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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:イゼット独創力:蝗の群れ@滝(ヒストリック)
今週もやってきましたこのお時間。リストが、勝ち方が、その思想が!これぞクールだと感じたデッキを取り上げて紹介する『今週のCool Deck』!
いや~2021年の先陣を切る期待のセット『カルドハイム』、ついに世に放たれたワケなんですが……このコラムを書いている段階ではまだリリース前。実際に新カードが使われたデッキを紹介するのは次回以降ってことで、ご勘弁を!
今回はもう掲載時から見れば旧時代のデッキの紹介にはなってしまうが、かといってもう失われたデッキになってしまったというわけでもない。『カルドハイム』参入後も変わらずクールなはずだ。フォーマットはヒストリック。ヒストリックほどのカードプールであれば、新カードがやってきてもすべてのデッキがその影響を強く受けるわけでもない。むしろ変わりゆくデッキの形が定まりきらない中、安定して白星を重ねられるチャンスかもしれない。
クールなものは時を経てもクールなまま! 今現在もしハマっているデッキがあるのだとしたら、それを変わらず愛でながら環境の変化と目指すべき形をじっくり見据えてやろう。
というわけで、前置きが長くなってしまったが、『カルドハイム』以前のクールなデッキを1つ紹介しよう!
3 《山》 2 《島》 4 《蒸気孔》 1 《硫黄の滝》 3 《河川滑りの小道》 4 《寓話の小道》 -土地(17)- 1 《滝の賢者》 1 《蝗の神》 -クリーチャー(2)- |
3 《否定の契約》 4 《無神経な放逐》 4 《火の予言》 3 《禁じられた友情》 4 《シルンディの幻視》 4 《ヴァラクートの覚醒》 3 《欲望の深み》 4 《海賊の略奪》 4 《サメ台風》 4 《不屈の独創力》 2 《髑髏砕きの一撃》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 -呪文(41)- |
1 《パルン、ニヴ=ミゼット》 4 《削剥》 3 《霊気の疾風》 1 《ラゾテプの板金》 1 《物語の終わり》 2 《詐取》 2 《神秘の論争》 1 《嵐の怒り》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
ボーラスが生み出した神の一柱《蝗の神》。
カードを引くと1/1の飛行&速攻を持った昆虫・トークンを生み出す能力を持った神だ。その能力は見ての通り強力で、青や赤のカードを引く呪文や能力と組み合わせた統率者戦のデッキは人気が高い。
また蝗ってのがなんとも良いよね、イラストも、のぺ~っとした昆虫っぽさと人間のシルエットが融合しており、気味が悪くて実にクールだ。
この神を用いた青赤のデッキなのだが……デッキパーツを見ているとかなりクールなことを狙っているのが伝わってくる。何を隠そう、こいつぁ瞬殺コンボだ。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:滝に飛来する蝗の大群
《蝗の神》で大量に昆虫トークンを生み出し、速攻を活かして一気に攻撃して殴り勝つ。これは万人が決めてみたい衝撃的な勝利シーンであるが、相手のライフを上回るだけの昆虫を生成することは容易ではない。20点フルにあるのであれば20体、つまり20枚ドローしなければならない。
ハードルが高すぎると諦めてしまいそうになるが、なんとたった1枚のカードと《蝗の神》を組み合わせるだけでこの夢の光景は叶ってしまう。そう、《滝の賢者》だ。
クリーチャーが戦場に出ることで誘発し、カードを1枚引いて1枚捨てるという能力を持っている。つまり《蝗の神》とこの賢者が揃っている状況でカードを引くと、昆虫が生成され戦場へ→昆虫が出たので賢者が誘発→賢者でドローして蝗が誘発、とお互いに能力を誘発させあい、いつまでも繰り返すことができてしまう。
賢者の能力は任意なので無限ループに陥って負けてしまうということもなく、必要なだけの昆虫を生成したら止めて攻撃してそのまま勝利! 2枚揃えれば勝てるコンボ、クールじゃないかぁ。
