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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
5点クロックで殴り切れ:ハサミアグロ(パイオニア)
マジックには「クロック」という用語がある。
直訳すれば時計。考え方は時を刻むものということになるのだが、その時というのがマジックらしくゲームが終わるまでの……対戦相手のライフを0にするまでの時間を意味している。戦場にあるクリーチャーやプレインズウォーカーなどのパーマネントが与えられるダメージから、対戦相手のライフを何ターンで0にできるか? その予測ターン数のことである。
例えば、パワー2のクリーチャーが1体いて、対戦相手のライフが初期値の20だとすれば、自分は10ターンクロックをコントロールしているということになる。もちろん10ターンも悠長な時間をかけていられないので、アグロデッキはクリーチャーをどんどん展開してこのクロックをどんどんと縮めていくことになる。
「Nターンクロック」から転じて、1ターンにはじき出せるダメージをまとめて「N点クロック」と表現することも多い。競技イベントの中継で「盤面に何点クロックありますからね~」と実況されているのを耳にしたことがあるだろう。自分が何ターンで勝利できるのか、それを把握することはアグロデッキを円滑に運用するために必要なことだね。
今日はクロックの値が揃うように組まれた、計算がしやすく、そして強いパイオニアのデッキを紹介しよう。
1 《島》 1 《山》 2 《蒸気孔》 4 《尖塔断の運河》 4 《シヴの浅瀬》 3 《産業の塔》 4 《ダークスティールの城塞》 2 《変わり谷》 -土地(21)- 4 《ボーマットの急使》 4 《ジンジャーブルート》 2 《ギラプールの希望》 4 《技量ある活性師》 3 《湖に潜む者、エムリー》 2 《つむじ風のならず者》 4 《石とぐろの海蛇》 -クリーチャー(23)- |
2 《頑固な否認》 2 《乱撃斬》 4 《アーティファクトの魂込め》 4 《爆片破》 4 《幽霊火の刃》 -呪文(16)- |
2 《搭載歩行機械》 2 《頑固な否認》 1 《乱撃斬》 3 《焙り焼き》 2 《金属の叱責》 2 《アンティキティー戦争》 3 《霊気圏の収集艇》 -サイドボード(15)- |
このアーティファクト主体のデッキ、テーマは「5」。5点クロックを作ってライフの四分の一を削ぐパンチをドシンドシンと刻んでいくのだ。
そのために用いられるのが通称ハサミこと《アーティファクトの魂込め》。
このオーラをつけられたアーティファクトは5/5のクリーチャーになる。これ、別に非クリーチャーのアーティファクトに限った話ではないので、アーティファクト・クリーチャーに貼り付けてサイズアップを図るのもOK。回避能力などを持つコストの低いものにつければ、開幕から5点クロックを形成することが可能だ。
もちろん《アーティファクトの魂込め》4枚だけに頼るわけにはいかないので、《技量ある活性師》も採用している。
さらにはアーティファクトを投げつける《爆片破》も併用することで、4ターンクロックを1ターン短くするショートカットも用意されている。5点、5点、5点、5点、刻んで勝とうぜってなデッキなわけだ。分かりやすくて素晴らしい!
5/5にすることを狙った軽量アーティファクトはパイオニアならではの優秀なものがズラリ。
速攻持ちで長期戦になりそうな時には手札を与えてくれる《ボーマットの急使》、とりあえず出して除去を誘う囮役もこなしてくれるだろう。
同じく速攻持ちで、かつ回避能力も備えた《ジンジャーブルート》も悠々と殴りに行ってくれるエースだ。
1マナ圏で非クリーチャーとして採用されているのは《幽霊火の刃》。これを5/5にして走らせても良いし、5/5にするカードがない際には装備品として打点アップに貢献してくれるだろう。
除去耐性という面で見れば《ダークスティールの城塞》は最強のオーラ貼り付け先。
破壊不能を活かして、サイズで並べようとも無視して突っ込ませるパワープレイが可能だ。
破壊不能よりは落ちる除去耐性ながら、同時に回避能力としてもカウントできるプロテクション(多色)を持つのは《石とぐろの海蛇》。
最序盤であれば思い切って1マナ1/1で、もっと後のターンであればマナを注いでデカいサイズで繰り出そう。これの基本のサイズを5/5にしてやれば、+1/+1カウンターと併せてなかなかに腕白なサイズになってくれるので、お忘れなく。
除去られたクリーチャーの再利用によって息切れを防いでくれる《湖に潜む者、エムリー》や、飛行機械・トークンを生成して航空戦力を強化しつつ地上のクリーチャーもブロックされなくしてくれる《つむじ風のならず者》も備えており、最序盤に5/5を作ってスピードで圧倒することがうまくいかなかった場合でもロングゲームがそこそこ戦えるようになっているのは心強い。
メインから2枚、サイドにも2枚採用されている《頑固な否認》。そして同じくサイドの《金属の叱責》は、各種コンボデッキを相手にした際に勝利をもたらす重要なカードだ。
さっさと5/5を作ったら、相手のコンボが動き出さないようにこれらのインスタントで打ち消しながら殴り切ることを狙う。
こうした、軽量のクロックを展開してから打ち消しで妨害して殴り切る戦略を「クロック・パーミッション」と呼ぶ。略してクロックパーミ、こちらも実況などで「サイド後はクロックパーミになりますね」などというフレーズを耳にすることがあるはずだ。
来月頭に控えたグランプリ・名古屋2020#1でも、このデッキや各種フレーズが多く飛び交うことになるかもしれない。今のうちに頭に入れておけば観戦ももっと楽しくなるはず! その時には『テーロス還魂記』のカードも使えるので、1マナ装備品である《影槍》がこのデッキに採用されている可能性は大いにあるね。
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