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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
黒緑掘葬(ヒストリック)
墓地利用のジレンマ。これは墓地を使って美味しい思いがしたい、コンボしたいと願っているプレイヤーがしばしば直面する問題だ。
マジックにおける墓地とは、死亡したクリーチャーや破壊されたパーマネントなどが置かれる、その名の通りの死で満たされる場所……でありながら、決して終着点ではない。墓地に埋められたものは、黒や緑の魔力をもってすれば簡単に回収が可能だ。
特にクリーチャーに関しては得意なもので、墓地からワラワラと這い出てくるクリーチャーで対戦相手を苦しめるのは立派な戦法である。過去にもこのコラムでいくつも紹介させてもらった。
そういった墓地利用、墓地からクリーチャーを戦場に出すデッキにおいて、非常に多く採用されるのが自分自身のライブラリーを切削するカードである。ライブラリーから直に墓地に落とし込み、そしてそれを戦場に出す。多くの場合、そのクリーチャーに本来払うべきマナよりもずっと少ない支払いで済む。リアニメイトと呼ばれる速攻戦法だ。
で、冒頭のジレンマについて。クリーチャーを落とし、そしてそれをなんらかのカードで戦場へ……というプランで切削を行ったところ、その肝心のクリーチャーを戻すカードを落としてしまった……なんて経験は非常に多くのプレイヤーが味わっているはずだ。もちろん、切削する段階ですでにそういった戻すカード――通称「釣り竿」が手札にあれば大した問題ではないが、毎度そうも幸運に恵まれるものでもない。釣り竿を引いた時のために獲物を埋めておこうと切削したら釣り竿もポチャン……かといって切削をためらっていると釣り竿を引いたのに獲物不在という寒い結果に。これは本当によく悩まされる問題なのだ。
ただ、このジレンマを打ち破る凄いカードも存在する。「墓地から唱えられる釣り竿」である。釣り竿自体が墓地から唱えられるのであれば、プレイヤーのするべきことは何も躊躇わずに全力で切削すること。ガシガシと墓地にカードを落として、墓地から釣り竿を唱えて墓地の獲物を釣り上げる。
すべてが墓地で完結してしまう。今日はそんなジレンマから解き放たれたリアニメイトを紹介しよう!
1 《森》 1 《沼》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 4 《寺院の庭》 4 《神無き祭殿》 4 《インダサのトライオーム》 1 《ロークスワイン城》 1 《愚蒙の記念像》 -土地(24)- 4 《縫い師への供給者》 4 《悪魔の職工》 4 《光胞子のシャーマン》 4 《ぬかるみのトリトン》 2 《髑髏の予言者》 4 《朽ちゆくレギサウルス》 1 《千の目、アイゾーニ》 1 《虐殺のワーム》 3 《孔蹄のビヒモス》 4 《腐れ巨人》 -クリーチャー(31)- |
4 《掘葬の儀式》 1 《影槍》 -呪文(5)- |
2 《貪る禿鷹》 2 《クロールの食料隊》 2 《虐殺のワーム》 4 《思考囲い》 2 《壊死性の傷》 2 《暗殺者の戦利品》 1 《影槍》 -サイドボード(15)- |
墓地から唱えられる釣り竿とは、フラッシュバックを持った《掘葬の儀式》!
今日のデッキはこれを使ったヒストリックの切削系リアニメイトだ。気付いていない人もいるかもしれないが、《掘葬の儀式》は『ヒストリック・アンソロジー3』に収録されているのでヒストリックで用いることが可能だ。
『イニストラード』に収録されたこのリアニメイト呪文は、切削などで墓地に落ちてもそのまま使えるという点が画期的で、当時も多くのプレイヤーにリアニメイト系デッキを作らせたものだ。これがヒストリックにあるなら、デッキを作らなくてどうする! そんな意気込みをこのリストからは感じるね。
おあつらえ向きなことに、ヒストリック環境には自身のライブラリーを切削するカードがたっぷり。最軽量にして切削効率抜群の《縫い師への供給者》から始まる。
これは戦場に出た際にも、死亡時にも切削を誘発させるので遠慮なく使い捨てのブロックに回して良い。
同じくブロックに回して相討ちを取りにいきたいのが《ぬかるみのトリトン》。
接死でサイズ負けしていてもお構いなしで相討ちにし、それを嫌って殴ってこなければそれはそれで嬉しい。2点回復もリアニメイトを決めるまでの間のライフを繋いでくれる、地味ながら重要なポイント。
《光胞子のシャーマン》は切削した土地をライブラリーの一番上に置く能力のおかげで、土地が少ない手札でもキープがしやすい。
《髑髏の予言者》は即効性はないが、継続的に切削が可能、そしてマナクリーチャーでもあるので《掘葬の儀式》を唱えるのもサポート。
そして《悪魔の職工》。これ自身は切削するわけではないが、上述のクリーチャーを餌に能力を起動、切削能力持ちを引っ張ってくることで一気に墓地にクリーチャーを落とし込む。
マナが余った終盤は大物を引っ張ってきてもいいし、そもそも切削しまくることで自身がかなり大きくなるので、これで殴って勝つというプランも狙える。
さて、墓地に埋めるカードの次は掘葬で釣られるカードの紹介だ。目玉は《孔蹄のビヒモス》。
切削役のクリーチャーらが並んでいるところにこれをリアニメイトして、全体をゴリッと強化しつつ速攻持ちの自身も突撃! 一撃で勝負を決めるのだ。
このビヒモスと相性抜群で、かつ単体でも強いのが《千の目、アイゾーニ》。
墓地のクリーチャーの数だけ昆虫を呼び出し、盤面を埋め尽くす。掘葬を手札から唱えてアイゾーニ釣りで盤面を作り、フラッシュバックでビヒモスを釣ってフィニッシュというのは美しい流れ。
相手が細かいクリーチャーを並べてくるのであれば《虐殺のワーム》も火を噴く。
これを釣って有象無象をひき潰し、大量にライフを失わせて勝利だ。
《腐れ巨人》はこれらと比べると戦闘に関してはただの6/6なので見劣りするかもしれないが、これはリアニメイトするというよりは宿根能力を活かして唱えるのを狙いたい1枚。
墓地から土地をリアニメイトする能力でマナを増やし、ビヒモスらの素出しへと繋げる役目も担う。《愚蒙の記念像》との組み合わせでしぶとくクリーチャーを出し続けることで持久戦も戦える。
墓地を肥やしてビヒモスを釣ってポン。シンプルなデッキを成立させる《掘葬の儀式》、その可能性は他にもまだまだあるだろう。あらゆる墓地にカードを置く手段と併せて、デッキを作ってみよう!
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