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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

アゾリウス・ウィニー(スタンダード)

岩SHOW

 来週末に開催されるミシックチャンピオンシップ。これは以前までプロツアーと呼ばれていた招待制トーナメントがその名を変えたものだ。名前は変わっても高額の賞金とチャンピオンの栄光を求め、世界中から集ったプレイヤーが熱戦を繰り広げることに変わりなし。激闘になることは必至で、今から観戦が楽しみだ。

 さて、形式上「最後のプロツアー」となったプロツアー『ラヴニカのギルド』のことを思い出してみよう。前評判では黒緑の中速デッキ、「ゴルガリ」が上位に君臨しそうに思えたが、蓋を開けてみれば白単に赤をほんのり足した「ボロス・ウィニー」が上位を総ナメ! 白の小型クリーチャーをズラっと並べて殴る、伝統のウィニー戦術が復活の雄叫びを上げたのだった。

 赤を足したことによって、《実験の狂乱》をサイドインして息切れを防ぐことができる点が白ウィニーの弱点を上手く補っており、大躍進と相成った。その後は白単になったり、同じボロスの中でも派生形が生まれたりしながら、定番デッキとしての地位をキープ。特にMTGアリーナの一本勝負のランク戦では、環境最強と言っていいブン回った時の破壊力を武器に暴れ回っていたものである。

 この白ウィニー、『ラヴニカの献身』で手に入れたものはあるのだろうか。答えは、アリ。それも、デッキの性質がやや変化するという、他のデッキから見ても無視できない収穫だ。

 このセットで登場した白絡みのギルドは白黒・オルゾフと白青・アゾリウスだ。今日紹介するデッキは、色の組み合わせ的に「アゾリウス・ウィニー」となるが、オルゾフからの新戦力もガッツリと得ている。

 何はともあれ、その新しいウィニースタイルを見てみようじゃないか。

Joe Fortini - 「アゾリウス・ウィニー」
Star City Games Standard Classic Baltimore 準優勝 / スタンダード (2019年2月3日)[MO] [ARENA]
13 《平地
4 《神聖なる泉
4 《氷河の城砦
-土地(21)-

4 《不屈の護衛
4 《追われる証人
4 《短角獣の歩哨
1 《癒し手の鷹
4 《徴税人
4 《ベナリアの軍司令
4 《拘留代理人
4 《敬慕されるロクソドン
-クリーチャー(29)-
4 《軍団の上陸
4 《ベナリア史
1 《不敗の陣形
1 《議事会の裁き
-呪文(10)-
3 《トカートリの儀仗兵
2 《呪文貫き
3 《否認
3 《不可解な終焉
3 《暴君への敵対者、アジャニ
1 《
-サイドボード(15)-
StarCityGames.com より引用)
 

 過去にも幾度か見られた、「白ウィニーに青を足して打ち消しを使えるようにする」という対コントロール・対コンボを意識した構成だ。

 《呪文貫き》《否認》と、すでにこの戦術におあつらえ向きの軽量打ち消し呪文は環境に存在していたが、白と青の2色土地の選択肢が限られていたのでデッキとして成立させることは難しかった。《神聖なる泉》の登場で、その点は問題なしになって満を持して登場したデッキ、というわけだ。

 メインは白ウィニーが得意とする勢いで押し切り、サイド後にはこれらの打ち消しで相手の対抗策などを弾いて勝つ。単純明快にして強力、これぞ信頼と実績のある構成。

 もちろん、サイドボードの打ち消しのためだけの青マナではない。アゾリウスからやってきたのは《拘留代理人》!

 以前の白ウィニーも《議事会の裁き》を採用してパーマネント除去には秀でていたが、殴るデッキにおいて同じことを3マナのクリーチャーでやれるというのであればそちらに飛びつくのは自然な流れ。土地以外のパーマネントならなんでも追放できる点も素晴らしく、タフネスも高め。《ベナリアの軍司令》《敬慕されるロクソドン》で強化してやれば立派な戦力としてカウントできる。そして何より、同名のパーマネントはまとめて追放できる点が素晴らしい。一方的に《ベナリア史》をプレイされても、騎士・トークンをまとめてポンッ!と吹っ飛ばせるのは実に頼もしい。

 この代理人を含め、クリーチャーを強化しつつ護る目的でも使える《不敗の陣形》にも注目。

 少々重めなので1枚に抑えられているリストが多いが、すべてのクリーチャーに破壊不能を与える効果で対戦相手の除去に対して打ち消し的に使うことができ、自分のメインで唱えれば警戒に+1/+1カウンターばら撒きのドでかいオマケ付き。これを唱えてガツンと突っ込ませる時の爽快感、まさしく不敗!という気持ちにさせてくれる。

 オルゾフからやってきた新カードは《徴税人》。

 この新クリーチャーに関しては、採用していなかったり、入っても1枚だったり、あるいはこのリストのように4枚!という具合に、個人によってばらつきが大きい。実際にこの4枚のリストを使ってみての感想としては、とても強くて環境にマッチしているように感じた。

 こちらのターンに相手が行動する際には、なんであれ追加で{1}のコストを科すという能力。これ、いわゆる「ターボ・フォグ」系のデッキに刺さるのだ。《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出して2マナ立てて《根の罠》を構えるというそれらのデッキの必勝の構えを、この能力は全否定する。2体以上並ぶと、対戦相手はコチラのターンに何もできなくなってしまうということもザラ。ただクリーチャーを出しているだけで《残骸の漂着》なんかもナチュラルに封じられるので、4枚入れてバシバシ並べたいマッチアップが多いかなと。

 強いか否かはデッキの流行に左右される面も大きいだろうが、死後能力で全体除去の後にも盤面にクリーチャーを切らさない点も評価でき、個人的には使用感はかなり良い。皆もぜひ、実際に使ってみてそれぞれの理想的な採用枚数を見つけてほしいところ。

 とにかくシンプルに強いという点が、白ウィニーは良いね。デッキとして分かりやすいので初心者にもオススメしたい。

 最後にひとつだけ……相手のクリーチャーの能力を封じるために《トカートリの儀仗兵》をサイドインする際には、自分の代理人とロクソドンの能力も誘発しなくなる点に注意!

 僕はこれを召集コストに充ててロクソドンを出して、ただの4/4が出ただけでモニターを悲しく眺めた経験がある。このゾウと入れ替わりでクリーチャー強化する手段として《暴君への敵対者、アジャニ》が3枚もサイドに採られていたんだね……。

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