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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
4色コントロール:無茶な構造でも回せるという自信(スタンダード)
いかに近年の土地カードが優れているからと言って、むやみやたらとデッキを多色化させりゃ良いってわけじゃない。理想のデッキは文字通りなんでもできるものだが、やはりどこかを諦めて現実的に運用できる色のデッキを組むべきである……
という常識的な話を完全に無視したかのようなデッキリストと出会うこともある。「大丈夫、自分なら回せる」そんな無謀ともとれる自信がそうさせるのか、あるいは傍目にはわからない綿密な土地構成の妙がなせる技なのか。とんでもないカードたちが同居しているリストを目にすると、実際にプレイしたいという思いと、とてもじゃないが土地事故の多い自分には回せないなという諦めとが交錯する。
今回もスタンダードでそのようなリストを見つけた。百聞は一見にしかず、早速見てもらおう。あなたはどんな感情になるのだろうか。
1 《沼》 2 《ロークスワイン城》 2 《静寂の神殿》 3 《磨かれたやせ地》 1 《陽光昇りの小道》 3 《疾病の神殿》 1 《欺瞞の神殿》 3 《清水の小道》 1 《豊潤の神殿》 1 《花咲く砂地》 1 《啓蒙の神殿》 1 《平穏な入り江》 2 《神秘の神殿》 1 《インダサのトライオーム》 1 《ゼイゴスのトライオーム》 -土地(24)- 4 《残忍な騎士》 1 《イリーシア木立のドライアド》 1 《探索する獣》 1 《悪ふざけの名人、ランクル》 2 《長老ガーガロス》 3 《夢さらい》 1 《虐殺のワーム》 -クリーチャー(13)- |
4 《精神迷わせの秘本》 3 《絶滅の契機》 3 《空の粉砕》 1 《食らいつくし》 2 《エルズペス、死に打ち勝つ》 1 《サメ台風》 2 《出現の根本原理》 3 《ヘリオッドの介入》 1 《時の支配者、テフェリー》 2 《呪われた狩人、ガラク》 1 《精霊龍、ウギン》 -呪文(23)- |
3 《黒槍の模範》 2 《死より選ばれしティマレット》 1 《イリーシア木立のドライアド》 1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》 1 《願い爪のタリスマン》 3 《真夜中の時計》 3 《死に至る霞》 1 《食らいつくし》 -サイドボード(15)- |
このデッキリストは先日と同じく、MTGアリーナのランク戦においてプラチナあるいはミシック帯において6連勝以上を記録したリストの1つとして掲載されていたものだ。
いや~正直、80枚デッキかと思った。土地を筆頭に、あまりにもカードの種類が多くてね。正直土地から見だすと何が何だかわからなくなるので、まずはクリーチャーから確認してみると……《長老ガーガロス》《虐殺のワーム》そして《夢さらい》!
一体どういう並びだよとね。{G}{G}{B}{B}{B}{W}{W}{U}{U}って、一体シンボルをいくつ陳列するのかと。
3枚ともデッキの中核になる素晴らしいクリーチャーであるのは間違いない。ガーガロスは攻撃すればするほどアドバンテージを獲得し、ワームは相手の小型クリーチャーを薙ぎ倒しライフも詰める、《夢さらい》は除去耐性が高く殴りだせばゲームが終わると言われる。時間をかけて戦うデッキにおけるいわゆるフィニッシャーを務めるには十分なカードだが、それらを贅沢に同居させるとは……実際問題、ガーガロスをなんとか除去したところに《夢さらい》出されるとまあ勝てんよなぁ。まさしく必殺の構成だ。
色マナシンボルが濃い超強力パワーカードを同居させることを他のプレイヤーがあまり行っていないのは、冒頭から述べているようにマナの問題がある。しかしながら緑という色マナ調達に長けた色を中核にすることでこの問題は解決できることもある。
このデッキはガーガロスを使っている、ということは緑のマナサポートを……使っていないッッ! ほぼないッ! 《イリーシア木立のドライアド》をメインにわずか1枚、サイド後もう1枚増やせるだけである。き、気合いが違うな……
確かに、色マナ調達カードというものは便利ではあるが諸刃の剣でもある。序盤に唱えられれば以後のゲーム展開を円滑にしてくれるだろう、しかしここからはパワーカードで勝負だ!という状況下で引いてしまうと、もう使い道がないので無駄なドローとなってしまう。いや~欲しい土地は引けるから大丈夫っすよ!というプレイヤーにとってはこのような開き直った構築の方が良い結果に繋がる、というのは時として事実となる。
《精神迷わせの秘本》でドローないし占術をすることによって、必要な色マナを最優先で確保しておけばということなのだろう。
限られた使用回数を占術に割くのは勿体なく思えるかもしれないが、マナが不要でドローの内容をコントロールできるというのは偉大なので遠慮なくやるべし。
この貪欲なデッキはボード(盤面)・コントロールに分類される。《空の粉砕》《絶滅の契機》などクリーチャー除去に関してはかなり優秀なものを揃えている。
《食らいつくし》などでプレインズウォーカーにも対処できるし、《ヘリオッドの介入》をたっぷり採っているのでエンチャント&アーティファクトも決して打ち漏らさない。徹底して対戦相手の戦場に何も生存させない。
そうやって安全が確保されたら、上述の豪華フィニッシャー陣で勝負を決めに行くってわけなのだ。プレインズウォーカーらもその役目を担うことだろう。特に《呪われた狩人、ガラク》を除去兼フィニッシャーとして採用しているのにはこだわりが感じられてGood。
このデッキの恐ろしいところは《出現の根本原理》まで採用しているところ。
おそらくこれを唱えたいというところからデッキ構築が始まり、いくつもの形を重ねて現在の形に行きついたのではないだろうか。そしてさらに進化を重ねていくのだろう。この7マナのソーサリー、単色の呪文を3つ持ってきてそのうち2つが唱えられる。ガーガロス、ワーム、《サメ台風》でフィニッシャー3種から選ばせてやろうというのが慈悲に満ちたチョイスってところか?
他人がやっていないことというのは、決して間違いなわけではない。それが自分にとってしっくり来るのであれば、誰が何と言おうがそのスタイルを貫けば良い。きちんと信念さえ抱いて構築すれば、自分に最も合うデッキが組めるはずだ。
完全なる自分専用機と言えるデッキが組めればそりゃあもうカッコイイ。ヘビー級の4色コントロールに《探索する獣》《悪ふざけの名人、ランクル》なんかを散りばめているなんて、それこそこのデッキを組んだプレイヤーならではの感覚だ。
これからもそういう気持ちにさせてくれるリストで、皆が6連勝以上の成績を記録してくれることを願って、それじゃこの辺で。
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