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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ネスロイ・ランプ(スタンダード)

岩SHOW

 今週のCool! Cool! Cool Deck! 自分で言うのもおかしいですけどもね、2か月続きましたねこのコーナー。

 「勝ってないけど構成が魅力的な面白いデッキを取り上げたいなぁ」という常日頃抱いていた思いをどうやって形にしようかと、悩んだ末に出た答えがクールだった。世の中はクールを求めている、そう信じて突き進むのが最もクールな姿勢。何より毎週クールなデッキを決めるのが楽しいね。コラムは楽しみながら書いてナンボということを再確認する日々。

 今日のデッキも楽しさこそがすべて、マジックのそれを体現したかのようなものでこれしかないと思い立った次第だ。それじゃあ、リストチェックのお時間だぜ。

Mesklatebrother - 「ネスロイ・ランプ」
スタンダード (2020年10月17日)[MO] [ARENA]
2 《
2 《
1 《平地
4 《疾病の神殿
4 《枝重なる小道
4 《陽光昇りの小道
4 《インダサのトライオーム
-土地(21)-

4 《金のガチョウ
4 《悪魔の職工
4 《髑髏の予言者
2 《ぬかるみのトリトン
4 《ラノワールの幻想家
4 《スカイクレイブの亡霊
1 《打ち壊すブロントドン
1 《悲哀の徘徊者
2 《真面目な身代わり
1 《苦悶の侍祭
1 《光明の繁殖蛾
1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス
4 《死の頂点、ネスロイ
1 《アスフォデルの灰色商人
1 《帰還した王、ケンリス
-クリーチャー(35)-
4 《アガディームの覚醒
-呪文(4)-
2 《鎖巣網のアラクニル
1 《ドラニスの判事
1 《漁る軟泥
1 《巨大猿、コグラ
1 《虐殺のワーム
3 《強迫
2 《苦悶の悔恨
2 《怪物の代言者、ビビアン
2 《呪われた狩人、ガラク
-サイドボード(15)-
Mesklatebrother氏のTwitter より引用)

 

このクールなデッキは?

 デッキの主役は……最高マナ域にどかっと腰を下ろす《死の頂点、ネスロイ》。またの名を《植獣形態、ビオランテ》。はい、この時点でもうクール極まります。今週もあざっした!

 ネスロイ/ビオランテは白黒緑の3色、いわゆるアブザンカラー。この色の組み合わせは、生命を癒やす白、死を超越する黒、活力にみなぎる緑と揃っているためか、クリーチャーの生死に関するカードが多いように思う。デッキとしては緑が絡んだ多色の優秀なクリーチャーを白と黒の除去で援護し、緑のマナクリーチャーがこれらの安定運用を助けるというスタイルの中速デッキが組まれることが多い。

 ネスロイはまさしくクリーチャーを死の淵から現世へと蘇らせる能力を持っている。このカードをフィーチャーするためにクリーチャーは怒涛の35枚採用、そのためよく見る除去って殴るアブザンカラーのデッキとは趣が異なる。OK、じゃあそのクールな要素を解き明かしていこうじゃあないか。

どこがどうクールなのか?

クールポイントその1:ネスロイの囁きにご用心

 次元イコリアの旅人の間ではインダサという地域において囁きに気を付けろという忠告がなされる。それはネスロイが、すでに死んでしまった生き物たちの魂に呼びかけるもの。これによりその腐った死骸は蘇り、立ち上がるのだという。

 この能力はネスロイが変容した時に誘発する形で再現されている。それが変容するたびに墓地からパワーの合計が10以下になる組み合わせでクリーチャーを墓地から戻す、リアニメイトと呼ばれる能力の中でも最上級のものだ。

 パワーが10以下という範囲は広い。パワー10を1体戻しても良いし、パワー1を10体戻すというのもアリだ。何とも工夫のし甲斐があってクールな能力。そしてそれを活かすために自身のライブラリーを墓地に落とす切削持ちがいくつか用意されている。

