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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

白単コントロール:BO1の場合(スタンダード)

岩SHOW

 新しいデッキを思いついた時、皆はどうしてる?

 MTGアリーナのフリー対戦でとりあえずプレイ、Bot戦でちゃんと思い描いた動きができるのか試す、上手い友人にアイディアを投げて形にしてもらう、いきなりランク戦に挑戦……いろいろなアプローチがあるよね。

 ランク戦で試す人が結構な割合を占めるとは思うけれども、自分で考えたデッキでいきなり適切なサイドボードを用意してマッチ戦をやる、というのはハードルが高かったりする。

 そういうときにはマッチではないランク戦、BO1(1本勝負)でやってみるってのも手だ。僕もいろんな意味でヤバそうなデッキを思いついた際にはとりあえずBO1で試してみることが多々。そもそもがきちんと動くかも分からないデッキでマッチを行って、破綻しているデッキだったら最低2戦やらなきゃいけないのがしんどいし、負けたらランクの目盛りが2つ下がるのはたまったもんじゃないからね(笑)。マジックはサイドボードあってこそのゲームという意見には異論はないけれども、競技などでないのであれば、もっと気軽にBO1をやってみるのも良いと思うんだよなぁ。

 それこそ、中にはマッチを全くやらずにBO1を延々繰り返し、勢いに乗ったらそのまま駆け抜けてミシックへと到達する、というスタイルでランク戦に励んでいるプレイヤーだって少なからず存在する。

 1回勝てばそれで終了、サイドボードから対策カードを取られて苦しむことはないという特性上、BO1ではアグロデッキが多数を占める傾向にある。先手を取れたらそのまま一気に押し切って逃げ切る、これを繰り返すのが時間効率で見てももっとも手早くランクを上げられるというわけだ。

 ただ、アグロが多いのであればそこに焦点を絞ったデッキで挑めば、勝ち星を重ねられる可能性もある。ということであえてアグロを迎え撃つコントロールデッキをBO1で使用する、というのも1つの選択肢だ。気軽に遊べるモードではあるが、やりこめば奥が深いのである。

 というわけで、今回はBO1スタンダードにおけるコントロールデッキの一例を紹介しよう。

covertgoblue - 「白単コントロール」
スタンダード(BO1) (2021年2月17日)[MO] [ARENA]
10 《冠雪の平地
4 《アーデンベイル城
4 《不詳の安息地
4 《這い回るやせ地
4 《廃墟の地
-土地(26)-

4 《スカイクレイブの亡霊
1 《夢の巣のルールス
4 《真面目な身代わり
1 《軍団の天使
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン
-クリーチャー(11)-
2 《魂標ランタン
4 《ガラスの棺
4 《精神迷わせの秘本
4 《メレティス誕生
4 《栄光の探索
4 《空の粉砕
4 《ドゥームスカール
4 《エルズペス、死に打ち勝つ
4 《エメリアの呼び声
4 《オンドゥの転置
1 《太陽の宿敵、エルズペス
4 《精霊龍、ウギン
-呪文(43)-
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン
-相棒(1)-

3 《軍団の天使
-サイドボード(3)-
aetherhub.com より引用)

 

 スタンダードBO1の「白単コントロール」。あえての単色なのは一本勝負において多色であることのデメリット、色マナが揃わずにまともに動けなくての敗北や、アグロデッキのスピードを前にして《ラウグリンのトライオーム》《啓蒙の神殿》のようなタップ状態で戦場に出る土地を使うのは苦しすぎることなどを避けるためなのだろう。

 白でコントロールとなれば青を足したくもなるが、単色でも十分やっていけることは時代が証明している。対アグロに絞り込んだ場合、それは現スタンダードも変わらないのだろう。

 白いコントロールのお約束として《空を放浪するもの、ヨーリオン》を相棒に設定している。

 これ、BO1においてはマッチとはまた違った意味合いになってくる。マッチであればサイドボードを用いるわけで、ご存じの通り相棒はそのサイドボードに待機している。つまりヨーリオンを除く14枚の枠を使って戦うことになり、ヨーリオンを使用するための代償として相手よりサイド枠が1枚少ないというデメリットを受けているのだ。BO1となると、そのサイドボードがそもそも使われることがない。なので、ヨーリオンを使っても何も損しないどころか、むしろ本来用いない領域にカードを採用できる分トクをするのである。これは同じくサイドボードに採用することに意味がある《軍団の天使》にも言える。対戦相手にはない特権をこのデッキは有しているのだ。

 デッキとしては白の専門でもある戦場を総ざらいするソーサリーの集合体だ。これらを用いて対戦相手のクリーチャーをはじめとするパーマネントを根絶やしにし、勝つための手段を奪い尽くして勝利するのだ。《空の粉砕》《ドゥームスカール》《オンドゥの転置》と環境の白いリセットボタンをすべて詰め込んである徹底ぶりだ。

 《精霊龍、ウギン》もこの枠であり、かつ勝利手段も兼ねている。

 これらの大振りと、《ガラスの棺》《スカイクレイブの亡霊》《エルズペス、死に打ち勝つ》などのピンポイントで打ち抜く除去とを状況によって使い分け、対戦相手の攻め手を完全に止めてしまうことを目指して、ひたすらに耐えるゲームをやっていくのだ。

 除去と同時に土地を着実に伸ばしていくのもこのデッキをプレイする上で重要なことで、《メレティス誕生》《真面目な身代わり》で土地を持ってきたり、《精神迷わせの秘本》でドロー or 占術したりして引き込んでいく。ウギンなど、このデッキの目指すゴールは重たいのだ。

 この土地を得る手段の1つとして用意されているのが《栄光の探索》だ。

 氷雪カードを手札に加えられるので、これで《冠雪の平地》か《不詳の安息地》を持ってくるというわけである。ついでに支払った氷雪マナの数だけ回復できるのも嬉しい。

 3マナのソーサリーで土地を得るだけだと弱そうだが、まあそれは1つのオプション。十分に土地が得られているのであれば他のものを持ってくれば良いのだ。相棒以外にメインに潜ませているヨーリオンの2枚目だったり、《夢の巣のルールス》といった伝説のクリーチャー、あるいはプレインズウォーカーで盤面を強固なものに。英雄譚も持ってこられので《エルズペス、死に打ち勝つ》を手札に加えるのを見せつけて対戦相手に3マナ以上のパーマネントを出すなよと牽制したり。状況に沿ったカードを手に入れられれば、勝利は自ずと舞い込んでくる。使いこなしたい1枚だ。

 相手の攻めを受け止め続けて、ちゃぶ台を返したら攻勢に出る「白単コントロール」。まさしくBO1ならではのデッキだ。同じスタンダードと少し趣の異なるBO1、食わず嫌いの人には一度遊んでみてほしいね。冒頭で触れたようにとりあえずデッキを試してみる場としても有効活用するべし。自分のデッキが対アグロ仕様になっているかを確認するには絶好の場だ。

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