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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

緑単アグロ:ガルタ・リターンズ?(スタンダード)

岩SHOW

 ガルタ! 懐かしい名前だと思わないか? 最近マジックを始めた人は知らないかもしれないが、少し前のスタンダードでフィジカル最強のクリーチャーと言えばガルタ、《原初の飢え、ガルタ》のことだった。

 12/12トランプルという戦闘を行うために生まれてきたそのスペック、マナ・コストも合計12マナと超絶重いのだが、自身がコントロールするクリーチャーのパワー合計値分だけ軽減されるという能力のおかげで、4ターン目くらいにはヌッとその姿を現したものである。

 自然の飢えを体現した、古の恐竜の1体であるガルタ。鬱蒼としたジャングルが大半を占めるイクサラン大陸に眠り続けていたそれは、目覚めとともに食物連鎖の頂点に君臨した……なんだかB級映画感もあって、素敵な設定を持った伝説のクリーチャーである。ガルタがスタンダードを去った時には、ちょっとしたガルタロスに悩まされた大型クリーチャー好きもいたりいなかったり。

 そんなガルタが、このたび『基本セット2021』でスタンダードに帰ってきたね!……そんな再録ないだろって? もちろん、ガルタのカード自体が再録されたってわけじゃない。そのイラストにガルタの姿が描かれ、フレイバーテキストでもその名を取り上げた新カードがあるのだ。それは《原初の力》。

 《原初の飢え、ガルタ》の力を得るという意味合いが込められているのだろう、固有名詞を使わずにそのニュアンスを伝えるのがなんともアツい。イラストにはガルタ自身というか、その魂とリンクしたシャーマンによって作り出されたアバターのようなものが描かれている。相変わらず雄々しい姿で咆哮なさっている。

そのシャーマンはガルタの目を通して世界を眺めた。すると、自分以外はすべて獲物に見えた。

 カッコイイなぁこのフレイバーテキスト。まさしく地上最強の生物になれる呪文!カードデザイン自体もパワフルで、クリーチャーに+X/+X修整を与えると同時に対戦相手のクリーチャーと格闘を行うというもの。純粋に+X/+Xの部分だけでも《猛火》のようなX火力の役割を果たし、さらに相手のクリーチャーを除去できるときたらもう文句はない。

 前環境でも終盤にその数を増やしていた「緑単アグロ」だが、もちろんこの《原初の力》を受けてさらにパワーアップを遂げているッッ。

insomniaKzMTG - 「緑単アグロ」
スタンダード (2020年7月7日)[MO] [ARENA]
22 《
2 《ギャレンブリグ城

-土地(24)-

4 《生皮収集家
4 《樹皮革のトロール
4 《漁る軟泥
2 《クロールの銛撃ち
4 《恋煩いの野獣
4 《探索する獣
2 《水晶壊し
4 《石とぐろの海蛇

-クリーチャー(28)-
4 《原初の力
2 《グレートヘンジ
2 《世界を揺るがす者、ニッサ

-呪文(8)-
4 《オークヘイムの敵対者
2 《水晶壊し
2 《長老ガーガロス
3 《レインジャーの悪知恵
4 《強行突破

-サイドボード(15)-
insomniaKzMTG氏のTwitter より引用)

 

 コストで見たサイズに優れた緑のクリーチャーをどっさり。それを《原初の力》でサポートし殴り切るのを狙ったアグロデッキだ。

 大前提として、なぜ緑単色なのかというところから。ライフを詰めるのであれば赤と組ませる選択肢もあるし、実際にそうしているデッキもある。しかし単色にはそういった単色デッキにはない大きな利点がある。色マナトラブルが起きない、ということだ。

 どれだけ2色以上のマナを供給する土地が優れていようとも、毎回必ず欲しい色マナが欲しいターンに必要な数だけ得られるとは限らない。《》1枚《》3枚の盤面で《探索する獣》を握りしめながら歯ぎしりはしたくない。また《寓話の小道》や《奔放の神殿》のようなタップ状態で出る土地というのも、序盤の円滑な展開を邪魔して持ち味を失ってしまう。クリーチャーを出して殴るというシンプルなアプローチであるからこそ、回りくどいことは狙わず単色で安定した運用を第一に。

 このデッキの最高のスタートは《生皮収集家》から。

 1ターン目にこのエルフを出陣させたら、以降は《樹皮革のトロール》など基本のサイズでこれに勝るカードを順々に展開していって生皮のサイズをアップさせて殴る。《恋煩いの野獣》や《探索する獣》が降臨するころに4/4くらい育っていればそのまま押し切ってしまえるだろう。

 この生皮のサイズアップなどでフレキシブルに活躍するのが《石とぐろの海蛇》だ。

 他に唱えるものがない状況であれば2~3ターン目に2/2や3/3として出すことで何もないターンというのを埋めつつ生皮を後押し。プロテクション(多色)は《時を解す者、テフェリー》に戻されず、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などで止められず、《波乱の悪魔》に焼かれることもない安心の能力。終盤では《ギャレンブリグ城》などで得たマナで可能な限り大きいサイズで出してやろう。また《恋煩いの野獣》が攻撃できるようにするためにあえて1/1で出すという選択肢もある。

 クリーチャーを展開したら相手のクリーチャーを《原初の力》で排除してジ・エンドに持っていくわけだが、これをより強力なものとするのが《世界を揺るがす者、ニッサ》だ。

 土地を3/3にして突撃させると同時に、《》から出るマナの量を増やすのでここから得た大量のマナを《原初の力》に注ぎ込んでフィニッシュへと持っていこう。このマナ倍増能力は前述の《石とぐろの海蛇》とも相性が良いのは言うまでもない。

 また、《原初の力》とともにやってきた《漁る軟泥》ともベストマッチだ。

 墓地のカードを追放する能力を一気に使用して相手の墓地利用カードを封印。ウーロや《大釜の使い魔》などを食い尽くし、また自身の除去されたクリーチャーも喰らって+1/+1カウンターを置いてやろう。《空の粉砕》などを撃たれた返しにニッサと軟泥、みたいな動きができれば一瞬で盤面を再構築できるので、そのあたりを意識すれば対コントロールデッキ相手の勝率も変わってくるだろう。

 序盤から高い打点を出すことに優れているので、そういったものに対処するのが不得意なデッキ相手にはゴリゴリ攻めて圧倒してやれる。ゲームが長引いても《原初の力》からの大ダメージで思わぬ決着という展開も生まれたのが嬉しい、追い風に恵まれたデッキだ。

 この緑単も細かいパーツの違いが使用者によって顕著なので、さまざまなリストを見つつ自分でも試して、マイベストな形を見つけ出してほしいね。《原初の力》で生態系を支配するのだ!

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