 中でも《髑髏の予言者》はクールなヤツで、切削で墓地に弾丸を貯め込みながらもマナを生み出すことで変容コストの重いネスロイを助ける。

 予言者に加えて《金のガチョウ》《ラノワールの幻想家》などマナクリーチャーをどんどんと並べ、ネスロイの囁きに備えるのだ。

クールポイントその2:蘇える者たち

 ネスロイから釣り上げるカードの組み合わせとして、1つのパターンとなっているのが《悲哀の徘徊者》《アスフォデルの灰色商人》《光明の繁殖蛾》の3枚、計パワー8に適当なパワー2を絡める形だ。

 この組み合わせにピンと来た人はCool Deckをしっかりと読んでいるね(ありがとう)。前回紹介した「黒単信心」の勝利へのコンボとほぼ同じだ。

 《アスフォデルの灰色商人》が戦場に出て黒の信心分相手のライフを減らし、《悲哀の徘徊者》で生け贄に。《悪夢の番人》で死亡した灰色商人のコピーを作るのが信心デッキの鍵だったが、このデッキではアブザン・カラーなのもあって《光明の繁殖蛾》が灰色商人の再利用役を担う。生け贄に捧げられた灰色商人は飛行を持っていないので飛行カウンターを得て戦場に戻り、また相手のライフを減らす、というわけだ。

 信心が絡む分、番人の方を使った方が良いように思えるが、大事なのはこのデッキがネスロイ・デッキなこと。コピーを作る際に死亡したクリーチャーを追放してしまう番人では次のターンに2回目のネスロイでそのカードをまた釣り上げるという芸当ができなくなってしまうのだ。ここは冷静、クールな構築力。

 《光明の繁殖蛾》はデッキ内の他のカードとも相性が良い。徘徊者のみではなく《悪魔の職工》での生け贄も繁殖蛾が飛行持ちとして蘇らせる。《ラノワールの幻想家》《スカイクレイブの亡霊》などを使いまわしてアドバンテージを稼ごう。職工に飛行を与えて巨大な一撃をかまして勝つ、という展開もあるだろう。

 灰色商人一本で一気に吸って勝つ黒単に対して、アブザンはしつこくねちっこくアドバンテージを得て締め上げるというスタンスだ。何よりも繁殖蛾は《超音速女王、モスラ》なのである。ビオランテとモスラの共演、はい今週もクール成分お腹一杯!

クールテクニック!

 ビオランテやモスラに負けないマジック世界の怪獣、《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》。

 このハイドラは脱出能力を持ち、ネスロイと関係なしに自力で戦場に帰ってこられる。墓地に落ちた土地を主食として脱出させ、12/12という超絶サイズで蘇る。そしてこのポルクラノスは素のパワーが0なので、ネスロイ変容時にどんな組み合わせにも付け足して蘇らせることが出来ることを忘れずに! さらにポルクラノスにネスロイを変容させて上に置くと、5/5に+1/+1カウンターが置かれている状態かつ絆魂と接死まで得て、もうどんなやつにも殴り合いで負ける気がしない、最高にクールな巨獣の誕生だ。

さらなるクールのために

 《帰還した王、ケンリス》が入っているのならなんとか赤マナを得る方法を仕込んでおきたい。ネスロイからケンリスとポルクラノス含む軍団をザクッと釣り上げて速攻を与えてワンショット・キルを狙えそうな気がしている。《サヴァイのトライオーム》でも仕込んでおけば無理なくクールに仕上がるか。

クールなまとめ

 ネスロイというカードはとにかくカッコイイのでずっと使いたいと思っていたが、ここに来てスタンダードがゆったりとしたゲームになってきたのでチャンスが巡ってきたようだ。

 通常イラストも十分に魅力的、アメコミ風イラスト版ではその体形の不気味さが強調されていてカッコイイ、ビオランテは言うに及ばずと、3種それぞれにクールさがある。そしてイコリアの他の頂点捕食者たちも同様に使ってやりたいところだ。

 スタンダード、まだまだクールなデッキが組める。クールの底なし沼を旅しよう! それじゃまた来週ッ! Stay Cool!

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