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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
今週のCool Deck:パラドックスへの誘い(ヒストリック)
気がつきゃ師走もとうに折り返し、来週はクリスマス、再来週は……もう2021年元日ときたもんですよ。いろいろあったなぁ~2020年。いろんなものが不自由になりながら、そんな中でささやかなことを楽しんだりできて、発見のある1年ではありましたとも。
デイリー・デッキ的には変化があるというか、当コーナー「今週のCool Deck」を思いつきでスタートして。ネタがないから勢いだけで始めたという割には年内しっかりと続けられて良かったなと。こんなこと言ってて来週納期間に合わず休載とかなったらシャレにならないわけだけども、まあ大丈夫でしょう。
そんなわけで今週も私、岩SHOWが独断と偏見でクールだと感じたデッキを紹介する当コーナーをやっていきましょう。今回はリストを2つ取り上げるのでよろしくゥ! 早速1つ目いってみよう!
2 《島》 4 《湿った墓》 4 《清水の小道》 4 《光輝の泉》 3 《埋没した廃墟》 2 《発明博覧会》 1 《爆発域》 -土地(20)- 4 《名高い武器職人》 4 《湖に潜む者、エムリー》 -クリーチャー(8)- |
2 《モックス・アンバー》 4 《彩色の宝球》 3 《上天の呪文爆弾》 4 《守護像》 4 《精神石》 4 《パワーストーンの破片》 3 《絶滅の契機》 1 《神秘の炉》 3 《パラドックス装置》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(32)- |
1 《隕石ゴーレム》 1 《金属製の巨像》 1 《トーモッドの墓所》 1 《魔女のかまど》 3 《霊気の疾風》 3 《否認》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《霊気貯蔵器》 1 《神秘の炉》 1 《見捨てられた碑》 1 《パラドックス装置》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
2020年、配信で世界中の注目を集めたStephen Croke(crokeyz)氏が『カラデシュリマスター』のリリースを受けて作り出したヒストリックのデッキだ。crokeyzも常にアリーナランクのトップに君臨し続けたし、ヒストリックも本格始動して競技イベントも開催されるなど、盛り上がりを見せた1年だったなぁ。
そんなクールな要素が2つかけ合わさったところに、リマスターがもたらしたクールすぎる1枚《パラドックス装置》も加わったのだからさぁ大変。
この伝説のアーティファクトを利用した「ディミーア・パラドックス」をまずはご紹介。
どこがどうクールなのか?
クールポイント:パラドックス=インフィニティ
ディミーア、すなわち青黒と言っても、その構成要素はご覧の通りほとんどがアーティファクト。アーティファクト・デッキということでお約束の《大いなる創造者、カーン》も入っている。
多数のアーティファクトと《パラドックス装置》、そしてディミーア――と言っても黒は《絶滅の契機》のためだけなので実質青単――というカラーリングで何をするのかというと、無限コンボだ。呪文を唱えると土地以外のパーマネントをすべてアンタップできるのがパラドックスの能力。これはなかなかにぶっ飛んでいるもので、その能力を駆使して何度も呪文を唱えるデッキを組むことが可能だ。時にこのデッキのように無限に続くループを形成することも不可能じゃない。
手順を説明しよう。
まず、アーティファクトおよびクリーチャーを並べる。《精神石》《守護像》《パワーストーンの破片》《名高い武器職人》など、土地でないマナを生み出すパーマネントが無限への扉を開くには必須だ。
そして《湖に潜む者、エムリー》。
彼女の召喚酔いが解けて行動可能な状態でターンが返ってきたら、《パラドックス装置》を置いていざコンボ始動。パラドックスが出ている状況で《彩色の宝球》を唱える。
土地以外のパーマネントがアンタップする。それらからマナを出し、《彩色の宝球》も起動し生け贄に。カードを1枚引き、任意の色マナを1つ加える。そしたらエムリーをタップして、墓地に落ちた宝球を対象に。この能力で墓地から再び宝球を唱え、パーマネントがすべてアンタップして……ここまでの行程を好きなだけ繰り返せる。マナが十分に出るのであれば《上天の呪文爆弾》のドロー能力を連打するというのでも同じことができる。
そうやってマナと手札を好きなだけ得られるのだが、その途中でカーンを挟むことで勝ちに行く。《大いなる創造者、カーン》でサイドボードから《霊気貯蔵器》を引っ張ってきてこれを設置する。
後は宝球などを延々と唱え続ければライフがどんどこ回復していく。ライフが50点を上回れば、50点支払って《霊気貯蔵器》起動! 50点ダメージを叩き込んでゲームエンドだ。
ライブラリーの枚数が足りない場合はカーンから《トーモッドの墓所》を持ってきてこれをエムリーから延々唱え続ければ問題なし。
ややこしそうに見えるかもしれないが、一度体験してみれば意外にスムーズに決まるコンボというのがわかるだろう。楽しさと強さを兼ね備えた、クールなコンボだ。
1 《森》 4 《繁殖池》 4 《植物の聖域》 4 《花盛りの湿地》 3 《湿った墓》 3 《清水の小道》 -土地(19)- 4 《ラノワールのエルフ》 4 《眷者の神童、キナン》 4 《湖に潜む者、エムリー》 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 -クリーチャー(15)- |
4 《モックス・アンバー》 4 《彩色の宝球》 2 《致命的な一押し》 4 《精神石》 1 《予言のプリズム》 2 《バーラ・ゲドの復活》 4 《パラドックス装置》 3 《伝承の収集者、タミヨウ》 2 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(26)- |
1 《上天の呪文爆弾》 2 《儀礼的拒否》 1 《致命的な一押し》 3 《霊気の疾風》 2 《否認》 3 《大渦の脈動》 2 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -サイドボード(15)- |
このクールなデッキは?