クールポイントその2:クールは独創性に宿る
《蝗の神》《滝の賢者》のセットでゲームエンドまで持って行けることは理解した。重要なのはそれらをどう揃えるかだ。
どちらかが戦場にいる状態でもう片方を出せれば良いが、このセットは合計11マナ。とても一度に支払える量ではなく、では2ターンに渡って揃えるのかと言ったら、それを対戦相手が黙って見ているわけもないよねと。同時に戦場に出す必要があり、かつマナを踏み倒す方法が求められるわけだ。
そこでこのリストが採用した手法が、デッキ内のクリーチャーをこのコンボセット2枚のみに絞るというもの。それでどうするのかというと、《不屈の独創力》をX=2で唱えて両方同時に戦場に出すという豪快なもの。
独創力の対象とするのは各種トークンにすることで、クリーチャーやアーティファクトを対象にするこの呪文を唱えられるようにしつつ、コンボパーツ以外のカードが戦場に出てくるというトラブルを避けるようにしている。独創力デッキのお約束だな。
2枚だけでゲームに勝てるので独創力のコストはX=2、つまり5マナあれば良い。赤と青のトークン生成カードを使ってトークンを2個並べた上で5マナあれば決着。打ち消しなどの妨害手段を持たないデッキ相手であればサクッと決まるだろう。打ち消しを持つ相手でも《否定の契約》で強引にいこうぜという姿勢がクールだ。コンボが決まれば次のターンなんていらないからね!
トークンを生成するインスタントとソーサリーのチョイスもクールだ。《禁じられた友情》のようにクリーチャー・トークンを生成するカードが用いられることは多々あるが、《海賊の略奪》《欲望の深み》と宝物を生成するものが採用されているのが面白い。
ドローを進めて独創力を引き込み、相手のパーマネントを戻して時間を稼ぐ。そして独創力を唱えるためのマナとしても使える。これがエラいね。クリーチャーより除去されにくいので戦場に残ってくれてコンボを決めやすいというのも地味ながら宝物のクールポイントだ。
クールテクニック!
手札にコンボパーツのどちらか一方でも来た場合、独創力1枚で勝つということが出来なくなってしまう。そこで手札をライブラリーに戻すということが重要になってくる。《ヴァラクートの覚醒》《火の予言》はこのために採用されているのだ。
コンボパーツが手札にない場合、どちらも土地として置いたり普通の除去として使えたりするので無駄なカードとならない点がクールだ。
そして注意してほしいのは、そのようなコンボが安全に決まる状態でいたずらにこれらのカードでドローしないこと! 調子に乗ってドローしたら《海の賢者》を引いてしまって、これをライブラリーに戻すカードはない、なんて事態に陥ったらクールとはほど遠いよね。
さらなるクールのために
『カルドハイム』実装前でも完成しているデッキと言ったが、せっかくなら新カードも使ってみたいというのが人情。その上でデッキがよりクールになれば言うことなしだ。
ざっとカードリストに目を通したところ、《戦利品奪取》はデッキに噛み合っているね。《海賊の略奪》よりも軽くて使いやすい。
あと《無効》はサイドボードに採用されるかもしれない。軽くて使いやすい打ち消しだ。
《不屈の独創力》はライブラリーから直接クリーチャーが戦場に出るわけではないため、一見天敵に見える《墓掘りの檻》が通じないというクールなコンボだ。なので、アーティファクト対策は《削剥》でもあれば十分にも思えるが、《無効》はエンチャントにも効果があるというのが強み。コンボ周りは他のカードが入ってくる余地はないため、派手な新カードをというわけにはいかないが、デッキをよりシャープに、クールに仕上げるカードは見つかるかもしれない。
クールなまとめ
《蝗の神》というカードはかなりのパワーカードではあるのだが、他の神と比べてもコストが重いため有効に使うデッキがこれまで登場してこなかった。2021年にこのカードが注目されるとは、マジックは本当にクールなサプライズに満ちたゲームだ。蝗の大群で戦場を埋め尽くす快感を味わいたいのであればぜひ。それじゃあ今回はここまで。Stay cool! The Locust God!!
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