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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
赤エルドラージ(モダン)
ロンドンにて先日開催された第2回目のミシックチャンピオンシップ。フォーマットはモダンだったが、モダンはモダンでも新しい要素が含まれたものだった。
まず、リストが公開されている状態でゲームを行うという点。お互いのデッキリストを確認するという、プロレベルの競技トーナメントの決勝ラウンドにて行われている工程を挟んでゲーム開始だ。
相手のデッキが分かるということは、頭の中でより深い戦略を立ててプレイすることになる。相性差で苦しいというのが判明した状態になることもあるが、だからこそ開き直って「これしかない」という勝ち筋を真っすぐに狙いに行けるとも考えることができる。逆にタネがバレると脆い、わからん殺し系のコンボなんかは選びにくくなってしまうね。
相手のデッキが分かっているということは、大事なのはゲーム開始時の手札。クリーチャー除去が欲しい相手・いらない相手などわかっていればマリガンするか否かの判断も大きく変化するというものだ。ロンドンではこのマリガンにも新要素が導入された。
現行のルールと異なり、最初の7枚から手札を引きなおす場合、新たに7枚引く。その中から1枚をライブラリーの一番下に送って計6枚の手札にしたところで、それをキープするかさらにマリガンを行うかを選ぶ。2回マリガンしたなら7枚引いて2枚送って5枚、と手札の枚数自体が減っていくのは変わりないが、その内容を7枚の中から選んだ、より良いものにできるというルールだ。
将来的にこれを正式ルールとして採用する可能性があり、一種のテストとしてこのミシックチャンピオンシップに導入されるようになったというわけ。モダンであればキーカードに依存するデッキも多くあり、同じマリガンでもそれを手にした状態でゲームを始められる可能性がより高いこのルールはおあつらえ向きであると言える。一方で、このマリガンはプレイヤーのスキルをかなり要求する、要するに難しく初心者向けではないかもしれないという意見も耳にした。実際にどうなるか、その行く末は近い将来わかるんじゃないかな。
このマリガン・ルールが発表された際に話題になったのが《血清の粉末》だ。
新たなマリガンルールの中で、このカードの挙動は一体どうなるのか? これについての質問は多かったようで、公式のアナウンスに説明が加筆されている。《血清の粉末》の能力が働くマリガンをするか否かを確認する段階は、7枚の手札からカードをライブラリーの一番下に送った後とのこと。
「例えば、2回目のマリガンを行って引いた3組目の7枚の中に《血清の粉末》が含まれているとしましょう。その場合、先に2枚のカードをあなたのライブラリーの一番下に置きます。そしてその後(まだ手札に《血清の粉末》が残っているなら)、あなたは手札のカードをすべて追放し、カードを5枚引くことを選ぶことができ、改めてマリガンかキープを選択できます。」
引用元:上記記事
つまり、これまでのように手札の枚数を減らさずに引き直せるという挙動に変わりはない。粉末で追放されないようにカードを底に送って逃がすこともできるようになったと考えれば、柔軟度が上がって微妙に強化されたか?
というわけで、開催前に話題になったこのカードを実際に用いて、8勝2敗という好成績を残したデッキを紹介しよう!
3 《山》 4 《魂の洞窟》 4 《手付かずの領土》 4 《エルドラージの寺院》 4 《変わり谷》 1 《ちらつき蛾の生息地》 2 《海門の残骸》 -土地(22)- 4 《エルドラージのミミック》 4 《エルドラージの寸借者》 4 《永遠の災い魔》 4 《作り変えるもの》 4 《猿人の指導霊》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 -クリーチャー(28)- |
4 《血清の粉末》 2 《四肢切断》 4 《虚空の杯》 -呪文(10)- |
2 《歩行バリスタ》 3 《減衰球》 2 《漸増爆弾》 2 《倦怠の宝珠》 1 《四肢切断》 4 《虚空の力線》 1 《全ては塵》 -サイドボード(15)- |
無色のエルドラージたちを展開し続けて殴る、「赤エルドラージ」だ! 赤単と表記しないのは、どちらかというと無色単と言った方が正しい構成だからだ。
赤の要素は《エルドラージの寸借者》と《猿人の指導霊》のみ! 猿人に関しては戦場に出ることはほぼない(そうならないように願いたい)カードなので、寸借者のための赤であり、基本は色を要求しない、むしろ無色マナを要求してくるカードを中心に戦うデッキだ。
《難題の予見者》と《現実を砕くもの》というサイズに優れ能力も強烈な2大エルドラージを《エルドラージの寺院》と猿人で加速して最序盤に展開するというのがこのデッキの狙いであり、そのプランとロンドン・マリガンおよび《血清の粉末》はがっちりと噛み合う。
猿人からの《虚空の杯》による1マナ完封も狙いやすく、またリストが分かっているので効果が薄い相手には無理して狙わなくても良い。なんとまあロンドンの地に適したデッキだろう。《エルドラージのミミック》から流れるように展開できれば、20点のライフを削りきるなんてあっという間だ。
このデッキの面白いところは、《血清の粉末》でマリガンのダメージを補うどころか、ちょっとしたアドバンテージまで得てしまう点。粉末の能力で追放された中に《永遠の災い魔》がいれば、これを唱えることが可能だ。
最序盤の動きが良くなく、粉末があって災い魔もいる……さあマリガンだ! マジックの苦しいポイントを前向きに利用して楽しむことができる、ってのもステキだね。
猿人に粉末に、唱えられることがまずないカードがデッキに入っている点もモダンっぽくてオススメしたいデッキだ。
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