では続けて、もう1つの《パラドックス装置》デッキを紹介しよう。青タッチ黒の前者に対して、こちらは青緑タッチ黒。またしても黒はクリーチャー除去のためだけに足されており、このフォーマットでノーガードのコンボデッキを組むことがいかに危険な行為かがうかがい知れる。「スゥルタイ・パラドックス」というデッキ名もなんともそれっぽくてクールだ。では詳しく見ていこう。
どこがどうクールなのか?
クールポイントその1:使用者が「ジャーマン・ジャガーノート」
このデッキは『ゼンディカーの夜明け』チャンピオンシップのヒストリックラウンドにて使用された。使用者はカイ・ブッディ/Kai Budde。プロツアー殿堂顕彰者であり、プロツアー優勝7回・グランプリ優勝7回という桁違いの成績を残している、正真正銘のレジェンドだ。
世界選手権1999で優勝したことで勢いに乗り、年間最優秀成績者であるプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを2001年から2003年まで3回連続で受賞している。あらゆるプレイヤーをなぎ倒すその強さはまさしく重戦車、「ジャーマン・ジャガーノート」と称えられた。
一時期はマジックから離れたりもしていたが、2019年、MTGアリーナを用いたイベントで好成績を残して見事カムバック、現在ではマジック・ライバルズ・リーグに所属し若手プレイヤーたちの前に立ちはだかる強敵として活躍中だ。本当にクールなプレイヤーの1人である。
クールポイントその2:緑が絡めばマナがあふれる
そんなクールなブッディが用いたデッキなのだから、その時点でもうクールに決まっている。他のデッキと居並ぶリストを眺めてもクールさは際立っている。
このパラドックス・デッキも基本は1つ目のものと同じだ。パラドックス、マナを出すクリーチャー or アーティファクト、エムリー、宝球で好きなだけライブラリーを掘り進める。
そこに《眷者の神童、キナン》を加えているのが特徴的だ。
彼のおかげでタップしてマナを出す土地以外のパーマネントが生み出すマナが1つ増える。《彩色の宝球》から2マナ出るようになるので、これだけで墓地から自身を唱えて{1}支払って生け贄という動きが賄えるようになり、あとは《ラノワールのエルフ》1体でもいるだけで余剰のマナがガンガンと増えていく。
最終的にライブラリーを完全に引き切り、《神秘を操る者、ジェイス》の能力で勝利する。豪快なまでにドローを重ねるクールなコンボだ。
青緑であるおかげでキナンの他に《伝承の収集者、タミヨウ》も使える点が良いね。
コンボに必要なパーツを引いてくるか墓地から回収する、エムリーとの相性も◎。さらに青緑であれば《自然の怒りのタイタン、ウーロ》も絡めて殴り勝つルートも。ブッディらしいテクニカルかつパワフルなデッキだ。
クールなまとめ
以上が今週のクールなデッキたちだ。《パラドックス装置》は実に面白いカードなので、各自さまざまなフォーマットでそのポテンシャルを感じてほしいね!
さて、次回のCool Deckは25日、クリスマスの更新だ。とびきりクールなデッキが靴下に入っていないか、楽しみにしながらそのときを待ちたい。それじゃあまた来週、Stay cool!!
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