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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
カース・ストンピィ(レガシー)
今宵紹介するのは身の毛もよだつ恐怖のデッキ。あなたは「呪い」というものを信じるだろうか。積もり積もった怨念というものは時に形を成し、人々に悪夢を見せつける。人を呪わば穴二つと言うように、呪うという行為は自分自身にもリスクを与える。ただ、そこまでしてでも目的を果たそうとする者がいることは紛れもない事実なのである。
レガシー界を震撼させた、真なる呪怨を紹介しよう。その名は「カース・ストンピィ」……。
14 《沼》 4 《古えの墳墓》 4 《裏切り者の都》 -土地(22)- 4 《ドロスの大長》 -クリーチャー(4)- |
4 《金属モックス》 4 《水蓮の花びら》 4 《三なる宝球》 3 《罠の橋》 4 《不幸の呪い》 1 《死の支配の呪い》 1 《愚者の知恵の呪い》 1 《圧倒的輝き》 4 《虚空の杯》 4 《傲慢な血王、ソリン》 4 《大いなる創造者、カーン》 -呪文(34)- |
1 《歩行バリスタ》 3 《魔術遠眼鏡》 2 《トーラックへの賛歌》 1 《液鋼の塗膜》 1 《罠の橋》 2 《虐殺》 4 《虚空の力線》 1 《マイコシンスの格子》 -サイドボード(15)- |
というわけでマニア待望……かどうかは知らんが、呪いデッキの登場だ。呪いは『イニストラード』で登場したサブタイプで、要するにプレイヤーに貼り付けるオーラのことである。以後、ちょろちょろと新たな呪いが作られ続けているのだが、これと言って呪いにフィーチャーしたデッキを見ることはほとんどなかった。まさかこんなタイミングで呪いを用いて勝つデッキが見られるとは、マジックってやつは本当に恐ろしい。
このデッキの主役は《不幸の呪い》だ。
毎ターン呪いカードをサーチしてきて相手に貼り付けるという、まさしく究極の呪いである。相手がすでに喰らっているのと同じ呪いはかけられないのが、なんだか黒魔術のルールって感じで面白い。
この呪いから一体どんな呪いをかけようというのか? まずは《圧倒的輝き》だ。
これで対戦相手のクリーチャーはすべて能力なしの1/1となる。クリーチャーで勝つデッキにとってはまさしく致命的。この上からさらに《死の支配の呪い》をかけると、クリーチャーは戦場に存在できなくなる。完封だ。相手の攻撃手段を封じることで自衛しつつ、勝ち目を奪って敗北をもたらすのだ。
《圧倒的輝き》はマナ能力および忠誠度能力以外の起動型能力も封じ込めるので、なんらかのパーマネントの能力をかみ合わせてコンボするデッキからも勝ち目を奪う。
とりあえず足止めするこれらの呪いをかけたら、《愚者の知恵の呪い》で毎ターン2点ずつライフを搾り取ろう。放置していれば勝利が転がり込んでくる、これぞ呪術の極みだ。
確かに呪いは強い。だが、キーとなる《不幸の呪い》は5マナと、レガシーで用いるにはコストが重い。その問題を解決するには、冒頭で触れたようにリスクを承知でやることになる。デメリットを持つものの2マナを生み出す土地、《古えの墳墓》《裏切り者の都》だ。
2点ダメージを受けたり、他の土地を出すと生け贄に捧げたりしなければいけない、安定して運用できるものではないが、爆発力は文字通り他の土地の倍ある2マナ土地。
それと組み合わせるのは《金属モックス》《水蓮の花びら》と、これまたカードを損失するがマナを生み出す{0}のアーティファクト。これだけあれば2ターン目に呪いをかけるなんてのも無茶な話ではない。
上述のマナブーストを用いて重いパーマネントを開幕から展開して押し切ろうとする強引なデッキは「○○ストンピィ」と呼ばれている。他のストンピィ系の例に漏れず、このデッキも《虚空の杯》《三なる宝球》と、低コストのカードを多用するレガシーのデッキ全般に対するアンチカードを搭載。
これらを1ターン目から唱えて、相手の行動を大きく抑え込み、ろくに動けないところを呪いで締め上げるというわけだ。なんだか逆恨みも良いところだが、まあ亡霊の呪いとかってのは理不尽なものだからね。一切の慈悲を持たずに使うようにしよう。
ストンピィの嗜みとして《大いなる創造者、カーン》も備えている。
呪いがない時には防御の要となる《罠の橋》を持ってきたり、《圧倒的輝き》下で唯一動けるプレインズウォーカーを《液鋼の塗膜》でアーティファクト化してカーンの能力で起動を封じたり。なんとも便利な御仁である。最後は《マイコシンスの格子》で〆。
で、このカーンに加えてプレインズウォーカーがもう1人。まさかの《傲慢な血王、ソリン》だ。
吸血鬼デッキで用いるこのカードがなぜここに? それは、このデッキが採用している唯一のクリーチャーである《ドロスの大長》と組み合わせるためだ。
3マナでソリンを出し、[-3]能力で大長を戦場へ。6/6飛行・絆魂とスペックは十分、ゲーム開始時に公開していれば3点ライフを吸っていたり、呪いをかけたりで相手のライフが減っていれば2~3回殴ってゲームを終わらせることができるため、十分なフィニッシャーになり得る。《虚空の杯》などで《剣を鍬に》などの除去を封じ、開幕からこのコンボを決めて圧殺する、呪殺とは別ベクトルの勝ち手段として採用しているのだ。さながら《実物提示教育》のようだ。
《傲慢な血王、ソリン》の[+1]、クリーチャーに接死と絆魂を与える能力は吸血鬼以外にも使用できるので、カーンから持ってきた《歩行バリスタ》とのシナジーも一応あって芸が細かい。
この衝撃的なデッキを使用したプレイヤーをSNSで発見したのだが、本人いわくこのデッキでMagic Onlineのリーグ戦を全勝できたのは運に恵まれたからだとのこと。また、ソリンと大長のパッケージは他の相手の行動を封じるカードに置き換えた方が良いだろう、そうすることでデッキ内の黒いカードが減ったら《金属モックス》が機能しなくなるから《モックス・ダイアモンド》に置き換えるべきだろうな、とのこと。
呪いのポテンシャルは感じているとの恐ろしいつぶやきもしていたので、今後さらなる改良が施された呪いデッキが侵蝕してくるかもしれない。悪夢はまだ終わらないのだ……。
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