキでMTGアリーナのランク戦でミシック#5の位置にまで付けている。
基本的にはコントロールの王道を行くスタイル、受けのデッキである。相手の攻め手を潰すことに尽力し、その過程でカード1枚で複数のカードを対処したり複数枚ドローするなどし、結果として対戦相手はパーマネントが土地のみで手札0枚・こちらは有効なカードを複数枚握っているという状況にもつれ込ませ、そこから逆転を図っていくデッキだ。
その性質上、勝ちに行くまでのスピードは遅いのだが、《寓話への消失》はこの問題を解決してくれる可能性がある。何せトークンが3体出てくるのだから、2/2といえども大きな打点である。対戦相手のターン終了時にこれを唱え、クリーチャーなどをどけて無人の荒野を作り、続く自身のターンで総攻撃。対戦相手が戻されたカードを再展開しようとしたところを打ち消したり、もう一度《寓話への消失》を唱えるなどして完封しつつ押し切ってしまうのだ。
勝つまでのタイムラグの間に対戦相手にチャンスを与えてしまうのがコントロールを使う上で怖いところではあるが、《寓話への消失》はそれを補ってくれる働きが期待できるというわけだ。
デッキとしては《寓話への消失》のためにエンチャントとアーティファクトが多め。《エルズペス、死に打ち勝つ》や《精神迷わせの秘本》などなど、手札に戻したりヨーリオンで出し入れすることで得するカードを中心に集められている。
《寓話への消失》と同様に勝ちに行くためにトークンを生成するカードとして《太陽の恵みの執政官》が採用されており、どちらかを用いてトークンを並べて対戦相手を圧倒するのが理想のゲームプラン。
この執政官、エンチャントを戦場に出せばペガサス・トークンを生成するという能力なので、あるカードと組み合わせればとんでもない数の天馬の群れで空を覆うこともできる。《ニコ・アリス》だ。
ニコが戦場に出る際に生成する破片・トークンはエンチャントだ。Xにありったけのマナを注いで、大量の破片とペガサスを生成しよう。クリーチャーで殴って勝つタイプのデッキは、その時点で投了をクリックしてしまう。
超長期戦にもつれ込んだ場合は《寓話への消失》でニコを戻してもう1回大量展開なんてこともあるかも。ドロドロの泥仕合も、このデッキならやってみたくもなる。
番外カードは通常カードに比べると注目度は低く、世界全体で見た試行回数も少なくなってしまう。しかしながらそれらの中には《寓話への消失》のように、他のカードにはできない働きを見せるシブい1枚が潜んでいる可能性がある。
まだ触れていないカードがあるなら、なるべくそれらにも目を通してデッキを考えてみよう。各セットの奥深さ、まだ見ぬ側面を味わえるよ!
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