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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

オーコの誓い(ヴィンテージ)

岩SHOW

 前々回前回と、スタンダードの中心となっている《王冠泥棒、オーコ》が他のフォーマットにも進出し存在感を増していることをお伝えした。

 今回はシリーズ最終章、オーコはなんとヴィンテージにまでやってきたぞという事実を皆で確認しよう。前回のレガシー編で触れた重要なことは、オーコの大鹿にする能力は《虚空の杯》などアーティファクトを無効化できることにも大きな価値があるという点。もちろん、スタンダードやモダンでも同じことなのだが、アーティファクトというものはカードプールが拡がれば拡がるほど強くなる……すなわち古いセットのものほどヤバさが増す。

 そんなわけで、レガシーにおいては他のフォーマットよりもこの能力が活きてくるわけだが、じゃあさらにヤベーものが跋扈するヴィンテージでは? さあ、希少な宝石を野生の鹿に変えてやろう。

Miharu_Fuyumiya - 「オーコの誓い」
Magic Online Vintage Format Playoff #11995291 優勝 / ヴィンテージ (2019年10月19日)[MO] [ARENA]
3 《Tropical Island
3 《Volcanic Island
2 《溢れかえる岸辺
1 《汚染された三角州
1 《沸騰する小湖
1 《霧深い雨林
4 《禁忌の果樹園
-土地(15)-

1 《パルン、ニヴ=ミゼット
1 《グリセルブランド
-クリーチャー(2)-
1 《Black Lotus
1 《Mox Pearl
1 《Mox Sapphire
1 《Mox Jet
1 《Mox Ruby
1 《Mox Emerald
1 《ギタクシア派の調査
1 《精神的つまづき
1 《思案
4 《定業
1 《Ancestral Recall
1 《渦まく知識
2 《呪文貫き
3 《紅蓮破
1 《夏の帳
1 《Time Walk
2 《削剥
1 《古えの遺恨
4 《ドルイドの誓い
1 《ガイアの祝福
2 《否定の力
4 《意志の力
1 《時を越えた探索
4 《覆いを割く者、ナーセット
2 《王冠泥棒、オーコ
-呪文(43)-
2 《魅力的な執政官
3 《トーモッドの墓所
4 《自然の要求
1 《紅蓮破
1 《古えの遺恨
4 《貪欲な罠
-サイドボード(15)-
 

 ヴィンテージの顔とも言える存在、Mox。

 《Mox Pearl》《Mox Sapphire》《Mox Jet》《Mox Ruby》《Mox Emerald》の5種のコスト{0}のマナ・アーティファクトたち。さらには《太陽の指輪》や《魔力の墓所》……これらのおかげでヴィンテージのデッキは土地が15枚前後で十分に機能してしまう。

 土地がなくてもこれらだけで十分なマナを得られるのだ、マナ・アーティファクト最高! そんな想いを、オーコはぶち壊すのである。それ鹿、こっちも鹿、鹿鹿鹿ァ! こっちだけMoxで加速して最序盤からオーコを戦場に投下し、相手の計算を狂わせてやるのは愉悦ってやつだろう。他にも《虚空の杯》や《抵抗の宝球》《アメジストのとげ》などの妨害系の置物や《神秘の炉》《ボーラスの城塞》などヤバいやつらを片っ端から対処できる。天晴れ。

 でも、見境もなくアーティファクトを3/3にしていけば、能力なしとはいえ、それはそれでライフを詰められるし、オーコも落とされる可能性もあるしで危ないんじゃないか? という疑問は当然のこと。ただこのデッキは、それを逆手にとって自分の我儘を押し通してしまうのだ。そう、《ドルイドの誓い》を用いて。

 こちらよりも相手の方がクリーチャーが多い状況になると、このエンチャントはライブラリーからクリーチャーを直接戦場へ投下してくれる。これでデカいやつを呼んでむちゃくちゃしてやろうってことだ。

 このエンチャントのお供は《禁忌の果樹園》。

 相手がクリーチャーを出してこなくても、この土地で有無を言わせず1/1スピリットをくれてやり、アップキープに「こっちより多いじゃん」と難癖付けて大型クリーチャーを美味しくいただこうというかなりのワルなコンボだ。

 ここにオーコが加わって、コンボパーツが増加したというわけ。なるほどなぁ~よく思いついたものである。勝手に人の宝石を鹿にしておきながら、こっちよりもペットが多いと不平を言う、意味不明な構図を想像すると最高だな。

 《ドルイドの誓い》から投下するのは定番中の定番《グリセルブランド》。

 7枚ドローはやっぱり最強。7/7飛行・絆魂というハイスペックで、3/3の鹿を完全に無視して殴ろう。

 もう1体の候補は《パルン、ニヴ=ミゼット》、これまた超強力なドラゴンだ。

 このデッキはインスタントとソーサリーにあふれているので、それらを連打しているだけでドローがもたらされダメージも飛ぶ。最高なのは《Ancestral Recall》、パルンの力でこの最強ドロー呪文は1マナで4枚ドローと4点ダメージになる……そんな呪文、この世にあってはならないレベルよ。

 これら2体の巨大生物を、果樹園とオーコで相手にクリーチャーを押し付けて並べさせれば勝負あり。グリセルで7枚引いてニヴが7点ダメージ、ちょっと何言ってるかわからない。

 こんな贅沢なコンボを狙うのにはそれなりのリスクがある。《ドルイドの誓い》でライブラリーが墓地に大量に落ちてしまう危険性がある。そこで昔ながらの解決策、《ガイアの祝福》。

 これがライブラリーから墓地に置かれた際に誘発する能力で、墓地に落ちたカードをまとめてライブラリーに戻すという保険をかけてある。手札に来てしまった時には《渦まく知識》で戻しましょう、ゆえに無駄撃ち厳禁だ。

 しかしオーコ、むちゃくちゃ楽しそうなデッキで活躍しているもんだ。スタンダード、モダン、レガシー、ヴィンテージ。構築フォーマットを総なめにするその強さにただただ脱帽、あんたが大将。おそらくは先日発表された新フォーマット「パイオニア」でも強力な1枚となることだろう。なんだかボクシングの複数階級制覇を見ているようで、ここまできたら彼がどこまでやれるのか見届けようじゃないかって気持ちになる。

 もちろん、これを打ち倒すためにこれまで選択肢に上らなかったカードにスポットライトが当たる可能性もある。オーコを使うか、それとも打ち倒すか。各フォーマットのプレイヤーたちの腕の見せどころだ!

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