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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ガドウィック・コントロール(スタンダード)
《老いたる者、ガドウィック》は、『エルドレインの王権』のトリプルシンボルを持つ伝説のクリーチャーのサイクルに属する1枚だ。
サイクルで唯一、コストにXを含み、また彼のみがタイプ「貴族」を持っていない。設定としては《ヴァントレス城》における指導者であり、カード名では「老いたる者」と書かれているが、聴力は衰えておらず地獄耳なようだ。知識を司るヴァントレスの長であるので、まさしく老賢者と呼ぶべき大量の知識をその頭脳に蓄えているのだろう。本に翼を与えているのはなんだかお茶目。知識を用いる立場であるため貴族ではなくウィザードのタイプが与えられたのかもしれないね。
カードとしては3マナ3/3にX枚ドローがついてくるというもので、《ハイドロイド混成体》のようにXの値を大きくすることで手札をモリッと補充してくれるアドバンテージ源としての活躍が期待できる。
同時に、青の呪文を唱えるたびにパーマネントをタップする能力を持っている。これで相手の攻撃を食い止めるために軽いコストでさっさと戦場に出してしまうのもアリだ。
戦場に出て良し、立って良し。リミテッドでは言うまでもなく絶大な力を持った爆弾カードであるが、構築シーンではどうだろうか? 使っているデッキを見たことがない? 実は、あるんです。そしてこれが使ってみるとなかなか、いや思っていたよりもずっと強かった。
ガドウィックを用いるのであれば、コントロールデッキをイメージしたことだろう。その通り! 彼で手札を補充しながら戦う、青白2色のコントロールデッキを紹介しよう!
7 《島》 3 《平地》 4 《神聖なる泉》 4 《平穏な入り江》 3 《ヴァントレス城》 1 《アーデンベイル城》 4 《寓話の小道》 -土地(26)- 3 《老いたる者、ガドウィック》 -クリーチャー(3)- |
4 《選択》 4 《火消し》 2 《ドビンの拒否権》 1 《本質の把捉》 2 《吸収》 2 《悪意ある妨害》 3 《牢獄領域》 4 《薬術師の眼識》 3 《時の一掃》 3 《栄光の終焉》 3 《時を解す者、テフェリー》 -呪文(31)- |
4 《霊気の疾風》 4 《敬虔な命令》 2 《ドビンの拒否権》 2 《神秘の論争》 3 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
クリーチャーカードはガドウィックのみという潔い構築が目に留まった。
一見そのカードチョイスから奇抜なデッキに見えるが、その実、オールドファンなマジックプレイヤーにとってはなじみの深い伝統的な構成のデッキである。多く採られた打ち消し呪文を構えながら動き、パーマネント除去もあり、そして手札を補充することも容易で、勝ち手段は極力抑えた枚数で……ロングゲームに持ち込んで持久力で勝負する、耐えのコントロールだ。
この手の打ち消しの多いデッキのことを昔は「パーミッション」と形容した。対戦相手が「これは通りますか?」と許可/Permissionを求める姿からそのように呼ばれるようになった。打ち消し呪文がメインに11枚というこのリストは、近年あまり見かけなかったパーミッションの再来と言えるだろう。
その動きは静と動に分かれる。序盤は静。土地を置いてターンエンドを宣言し、相手のターンのアクションに対して《火消し》などの打ち消しを合わせていく。
クリーチャーであればあえて見逃して《牢獄領域》で追放したり、《時を解す者、テフェリー》で手札に戻したり。テフェリーの[+1]で相手のターンに《時の一掃》を唱えて空の戦場を作る、というのはひとつの理想形だ。
この打ち消し構え戦術の合間に《薬術師の眼識》でドローしていく。
そしてガドウィック。隙は生まれてしまうが、そもそも打ち消しが手札にないという状況であれば、開き直って彼を唱えてしまうというのも重要だ。2~3枚引くだけでも十分強いし、とりあえず引いて後からテフェリーで回収もできるのでご安心を。Xに全力でマナを払ってカードを引く→返しの相手の展開を《時の一掃》で捌きつつガドウィック回収というのがこのデッキの最高に気持ちいいポイント。これをやりたいデッキと言ってしまっても過言じゃないね。
ゲーム中盤にいざガドウィックを唱える際、青マナ源を1つ残しておくと幸せになれることがある。《選択》を唱えてカードを引きつつ、相手のクリーチャーをタップして攻撃を1回防げるのだ。こういう細かいテクが生死の境目なので覚えておこう。
終盤は打ち消しが構えられるだけのマナを立ててドローしても良いし、ゲーム展開次第ではフルパワーでいって相手の心をへし折りにかかるのも良いのではないかな。
勝ち手段はガドウィックで殴るほかに、トークン戦略がある。打ち消しを構えながら、何もなければ相手のターンエンドに《アーデンベイル城》で毎ターン人間を呼び出してじわじわと戦場を作る……古き良き時代のコントロールの香りがする。
もっと豪快に《栄光の終焉》で文字通り終焉をもたらすのも良い。
このカードも序盤はブロック役で使ったり、テフェリーの能力で相手の攻撃後に唱えてキャッチして除去のように使ったりと、フィニッシャーでありながら生存のための1枚としても使える点がステキだ。
まあこれらのカードで実際にライフを0にするまで攻撃することはほとんどないだろう。手札の枚数の差がつき、今後のアクションがとてもじゃないが通りそうにない状況に陥った相手は、さっさと投了することがほとんどだろう。特にメインゲームはね。
スパンスパンと打ち消しを投げつけ、お互い手札が尽きたところでガドウィックで大量ドロー。圧倒的に優位な差をつけたい。このリストを見てそんな欲求が湧いてきたのであれば、ぜひとも手に取ってほしい。打ち消し呪文が多いので、割とどんなデッキ相手にも満遍なく対処が可能だ。
僕も何の気なしに使ってみたら、思いのほか勝てるし楽しくて、コントロールに開眼しそうになった。古きスタイルだからこその新鮮さを、老いを重ねたガドウィックのごとき老獪さを体現したこのデッキでエンジョイしよう!
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