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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
最高額を稼いだデュオ(スタンダード)
先日、記念すべきミシックインビテーショナルが開催された。MTGアリーナを用いた初のビッグイベントということもあって、大いに注目を集めた同トーナメントの配信視聴者数は10万を優に超え、マジックの持つ勢いを感じさせてくれた。
このトーナメントには夢があった。世界のトップクラスのプロプレイヤーに対して、日ごろからアリーナを配信するストリーマーたち、そしてアリーナの予選を勝ち抜いたプレイヤーたちが挑むという舞台でもあったのだ(その枠に野生の殿堂顕彰者がいたのも面白い)。ステージもカッコよく、まさしくe-sportsといった趣。いつかあの舞台に自分も……という夢を見させてくれたのではないだろうか。そうやって夢を追いかけてマジックを楽しむ人が増えてくれれば、関わっている人間としては最高に嬉しいね。
夢と言えば、このトーナメントでもっとも大きな夢要素はその賞金! なんと優勝賞金$250,000! 日本円で約2800万円(2019年4月現在)、This is a dream! マジックのトーナメントにおける賞金の中でも過去最高額だ。このトーナメントを制したデッキは、すなわちマジックの歴史で一番デカい額を弾き出したということになる。
決勝を制したのはイタリアのアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucci、ここ数年、安定してトップに名を連ね続けている正真正銘の強豪だ。彼が使用したリストをおさらいしておこう!
1 《島》 1 《沼》 4 《湿った墓》 4 《水没した地下墓地》 4 《神聖なる泉》 4 《氷河の城砦》 4 《神無き祭殿》 4 《孤立した礼拝堂》 -土地(26)- -クリーチャー(0)- |
4 《思考消去》 2 《喪心》 2 《アズカンタの探索》 1 《渇望の時》 1 《否認》 4 《吸収》 3 《屈辱》 2 《肉儀場の叫び》 3 《薬術師の眼識》 3 《ケイヤの怒り》 3 《ヴラスカの侮辱》 1 《首謀者の収得》 1 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》 4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 -呪文(34)- |
1 《黎明をもたらす者ライラ》 1 《原初の潮流、ネザール》 1 《啓蒙》 1 《強迫》 1 《治癒の恩寵》 1 《魔術遠眼鏡》 1 《精神純化》 1 《鮮血の秘儀》 1 《漂流自我》 1 《悪賢い隠蔽》 1 《イクサランの束縛》 1 《浄化の輝き》 1 《ミラーリ予想》 1 《天上の赦免》 1 《集団強制》 -サイドボード(15)- |
ミシックインビテーショナルで採用されたフォーマットは「デュオ・スタンダード」。2つのデッキのデッキで交互に戦うという、マジック史上初・アリーナならではというフォーマットだ。というわけで紹介するデッキも、もちろん2つだ。
まず1つ目のデッキはエスパー(白青黒)のコントロールデッキ。
この方式では攻め攻めのアグロデッキで1本もぎ取って、相手のそういうデッキにはコントロールで対処するというスタイルを選択したプレイヤーが多かった。4日目に進出したトップ4プレイヤー全員が、この形のデッキを選んでいることからも、この戦術がいかに優れていたかがわかるだろう。
前回紹介した、BO1ならではの《ドビンの鋭感》型とは違い、こちらは《ドミナリアの英雄、テフェリー》を使用するお馴染みの「エスパー・コントロール」だ。
早いデッキには間に合わないこともあるが、対コントロールや中速デッキ相手となるとテフェリーの強さは絶対的なものだ。「デュオ・スタンダード」はお互いに1本ずつ取り合った最終ゲームにおいて、コントロールデッキを使用するというのが定跡となっている。相手がアグロを選んできたらそれに対して除去の嵐で戦えるし、逆に自分がアグロを選んでしまうとコントロール相手に戦うというのが苦しいからだ。
というわけで3本目はエスパーのミラーマッチが頻発していたのだが、そうなると鋭感の回復はあまり嬉しくなく、テフェリーを採用している方が単純なカードパワーで押せてしまうというわけだ。
鋭感デッキとも共通する点は《首謀者の収得》を採用することでサイドボードのカードも用いることができ、75枚という枠をフルに使って戦うという点。
ただこれの枚数自体は1枚と少ないので、あまり大技を狙いすぎずに状況へのアンサーになり得る柔軟なカードとしての意味合いが強い。
20 《平地》 -土地(20)- 4 《不屈の護衛》 4 《空渡りの野心家》 4 《短角獣の歩哨》 2 《錆色翼の隼》 4 《徴税人》 4 《ベナリアの軍司令》 4 《敬慕されるロクソドン》 -クリーチャー(26)- |
4 《軍団の上陸》 4 《ベナリア史》 3 《不敗の陣形》 3 《議事会の裁き》 -呪文(14)- |
もう1つのデッキ、アグロ担当がこの「白ウィニー」だ。
ウィニーというのは1~2マナの細かいクリーチャーを最序盤から横に並べて殴っていくデッキの総称だ。スタンダードではこれに青を足したデッキが主流だが、サイド後のゲームを行わないデュオスタンダードでは青を足す意味は薄く、自ずとデッキは単色になる。
このデッキの強みは《敬慕されるロクソドン》。
ズラッと並べたクリーチャーで召集コストを払って、非常に少ないマナから4/4を展開しつつそのタップしたクリーチャーたちも強化し、一気にゲームを決めることができる。相手が土地を置けないターンがあったりしてもたついている間に、立て直させずにゲームを獲れるこのデッキは、ミシックインビテーショナル内でもエスパーに次ぐ人気デッキであった。
このリストは《不敗の陣形》を3枚採用し、《ケイヤの怒り》への対抗策として用いることで、不利なコントロールデッキ相手にもチャンスをものにできるようにしてある。
というわけで、マジックの新時代の幕開けを飾ったデッキを紹介した。次の大規模イベントはどのようなトーナメントになるのだろうか? どんどんと盛り上がっていってほしいものだ。マジックには、夢がある!
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