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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
隕石直撃!その時、ヤギはゴブリンは……(ヒストリック)
君にとってマジックとは何だろう? これはかなり難しい質問かもしれない。
なぜマジックをやるのか? その答えは1つじゃなくていいし、明確なものでなくてもいい。
僕もまだスパンッと決まる答えを出せない問いだが、最近娯楽が多くなってきたこの世界を生きてきて、少し気付いたことがある。マジックには、マジックでしか体験できないものがある。それだけは間違いないなと。こんなことはマジックでしかできない、その唯一性がヤミツキになるのだ。
マジックでしかできないことってどういうことなのか? それに対するアンサーは人それぞれだが、僕はやっぱり変なデッキをプレイするのが好きなのでアクの強い答えになってしまう。それでも聞いてくれるというのなら……そうそう、最近はこんなことをした。
「隕石を落下させて生物を絶滅させたが、ただ一頭のヤギが生き残った。そのヤギはビルよりも巨大な怪物へと成長し、対戦相手を一撃で粉砕した」
なんというか、ちょっとアブナイ発言。真面目過ぎる人が聞くと大丈夫か?となってしまうだろうが、この発言と寸分違わぬことができるのがマジック:ザ・ギャザリングなのだ。
その光景はヒストリック以降のカードプールで再現することができる。最近作ったデッキの中でも最も豪快で、ストリーミングでもウケが良かったのでここで紹介させていただこう。それじゃあデッキリスト、いってみよ!
9 《山》 5 《平地》 4 《聖なる鋳造所》 4 《断崖の避難所》 2 《凱旋の神殿》 1 《オラーズカの拱門》 2 《寓話の小道》 -土地(27)- 4 《嵐生の飛び山羊》 4 《真面目な身代わり》 2 《真火の隊長》 3 《無作法な挑発者》 -クリーチャー(13)- |
2 《精神石》 2 《焦熱の竜火》 4 《轟音のクラリオン》 2 《魂焦がし》 3 《嵐の怒り》 2 《空の粉砕》 4 《絶滅の星》 1 《目覚めた猛火、チャンドラ》 -呪文(20)- |
このデッキを作るきっかけとなったのは、『基本セット2021』にて登場した新カード《無作法な挑発者》がなんとも好みのデザインだったからだ。
5マナで1/1、ド貧弱だが同時に破壊不能を持っており底抜けにタフであるというわけのわからなさ。そして自身が受けたダメージを対戦相手に与えるという、いちゃもんというか八つ当たりというか、何とも理不尽な能力がステキだ。リミテッドでこのカードを出されて、本当にどうしようもない状況に持ち込まれた。
その経験から、なんとかこのイカれたゴブリン(アートもそれそのものだ)を構築で使ってみたいと考えた。スタンダードではそれほど良い組み合わせが思いつかなかったのだが、ヒストリックにであればアレがある。《絶滅の星》だ。
クリーチャーとプレインズウォーカーに20点のダメージを与えるという豪快極まるリセットボタンで、スタンダードにある頃から人気カードの1つだった。《無作法な挑発者》を戦場に出して《絶滅の星》をぶっ放すと、隕石の直撃を受け、それでも死ななかったゴブリンが「痛ってぇぇ~ッッ お前か?」と猛り狂って対戦相手に20点ダメージをブチ込む。これは快感極まるコンボだ。
以前から《真火の隊長》でも成り立つコンボであったが、隕石落下前に除去される隊長と違って、破壊不能を持つことでターンをまたいでも生きている可能性が高い挑発者は安心感が段違いだ。隊長と挑発者、合計8枚体制でコンボパーツが増えたことは大きいなと、デッキを仮組してみたところがスタートライン。
とりあえず仮組でプレイしてみたところ、何かもう少しアクセントというか、デッキを引き締めるカードが欲しいと思った。上記のコンボパーツだけでは重いし、序盤に出して戦場を支えるということも難しい。そういった役目ができるカードがないか探してみたところ、いたのだ。それが冒頭で触れたヤギこと《嵐生の飛び山羊》だ。
このカードは、結果的にソリューション(解決の1枚)だった。このデッキはコンボでの勝利を狙っているが、マナ加速でそれにのみ特化するのではなく、コントロールとして相手の攻勢を受け止め、耐えきった後にコンボを決めて勝つという構成を目指した。ヒストリックのランク戦(BO1)ではクリーチャーで攻めるアグレッシブなデッキが大多数を占めるからである。
受けたダメージをそのまま相手に飛ばす挑発者らと併せて使うために、コントロールに必須の複数のクリーチャーを破壊する全体除去はダメージを与えるものを優先して採用した。《轟音のクラリオン》《嵐の怒り》である。
これらのカードと組み合わせた際に、《嵐生の飛び山羊》はその真価を発揮する。飛び山羊は戦闘でないダメージを受ける際にそれを軽減し、その値に等しい数の+1/+1カウンターを得る。クラリオンで3点ダメージをばら撒くと、相手のタフネス3以下は死亡し……飛び山羊は4/6にサイズアップ! しかもクラリオンであれば絆魂もつけれるので、殴ってしっかり回復もできる。これがやってみるとかなり強く、しっかりと戦場を支えてくれた。
ヒストリックのアグロが用いる除去の多くはダメージを与える呪文や能力なので、それらを意に介さないという除去耐性の高さも評価ポイントだ。
そしてこの飛び山羊がいる状況で《絶滅の星》を唱えると……冒頭の怪文書の通り、パワーもタフネスも20を超えた、世界を滅ぼすヤギの化け物が誕生するのである。このヤギWINの利点は、巨大生物として戦場に残るので、相手のライフが20を超えていたとしても複数回殴って勝てるという点である。ライフ30点は軽く超えてくる白単などがいる環境で、これは結構重要なことだ。
後はコンボパーツと除去の枚数を調整し、7マナという起爆剤に向けてデッキの運用を円滑にするカードを取捨選択して完成だ。ブロッカーにもなる《真面目な身代わり》、いざという時にはドローになる《精神石》は緑を含まないこのデッキにおいて貴重なマナ加速である。
これらのカードで着々と準備を進めて、八つ当たりクリーチャーを戦場に出し、絶滅のその瞬間を迎えるのだ。《アイレンクラッグの妙技》で加速して最短4ターン目に決めるというコンボ特化も良いが、個人的にはゲーム展開次第で無駄なカードとなってしまうものを入れるよりは、真面目にやってく方が良いかなとこういう形にしてみた。
とにかく勝つときは豪快、さっきまで劣勢だったのに一瞬で相手がはじけ飛んで勝利というドラマチックさは「あぁ、マジックをやっているなぁ」と実感できるものだ。ヒストリックは環境の変化が目の前に迫っているが(記事執筆時)、構成するパーツから考えてもこのデッキが終わってしまうということはないだろう。変化した環境によっては、もっともっと活躍できるかもしれない。正直なところ、ワクワクしている。
君もゴブリンやヤギの頭上に隕石を落として、平然としているヤツらと木っ端みじんになる対戦相手というマジックでしか味わえない体験をしてみないか?
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