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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

デッキにゴールを作れ:ラヴニカ構築で得た学び

岩SHOW

 先日、あるネット番組を見ていた時のこと。好きなお笑い芸人さんたちが多数出てきてぶつかり合う番組なのだが、そこである芸人さんが力技で流れを作ろうと何度も挑むも「ゴールはどうしたかったん?」「ゴールのないボケはやめとけ」などツッコミを越えてリアルな指導の域に入っているシーンがあった。まあこの話はいったん忘れてくれても良い。

 後日、配信のためにMTGアリーナのラヴニカ限定構築をプレイした。『ラヴニカのギルド』『ラヴニカの献身』『灯争大戦』とラヴニカを舞台にしたスタンダードのセットのカードのみでデッキを作って戦う特殊フォーマットだ。

 《ショック》《喪心》などの軽い除去がなく、《ドミナリアの英雄、テフェリー》や《運命のきずな》といった一部のデッキの顔と言えるカードもない。そんな中でラヴニカのカードたちが秘められた真の実力を発揮する……こういうフォーマットは大好きだ。いろんなカードにチャンスが回ってくるのが嬉しいんだよな。

 というわけで配信のために、タフネスが高くて防衛持ちのクリーチャー+《厳戒態勢》《太陽の義士、ファートリ》で戦う青白デッキを漠然と組んでみた。

 結果……0-2、0-2と0勝4敗。オォォォマイガァァァァと絶望の淵に。

 この時気付いたのである。これはいわば「ゴールのないデッキ」だったのだと。どのカードを使って、どのような戦況になって、どんな形でフィニッシュを迎えるのか。そういったことを全く考えていなかった。デッキにゴールは必須なのだ。ただ《厳戒態勢》置けたらなんとかなるっしょ♪ではなんともならん!そんな現実を思い知らされた。まさかお笑いからマジックに通ずるものを得られるとは、マジックはすべての物事と結び付けて考えられるんだなぁ……(やや大げさ)

 ただ、自分のデッキにゴールがないと凹むことばかりではない。惨敗を繰り返すうちに、ある芸術的なデッキと遭遇した。

 そのデッキは複数の《残酷な祝賀者》と《テイサ・カルロフ》を並べた上で《忘れられた神々の僧侶》の能力を起動してくる。

 生け贄に捧げるのは《徴税人》など死亡時にトークンを生成するカードだった。

 テイサの能力により、そのトークンは2体となり、コチラの失うライフはいきなり8点+2点とかいう馬鹿にならない火力になった。

 このデッキは、ゴールがしっかりと設定されている! 見たカードと、それと相性が良さそうなカードを思いつきで入れてみる。それで対戦を重ねていくうちにまた同様のコンセプトのデッキと遭遇。よりデッキの詳細が吸収でき、ついには「これかァァ!」と納得のいくリストが出来上がった。

 今日は僕がたどり着いたゴールを見ていただこう。

岩SHOW - 「白黒アリストクラッツ」
ラヴニカ構築(『ラヴニカのギルド』『ラヴニカの献身』『灯争大戦』)[MO] [ARENA]
8 《平地
7 《
4 《神無き祭殿
4 《オルゾフのギルド門
-土地(23)-

4 《追われる証人
4 《徴税人
4 《ラゾテプの肉裂き
4 《残酷な祝賀者
4 《忘れられた神々の僧侶
4 《真夜中の死神
3 《テイサ・カルロフ
1 《永遠神バントゥ
-クリーチャー(28)-
3 《屈辱
1 《ボーラスの城塞
2 《黒き剣のギデオン
3 《復讐に燃えた血王、ソリン
-呪文(9)-

 クリーチャーが死亡することでこちらが有利になっていくクリーチャーデッキ、通称「アリストクラッツ」の白黒2色版だ。ラヴニカ構築はメイン一本勝負なのでサイドボードはなし。コンボ系のデッキにはおあつらえ向きのフォーマットと言える。

 デッキの目指すところは、軽量クリーチャーを並べてから先にも挙げたキーカード《残酷な祝賀者》《テイサ・カルロフ》《忘れられた神々の僧侶》などを戦場に揃えて、能力を起動して能動的に詰めていくもよし、相手に攻撃することを躊躇わせながらもっともっとクリーチャーを並べに行ってもよし。

 《真夜中の死神》を出して積極的にドローしていくのも重要だ。

 その先にきちんと「大量の生け贄からのライフ全吸い尽くし」というゴールが設定されている。《永遠神バントゥ》と《ボーラスの城塞》だ。

 どちらもクリーチャーをまとめて生け贄に捧げて、祝賀者たちの能力を山ほど誘発させられる。そして大量にアドバンテージを得ることで、次なるビッグアクションに繋げることもできる! こういう長期的なビューの先に勝てるカードがあると安心しながらプレイしていけるというもの。状況によって「僧侶の能力だけで十分に勝てるな」とか「《黒き剣のギデオン》で殴るプランで押し込もう」と判断したなら、ゴールの設定を手前に切り替えれば良いのだ。逆もまた然り。

 このデッキのもう1人の重要な存在が《復讐に燃えた血王、ソリン》。

 彼の[-X]能力が、このデッキでは輝きまくり! 1枚で2体のクリーチャーとなり《忘れられた神々の僧侶》の生け贄コストにピッタリな《ラゾテプの肉裂き》、これが生け贄に捧げられたことで出た黒マナからソリンを唱えて、X=2で肉裂きを戻して盤面をしっかり作りながら相手に被害をもたらす、という動きがむっちゃ強い! 適当に肉裂きを使いまわして軍団を育ててソリンで絆魂を得させて殴り合いを制する、というプランも生まれて……とにかくデッキの引き出しが多くて楽しいのだ。

 一部のカードを置き換えればスタンダード仕様のものも作れるが、その際には環境に存在するデッキ相手にどのように戦っていくのか? そこを考えながらカードをチョイスしていってほしい。なんだったらこのラヴニカ構築のカードは、秋のローテーション後もすべて残る。その際に改めて、こういうデッキを考えてみるっても良いかもしれないね。

 ラヴニカ構築では普段使わないカードのいろいろな能力や意外な強さにも気付けて、本当に学ぶことが多かった。このデッキで一応、イベントのゴールである5勝にも到達できたのも嬉しかった! 皆もまた次の機会があったらぜひ遊んでみてね!

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