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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

イゼット・ドレイク(スタンダード)

岩SHOW

 新デッキが誕生し、同時に既存のデッキもアップデートされた『ラヴニカの献身』環境。今まさに、最高に楽しい期間ってやつだ。プロツアー……改めミシックチャンピオンシップが控えている状態で、あらゆるデッキが可能性に満ちている! デッキ選択、メインデッキおよびサイドボードのカード選択など、あーでもないこーでもないと考えながらスタンダードをプレイするのがとても楽しい毎日が続いていて幸せな限りだ。スタンダード、やってみようかな……と迷っている方にはぜひともチャレンジしてみてほしい。後悔させないって!

 さて、本日紹介するスタンダードのデッキは「イゼット・ドレイク」だ。青赤の2色(+白 or 黒の3色)で組まれたアグレッシブなデッキで、キーカードは《弾けるドレイク》《奇怪なドレイク》の墓地参照ドレイク2種8枚。

 どちらもタフネス4とガッチリめで飛行持ち、そして墓地にあるインスタントとソーサリーの枚数分だけのパワーを持つ、コストに見合わぬ巨大打点の持ち主だ。

 このドレイクを早いターンのうちから二桁パワーに育てるために、軽くてドロー付きのインスタント&ソーサリーを連打し、欲しいカードをかき集めながらドレイクを展開し、相手の除去からは《潜水》などで守って殴り勝つ。テクニカルな要素とシンプルな破壊力を併せ持った、「マジック楽しい~!」系のデッキで前環境から人気も高かった。

 バリエーションも多く、前述の通り色を足してカードの選択肢を広げたもの……具体的には《轟音のクラリオン》を採用した「ジェスカイ・ドレイク」があったり、同じ青赤の2色でも《弧光のフェニックス》を採用したブン回り重視のフェニックス型、《パルン、ニヴ=ミゼット》で蓋をする長期戦もなんとかできるタイプ、《模写》でドレイクを量産するタイプなどなど……これだけ派生形が生まれているということはデッキが強い証でもある。

 そんなドレイクデッキに、『ラヴニカの献身』発売前から加わること間違いなしと注目されていたのが《プテラマンダー》だ。

 フェニックスの強さが爆発力・持続力、ニヴの強さが制圧力だとするならば、このプテラの強さは安定感・小回りの良さにある。どんな状況でもたった1マナで唱えられて運用に無理がなく、デッキがきちんと動いていれば5/5に成長させるのは簡単。後半に引いても2マナ5/5として即戦力になる、といったようにデッキの形を歪めることなくすんなり採用できて扱い方も簡単、という点が素晴らしい。新環境のスタートとともに、これをドレイクのお供に採用したタイプのデッキは多くのプレイヤーによって試され、そしてその強さは多数の勝利報告によって証明された。

 このプテラ型ドレイクデッキにも、今まさに新たなバリエーションが生まれようとしている。ちょっとした差ではあるが、マジックではそれが大きな違いだ。リストを見れば、すぐにそれが何なのか気付くかもしれない。

Sean Seitzinger - 「イゼット・ドレイク」
Star City Games Invitational Qualifier Niles 6位 / スタンダード (2019年2月2日)[MO] [ARENA]
5 《
5 《
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝

-土地(18)-

4 《プテラマンダー
4 《奇怪なドレイク
4 《弾けるドレイク

-クリーチャー(12)-
4 《選択
4 《突破
4 《大将軍の憤怒
4 《ショック
3 《潜水
2 《呪文貫き
1 《最大速度
1 《ドスン
4 《航路の作成
3 《溶岩コイル

-呪文(30)-
2 《セイレーンの嵐鎮め
3 《静電場
2 《否認
1 《軽蔑的な一撃
2 《焦熱の連続砲撃
1 《氷河期
1 《苦悩火
1 《雷電支配
2 《幻惑の旋律

-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)

 土地、18枚!! 「イゼット・ドレイク」は3マナと4マナのカードが軸であり、かつ、さらに6マナのカードなどが採用されるため、1マナのドローを大量に採用しているとはいえ土地の枚数を極端に減らすことは難しく、大体のリストでは計21枚採用されている。

 これを大胆にも3枚削って10枚台にまで落とし込んだこのリスト……これを誕生させたのもまた《プテラマンダー》の仕業だ。《選択》《突破》《大将軍の憤怒》をフル投入の計12枚の1マナドローでデッキを圧縮し、戦う上で必要な土地を確保しつつ後半には引きすぎないように枚数を抑える。軽量呪文を最序盤からとにかく連打するので、プテラの順応コストもあっという間に1マナになる! そういう寸法だ。

 土地を引きすぎてゲームに負けることの多い人間としては。この大胆な構築は好感度大。実際に回してみると、たっぷりとカードが引けるので、土地が18枚でも無理なくドレイクたちを展開しつつ《潜水》を構えるというドレイク必勝のパターンに持ち込むことができた。プテラも簡単にデカくなり、また1マナであることを活かして1ターン目から出してペチペチ殴る、ドレイクと同時に出撃させてどちらを除去するのか迫る、などなど、機動力を活かした強さをいろいろなマッチアップで披露してくれた。飛び抜けた圧倒的カードパワー!というわけではないが、1マナでこれだけ戦えるカードはそうそうなく、文句なしといったところ。

 サイドボードに採用されている《雷電支配》も面白い新カードだ。

 これでターンエンドに相手のドレイクを焼きつつこちらのドレイクを0マナで投下し、返しのターンで殴るという隙の無い動きにはシビれた。《氷河期》と併せても強いし、軽いコストでもとりあえずプテラが出せれば上出来だ。これは、土地を21枚とかにしているタイプであればメインから入れても良い働きをするだろうな、と思った。

 ここからさらに個人によるカスタマイズで細分化されていきそうな「イゼット・ドレイク」。ミシックチャンピオンシップでも高い使用率を誇るだろう。どんな形が勝ち残るのか? 今から楽しみだ!

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