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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
永遠の週末、深部にて終末(レガシー)
真夏の祭典、エターナル・ウィークエンド・アジア2019が終わった夜にこれを書いている。2018年より日本国内でも開催されるようになった、エターナル・フォーマットを中心とした大型トーナメントのことである。
エターナル・フォーマットにはレガシーとヴィンテージが含まれる。これらのフォーマットにおいて、デッキを構築する際に使用可能なセット・カードプールがローテーションすることはない。セットの使用期限があるスタンダードと異なって、あらゆる時代のカードをいつまでも使うことのできる、その名の通り悠久の時の中にあるフォーマットなのである。
カードプールは最古から最新まで、万を超える数の選択肢が存在するエターナルであるが、レガシーではゲーム性を破壊してしまうレベルの力を持った歴代の問題児たちは禁止カードに指定されている。対してヴィンテージでは基本的には禁止されているカードはないが、一部のカードはデッキに1枚しか採用できない制限カードに指定されている。同じエターナルでもこの構築ルールの違いにより、活躍するカードやデッキは大きく異なる。
今回はエターナル・ウィークエンドのレガシー選手権で活躍したデッキを紹介しよう。まずは早速、優勝デッキから!
1 《森》 1 《沼》 3 《Bayou》 4 《新緑の地下墓地》 1 《吹きさらしの荒野》 1 《育成泥炭地》 3 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《ボジューカの沼》 1 《セジーリのステップ》 3 《不毛の大地》 4 《演劇の舞台》 4 《暗黒の深部》 -土地(27)- 4 《エルフの開墾者》 4 《闇の腹心》 4 《吸血鬼の呪詛術士》 -クリーチャー(12)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 4 《輪作》 4 《思考囲い》 3 《強迫》 3 《突然の衰微》 1 《暗殺者の戦利品》 1 《森の知恵》 1 《森の占術》 -呪文(21)- |
1 《カラカス》 1 《森を護る者》 2 《疫病を仕組むもの》 3 《外科的摘出》 2 《致命的な一押し》 1 《真髄の針》 1 《暗殺者の戦利品》 1 《消耗の儀式》 1 《毒の濁流》 2 《活性の力》 -サイドボード(15)- |
《暗黒の深部》よりマリット・レイジを降臨させる、通称デプスコンボ。20/20飛行・破壊不能の邪神を呼び覚ますには《暗黒の深部》に乗った氷カウンターを0にする必要がある。
そのルートは大きく2つ。《吸血鬼の呪詛術士》を生け贄に捧げることで、カウンターをすべて取り除くというのが1つ。直感的にわかりやすく、また《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を用いれば最速で2ターン目にコンボ完成!
もう1つのルートは《演劇の舞台》を用いるというもの。
これだけをぱっと見てもどういうことなのかわかりにくいかもしれない。舞台は他の土地のコピーになる能力を持っている。これを《暗黒の深部》のコピーにすると、同名の伝説の土地を2枚コントロールしている状況になる。そのような場合は、コントローラーがどちらか片方を戦場に残し、もう一方を墓地に置かなければならない。これでカウンターの置かれている本家深部を墓地へ、コピー深部(舞台)を戦場に残す。コピーである深部にはカウンターがそもそも置かれておらず、そのためすぐさまカウンターが0個の条件が満たされ、能力誘発→生け贄に捧げてマリット・レイジを戦場へ!……と、なんと土地だけを用いてゲームを終わらせるコンボを決められるのだ。このルートはその特性上、打ち消し呪文などに妨害されないのが強力だ。
この2つのルートを同時に備え、アドバンテージ源である《闇の腹心》《森の知恵》、マナ加速《モックス・ダイアモンド》、そしてコンボパーツにアクセスするための《輪作》《森の占術》らで固められた黒緑の2色のデッキこそ「スロー・デプス」だ。
以前まではそのスピード重視のスタイルから「ターボ・デプス」と呼ばれていたのだが、ここ最近の主流となっているデッキはスローと名乗っている。速度一本ではなく、安定性を重視した形になっているというわけだ。その立役者こそ《エルフの開墾者》!
『基本セット2020』からやってきた新戦力だ。このマッチョなエルフは、土地を生け贄に捧げてライブラリーから他の土地を持ってきて戦場に出すというサーチ能力持ち。この能力、持ってくるのは土地ならなんでもOK。なんでもってのはすごい! そう、深部や舞台、その他便利な能力を持った土地をしこたま詰め込んで、これらを状況に合わせてサーチする超万能カードなのだ。まるで土地版の《適者生存》みたいだな。
このエルフ自身も3/4にサイズアップしてライフを減らす手段となってくれるのも、地味ながらとても偉い。もしこのエルフを嫌って《剣を鍬に》を使ってくれたら、それはそれでマリット・レイジの露払いとして十分に働いてくれている。腹心と開墾者でプレッシャーをかけつつコンボをちらつかせる、これが最新のデプスの攻め方だ。
1 《森》 1 《ドライアドの東屋》 1 《沼》 2 《Bayou》 4 《新緑の地下墓地》 2 《育成泥炭地》 2 《カルニの庭》 3 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 1 《ボジューカの沼》 1 《セジーリのステップ》 1 《幽霊街》 4 《演劇の舞台》 4 《暗黒の深部》 -土地(27)- 4 《エルフの開墾者》 4 《縫い師への供給者》 4 《吸血鬼の呪詛術士》 3 《サテュロスの道探し》 4 《甦る死滅都市、ホガーク》 -クリーチャー(19)- |
3 《モックス・ダイアモンド》 4 《陰謀団式療法》 4 《思考囲い》 3 《輪作》 -呪文(14)- |
1 《カラカス》 2 《森を護る者》 3 《外科的摘出》 2 《真髄の針》 2 《突然の衰微》 2 《暗殺者の戦利品》 3 《活性の力》 -サイドボード(15)- |
こちらは優勝デッキと決勝を戦った「ホガーク・デプス」。《甦る死滅都市、ホガーク》をサブの勝ち手段に据えた「スロー・デプス」の亜種だ。
このデッキについては以前にも取り上げたので解説は簡潔に。《縫い師への供給者》《サテュロスの道探し》は墓地を肥やしてホガークを呼び出すコストを提供しつつ、《陰謀団式療法》の餌として額面以上の働きをしてくれる。このレガシー環境でも最強クラスの手札破壊を使いこなしたいのであれば、こちらのスタイルに挑戦してみよう。
レガシー選手権のトップ8には「スロー・デプス」が3名、「ホガーク・デプス」が1名と、《暗黒の深部》に会場が飲み込まれた結果となった。レガシーの象徴とも言える《渦まく知識》を用いた青いデッキはわずかに1つのみ……昨年はその真逆で《渦まく知識》を使わないデッキが1つだけだった。
たった1年、されど1年。大きく環境が変化したレガシーはこれからも人気フォーマットであり続けるだろう!
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