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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ドラゴンストーム2020(スタンダード)
世界の頂点に君臨したデッキというものは、記録はもちろんのこと、いつまでも人々の記憶に残る。その勝ち方が独特のものであり、また試合も盛り上がった時にはより鮮烈な記憶を刻み付けることだろう。
世界のテッペンを取ったというのは文字通り、世界選手権での優勝が初心者にもわかりやすい。カイ・ブッディ/Kai Buddeが優勝した世界選手権1999、その時の使用デッキである《欲深きドラゴン》デッキなどはいつまでも忘れることはない。日本で開催された世界選手権、デッキの動きも独特で、かつドラゴンを使用しているというのがポイントが高い。
このデッキに似たファクターを満たしているのが2006年の世界選手権優勝デッキ。優勝者は日本人(三原槙仁)、ドラゴンを使用したコンボデッキで、決勝はドラマチックなトップデッキなどで熱い試合。負けず劣らずのエピソードの宝庫だ。そのデッキの名は「ドラゴンストーム」。
8 《島》 4 《山》 4 《蒸気孔》 4 《シヴの浅瀬》 1 《石灰の池》 1 《戦慄艦の浅瀬》 -土地(22)- 2 《狩り立てられたドラゴン》 4 《ボガーダンのヘルカイト》 -クリーチャー(6)- |
4 《睡蓮の花》 4 《万の眠り》 4 《炎の儀式》 4 《手練》 4 《差し戻し》 4 《時間の把握》 4 《煮えたぎる歌》 4 《ドラゴンの嵐》 -呪文(32)- |
2 《戦慄艦の浅瀬》 1 《石灰の池》 1 《ザルファーの魔道士、テフェリー》 3 《無知の喜び》 3 《紅蓮地獄》 1 《計略縛り》 4 《撤廃》 -サイドボード(15)- |
デッキ名は勝ち手段である《ドラゴンの嵐》の英名そのまま。
この重たいストーム呪文を唱えて勝利する。《睡蓮の花》《炎の儀式》《煮えたぎる歌》と優秀なマナ加速を連打し、この9マナのソーサリーを唱える。そのターンに唱えられた呪文の数だけコピーが作られ、それらでドラゴンを複数体戦場へ出す。
《ボガーダンのヘルカイト》は戦場に出た際に5点ダメージをばら撒く能力を持ち、これを《ドラゴンの嵐》から4体持ってきてダメージをすべて対戦相手に割り振れば20点ダメージで決着。相手がライフを回復したりヘルカイトが手札に来たりしていても《狩り立てられたドラゴン》を引っ張ってきて殴って勝てるようになっている。
《ドラゴンの嵐》が通れば高確率でゲームに勝てるという単純明快さと、《万の眠り》で相手の土地をタップして打ち消しなどの妨害を防いだり、自分の呪文に対して《差し戻し》を唱えてストームを稼いだりといったテクニカルさが融合した良いデッキである。
このインパクトを放つデッキは、14年経った今でも人々の記憶の中に生き続けている。その記憶は、現スタンダードのコンボデッキを「ドラゴンストーム」の再来だと言わせてしまうほどだ。はたして2020年の「ドラゴンストーム」とは? 今日はその噂のリストを確認しようじゃないか!
3 《森》 2 《島》 1 《山》 4 《繁殖池》 4 《蒸気孔》 4 《踏み鳴らされる地》 2 《ケトリアのトライオーム》 2 《ラウグリンのトライオーム》 2 《ヴァントレス城》 2 《寓話の小道》 -土地(26)- 4 《楽園のドルイド》 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 2 《砕骨の巨人》 2 《厚かましい借り手》 4 《真面目な身代わり》 4 《峰の恐怖》 2 《不屈の巡礼者、ゴロス》 -クリーチャー(22)- |
4 《成長のらせん》 4 《発生の根本原理》 2 《世界を揺るがす者、ニッサ》 2 《精霊龍、ウギン》 -呪文(12)- |
『基本セット2021』で登場した《峰の恐怖》こそ新時代のボガーダン。
自分以外のクリーチャーが戦場に出るたびにそのパワー分のダメージを飛ばす、その能力はボガーダンの5点ダメージに勝るとも劣らない。この能力を爆発させて相手のライフを焼き切る、あるいは盤面を焼き尽くすのをこのデッキは狙っている。
この7マナのソーサリーをぶっ放してライブラリーの上から5枚をめくり、《峰の恐怖》を含むクリーチャーを戦場に出すのが狙いだ。根本原理により同時に戦場に出たクリーチャーは《峰の恐怖》の能力を誘発させる。これでダメージをばら撒くのだが、もちろん《峰の恐怖》が複数体同時に出るとその分能力も複数回誘発するし、お互いがお互いを誘発させて5点ダメージが飛ぶ。これで都合の良い5枚だったら一気に相手のライフを0に、そうでなくてもクリーチャーやプレインズウォーカーをボコボコに除去して、圧倒的有利な盤面を作り上げる。なんとまあ豪快なコンボだ。
デッキとしてはいわゆる「ランプ」系になる。《成長のらせん》や各種クリーチャーを用いて土地を戦場に出していき、少しでも早いターンに《発生の根本原理》をぶちかます。
この「クリーチャーによるマナ加速」というのがポイントで、根本原理を唱えるまでの下準備のためのカードが、根本原理により《峰の恐怖》とともに戦場に出ることでダメージ源として機能する。それらの中でも《峰の恐怖》と相性最高なのは言うまでもなく《自然の怒りのタイタン、ウーロ》。
パワー6で6点ダメージは決定打になる重い一発。このウーロ以外にもなるべくパワーがあるものを採用するため《樹上の草食獣》の採用は避けている。その代わりに新たに加わったカードから《真面目な身代わり》が良い仕事をする。
土地を伸ばしつつ、相手の攻撃をブロックして時間を稼ぎ、しかも死に際に1枚のドローを残していくその名に恥じない仕事っぷりだ。
また、《峰の恐怖》の火力を高めるために、クリーチャー除去の枠も非クリーチャー呪文ではなく《砕骨の巨人》《厚かましい借り手》と出来事クリーチャーを使っている点もよく作られている。
非クリーチャー呪文であっても戦場に出るパーマネントカードであれば根本原理から飛び出させられるので、プレインズウォーカーも忘れずに。マナ加速も兼ねる《世界を揺るがす者、ニッサ》と、プレインズウォーカーの中でも最大級の《精霊龍、ウギン》だ!
ウギンは押されている盤面であれば[-X]で全てを薙ぎ払うリセットとして使い、押していける状況では[+2]で3点ダメージを叩き込み、《峰の恐怖》とともにライフを削り取ろう。これ1枚で勝てるレベルのカードなので、根本原理などを引けない時の勝ち手段としても欠かせないカードである。
本家のようなコンボとしての確実性はないが、絶体絶命の状況を1枚のカードからひっくり返せる可能性があるという点では同様の夢がある2020年版「ドラゴンストーム」。使っていて楽しいデッキなので、皆にもそれぞれ調整を施して遊んでみてほしい。
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