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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ドレッジ(レガシー)

岩SHOW

 現行スタンダードではゴルガリが頑張っている。グランプリ王者にもなった

 この黒と緑のギルドは、墓地とクリーチャーというそれぞれの色の象徴とも言える要素を組み合わせたカードを多数輩出してきた。名カードは多数あるが、世代的には初代ゴルガリ団の面々真っ先に思い浮かんでしまう。一部は『アルティメットマスターズ』に再録され、そこで初めてこれらのカードを知った方も、もう少なくなくなってきたんじゃないかな?

 ゴルガリ第一世代の能力・発掘は「発掘4」という具合に数字とともに記される。

 このカードが墓地にある時に、あなたがカードを引く場合、通常のライブラリーの一番上からカードを引くというドローの代わりに、墓地からこのカードを手札に戻すことを選ぶことができる。これを選んだなら、その数字分だけライブラリーからカードが墓地に落ちる。

 僕は初めてこの能力を見た時に、「こんな能力、なんか損してないか?」と思ってしまったものである。手札に戻るカードも一部の例外を除いて、そんなに強そうなカードじゃない。これらのカードはどうやって使うのが良いのだろう?

 その疑問を解決してくれたのが、墓地利用型コンボデッキだった。手札に戻ることよりも、ライブラリーに大量にカードが落ちるということを重視して、マナをほとんど使わずに墓地にカードが山ほどあるという状況を創り出すのだ。その手のデッキを初めて見た時の衝撃は忘れられない。このデイリー・デッキも長くやってきているので、過去に紹介したオーソドックスなデッキをぼちぼち再紹介しても良いころだろう。

 というわけで今日は新しいデッキなどではないが、レガシーの代表的な・伝統のあるデッキを1つ紹介しよう。これがあなたにとっての初めての衝撃になれば嬉しいね。

Elias Neirynck - 「ドレッジ」
Belgian Legacy Cup LCT @ Outpost Ghent ベスト4 / レガシー (2018年12月9日)[MO] [ARENA]
4 《マナの合流点
2 《真鍮の都
3 《宝石鉱山
4 《セファリッドの円形競技場
-土地(13)-

3 《朽ちゆくインプ
4 《ゴルガリの凶漢
4 《ナルコメーバ
4 《臭い草のインプ
4 《イチョリッド
4 《ゴルガリの墓トロール
-クリーチャー(23)-
4 《ライオンの瞳のダイアモンド
4 《陰謀団式療法
4 《信仰無き物あさり
3 《入念な研究
1 《暗黒破
4 《黄泉からの橋
4 《打開
-呪文(24)-
2 《フェアリーの忌み者
1 《灰燼の乗り手
2 《水蓮の花びら
2 《炎の嵐
2 《自然の要求
2 《沈黙の墓石
2 《戦慄の復活
2 《摩耗 // 損耗
-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)
 

 このデッキは発掘の英語読みから「ドレッジ」と呼ばれている。パッと見てもあまり何をするのかはわかりにくいデッキだろう。このデッキの目指すゴールは、大量のクリーチャーでのビートダウンである。一体、どうやるのか? すべてのカギを握るのが発掘だ。

 まず、発掘カードを墓地に落とす。これがこのデッキのスタートで、これが行えない手札はキープしたくない。その手段は《朽ちゆくインプ》で手札から捨てるか、ドロー呪文を唱えるかだ。

 このデッキのドロー呪文は、すべてカードを引くとともに手札を捨てることを要求してくる。これらを駆使して発掘カードを手札から墓地へと送り込む。優先順位はもちろん数字の大きいもの、《ゴルガリの墓トロール》からスタートしたい。

 準備ができたら自分のターンの通常ドローを発掘に置き換えて、ライブラリーから墓地にカードを送りこむ。さあ、ここからが大事。このデッキは理想的な展開になった場合、もうライブラリーからカードを引くことはない。すべて発掘に置き換えて、ライブラリーを全力で墓地へと置き換えていくのだ。墓地の枚数が30枚を超えるなんてことはザラである。発掘すると、高確率で発掘カードが墓地に落ちる。これを上手く繋げていこう。《打開》《信仰無き物あさり》《入念な研究》のドローはすべて、こうやって発掘が招いた発掘カードを手札に戻すことに費やしていく。ゴリゴリと墓地を増やすべし。

 発掘作業中、発掘とは異なる能力を持ったカードも墓地に落ちる。《ナルコメーバ》はピョコンと戦場に出てくれる。これを生け贄に捧げて、《陰謀団式療法》を唱えるというのが1つの狙い。

 相手の手札を攻めるのみならず、これが攻撃手段に繋がる。どういうことかというと、このクリーチャーを生け贄=死亡させるのを、《黄泉からの橋》は墓地にある時に行うのだ。

 そうすると、ゾンビ・トークンが生成される。この橋が複数枚落ちていると、《ナルコメーバ》1体からゾンビがうじゃうじゃと生まれてくることになる。

 《イチョリッド》もまた《黄泉からの橋》と相性が良い。

 アップキープに墓地の黒いクリーチャーを食べて戦場に現れ、ターン終了時には死んでいく。マナを払わずにクリーチャーが増えていく。浮いているマナはドロー呪文に使って、墓地のボリュームを増大させていくのだ。これらのアクションで生み出されたゾンビの大群が最後には対戦相手に雪崩れ込んでジ・エンド!というわけで速攻で勝負を決めるデッキなのだ。

 この動き、そんなに速攻と言えるほど速いのか?と思われるかもしれない。速いんです、これが。発掘6と2枚以上のドローが絡むとギャリギャリと音が聞こえるレベルでライブラリーが削れていく。

 さらにそれに拍車をかけるのが《ライオンの瞳のダイアモンド》だ。

 手札をすべて捨てて3マナを出す、すなわち発掘カードをぶちまけながら《信仰無き物あさり》フラッシュバックが唱えられるということ! このロケットエンジンが絡めば、本当に運が良ければ1ターン目で相手の手札をズタボロにしながら、ほぼ勝負アリと言えるほどのゾンビを並べてしまうことができるのだ!

 このリストではサイドプランになっているが、《戦慄の復活》があればそのターン中に勝ってしまうこともできる。《炎の血族の盲信者》なんかでゾンビに速攻を与えてやるのだ。

 そうそう、サイドと言えば、最近のカードから《沈黙の墓石》が使われているんだね。

 対戦相手のリアニメイトコンボを封じるのはもちろん、防御的に用いることができるのがイカす。レガシーの大多数のデッキのサイドに枠が割かれている《外科的摘出》から、墓地のカードを護ってくれる働きを見せてくれるぞ。これはなかなかシブいし、相手の対策に先置きで対策できてしまうのがドレッジ的にはありがたい。

 パーマネントよりも墓地の方が大量のカードで埋め尽くされることになるので、テーブルを上手く使って自分にも・そして相手にも、いま墓地がどうなっているのかわかりやすく示しながらプレイしたい。その際に注意してほしいのだが、レガシーでは「墓地のカードの順番を変更してはならない」ということ。『テンペスト』以前のセットには墓地のカードの順番を参照するカードがあるからだ。

 その点だけ気を付けながら、淡々と墓地を肥やしてゾンビを出荷する、ドレッジ:ザ・ギャザリングとも呼ばれたゲームを楽しんでほしいね!

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