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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
黒単アグロ:アイディアは隣にある(パイオニア&ヒストリック)
マジックの各フォーマットというものはスタンダードやドラフト、統率者戦など、それぞれが独自に存在する。構築フォーマットで競技イベントでも用いられるものは主に6つ。スタンダード、ヒストリック(MTGアリーナのみ)、パイオニア、モダン、レガシー、ヴィンテージ。
それぞれに使用可能なカードプール、禁止や制限されているカードが異なる。これすなわち、当たり前ではあるが活躍するカードやデッキも大きく異なる。
ただ、他のフォーマットのデッキがまったくこれっぽっちも活躍しないかというとそんなこともない、というのがマジックの面白いところだ。スタンダードに登場したデッキをパイオニア仕様にしたり、モダンのデッキコンセプトをレガシーのカードで昇華させたりすることで、フォーマットの垣根を超えたデッキを誕生することがある。カードプールがより近い、隣り合うフォーマットの方がデッキの輸出はしやすい。
中でも今かなり似通っているフォーマットとして、ヒストリックとパイオニアが挙げられる。ヒストリックが先にMTGアリーナ専用フォーマットとして制定され、パイオニアはグランプリなどの競技シーンで扱われるものとして1年ほど前に誕生。当初はパイオニアの方が使用可能セット数が多いことからより多くのデッキバリエーションと強力なカード陣を誇っていたが、ヒストリックは専用のアンソロジーセットやリマスターセット、『Jumpstart』などでじわりじわりと使用可能カードを増やして迫っていった。《思考囲い》《集合した中隊》といったカードも特殊な形で再録され、これによりパイオニアで活躍するデッキにかなり近いものをヒストリックでも再現できるようになった。一部のデッキにおいてはフォーマットの壁がない状態と言っても差し支えないだろう。
今日はその典型例を1つ紹介しよう。
16 《沼》 3 《ロークスワイン城》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 4 《変わり谷》 -土地(24)- 4 《血に染まりし勇者》 4 《戦慄の放浪者》 4 《漆黒軍の騎士》 4 《屑鉄場のたかり屋》 4 《残忍な騎士》 4 《悪ふざけの名人、ランクル》 3 《騒乱の落とし子》 -クリーチャー(27)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 1 《苦悶の悔恨》 -呪文(9)- |
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》 3 《魂標ランタン》 2 《苦悶の悔恨》 2 《軍団の最期》 2 《害悪な掌握》 2 《自傷疵》 2 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(15)- |
こちらはパイオニアの「黒単アグロ」。1マナで2点以上のダメージを与えられる優秀なクリーチャー12枚を筆頭に、コストに比して優れたスペックの持ち主を多数採用。それらのクリーチャーをどんどんと展開して攻撃し、スピーディーな決着を狙う。
これを《思考囲い》と《苦悶の悔恨》で相手のプランを崩し、《致命的な一押し》《残忍な騎士》の除去で殴り合いを制する形でサポートする。
そして《悪ふざけの名人、ランクル》《騒乱の落とし子》の飛行組でとどめを刺す。
黒単ならではの《ロークスワイン城》によるドローと、《血に染まりし勇者》《戦慄の放浪者》《屑鉄場のたかり屋》など墓地から戦場に戻るクリーチャー陣により、ゲームが長引きそうな際にも攻撃を持続させる手段を備えており、相手を選ばずに安定して戦える。
パイオニア設立当初から人気・実力ともに高く、使用者の多いデッキだ。
では、このパイオニアのデッキをヒストリックに輸出したものをこれから紹介しよう。『アモンケットリマスター』の登場により《戦慄の放浪者》と《思考囲い》がやってきて、残りのパーツは大体がヒストリックに存在する。2マナでプレイでき、墓地からも2マナで帰ってくるパワー3、まだ《屑鉄場のたかり屋》はないのだが、これに代わるカードが『ゼンディカーの夜明け』で登場したことでほぼ同じデッキになったのではと思える。そのカードとは……。
18 《沼》 4 《ロークスワイン城》 2 《屍肉あさりの地》 -土地(24)- 4 《戦慄の放浪者》 4 《どぶ骨》 4 《漆黒軍の騎士》 4 《スカイクレイブの影》 4 《残忍な騎士》 4 《悪ふざけの名人、ランクル》 3 《騒乱の落とし子》 -クリーチャー(27)- |
4 《血の長の渇き》 4 《思考囲い》 1 《苦悶の悔恨》 -呪文(9)- |
2 《才気ある霊基体》 2 《ファイレクシアの抹消者》 2 《苦悶の悔恨》 2 《軍団の最期》 2 《害悪な掌握》 2 《魔女の復讐》 3 《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
《スカイクレイブの影》だ!
2マナでパワー3と打点は同じで、2ターン目から相手にプレッシャーをかける。ブロックされても相討ちなら問題なし。そして戦場に戻る方法は上陸。土地を出すことで墓地から唱えられるようになるという形だ。
上陸して唱えるということは自分のターンでしか再展開ができず、その点では相手のターン終了時に戻せるたかり屋ほど隙のない運用はできないが、墓地にこれしかいないという状況でも帰ってこられるというのは勝っている点とも言える。
また、ゲームが長引いた際にはキッカーで5/3というデカいサイズで戻せる点も見逃せない。これをたかり屋の代わりに、そして《どぶ骨》を《血に染まりし勇者》の代打で採用すればクリーチャー構成はパイオニアのものと同等に。
除去呪文も現状では《致命的な一押し》こそないが、それに迫る優良カードが『ゼンディカーの夜明け』でやってきた。《血の長の渇き》だ。
1マナで点数で見たマナ・コスト2以下、4マナでなんでも、クリーチャーかプレインズウォーカーを破壊。使いやすく、文句がない出来だ。これでこじ開けてガンガン殴り、ライフで優位に立って早期決着に持っていきたい。
パイオニアのデッキをほぼそのままヒストリックに持ち込む。強さが確約されたデッキなので安心してプレイできることだろう。ただし、仮想敵が異なるのでサイドボードまではそのままというわけにはいかないので気をつけよう。
ヒストリックには今後『カラデシュリマスター』もやってくるので、これでよりパイオニア版のリストに近づくってわけだ。今後の活躍も大いに期待しているぞッッ!
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