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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ウィッシュ・エンチャントレス(レガシー)

岩SHOW

 マジックを始めたことで知った単語が1つある。「エンチャント」だ。「enchant」は魔法をかけるということ、また魔法にかけられたようにうっとりと魅了することを意味する。

 マジックのエンチャントは戦場やパーマネント、プレイヤーにつける形で残り続けて作用する。このエンチャントに近い言葉が「エンチャントレス」。「enchantress」で魔女・女性の魔法使いなどを意味する。日本語版のカードにおいては女魔術師と訳され、そしていずれもその名の通りエンチャントと関係のある能力を持っている。中でも人気なのが《アルゴスの女魔術師》と《女魔術師の存在》だ。

 これらをコントロールしている時にエンチャント呪文を唱えると、カードを1枚引くことができる。エンチャントの中でもオーラと分類されるものは、パーマネントに貼り付けるものが多く、それゆえに付けているパーマネントを破壊されると1枚のカードで2枚以上のカードを失ってしまい、アドバンテージを損しやすい。そこでこのようなカードが作られ、エンチャントの弱点を補ってエンチャント生活を楽しんでもらおうという心配りがなされていた。

 ただ、これらエンチャントレスカードの「ドローする」という能力は、弱点のカバーどころか1つのデッキを成立させるのに十分なもの。というか、他を寄せ付けない驚異的なアドバンテージ・エンジンである。そんなわけでこれらエンチャントレスを用いて、エンチャントを唱えてはカードを引き……一言でまとめると「とても気持ちよくなれるデッキ」が古来よりある。

 過去このコラムでも紹介してきたが、その最新のリストで面白いアプローチ・激シブカードを採用しているものがあったので、今日はそれを紹介しよう!

Lorenzo Marinuzzi - 「ウィッシュ・エンチャントレス」
Swiss Magic Masters 2018 @ Interlaken トップ8 / レガシー (2018年9月2日)[MO]
11 《
1 《Bayou
1 《Savannah
3 《新緑の地下墓地
1 《吹きさらしの荒野
2 《セラの聖域
1 《カラカス
-土地(20)-

3 《アルゴスの女魔術師
1 《開花の幻霊
2 《破滅喚起の巨人
-クリーチャー(6)-
4 《楽園の拡散
4 《繁茂
3 《豊かな成長
4 《エレファント・グラス
4 《生ける願い
2 《Gaea's Touch
2 《地の封印
1 《真の木立ち
4 《女魔術師の存在
2 《払拭の光
2 《独房監禁
3 《緑の太陽の頂点
-呪文(35)-
1 《アルゴスの女魔術師
1 《ガドック・ティーグ
1 《ファイレクシアの破棄者
2 《フェアリーの忌み者
1 《弁論の幻霊
1 《再利用の賢者
1 《破滅喚起の巨人
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール
1 《神々の神盾
2 《窒息
1 《ボジューカの沼
1 《カラカス
1 《セラの聖域
-サイドボード(15)-
mtgtop8.com より引用)
 

 《楽園の拡散》《繁茂》を唱えてマナ加速し、エンチャントレスたちを戦場へ。

 そこからさらにそれら軽量エンチャントを唱えてマナと手札を拡充。同時にエンチャントで盤面もコントロールし、「マナと手札いっぱい・死なない」というマジックプレイヤーにとっての理想郷のような環境を作り上げる。その牙城を前に対戦相手が投了するか、あるいはさらなる大技をもって勝利する……これが「エンチャントレス」の基本戦略だ。

 このデッキでは自己防衛用に伝統の《エレファント・グラス》を採用。対戦相手の行動と展開を同時に行いにくく(黒いクリーチャーは完全に攻撃を封じて)プレイヤーのライフを護る。

 また、これ以外にもダメージ完全軽減・被覆で手札破壊や《苦悶の触手》も無効化する《独房監禁》も備えている。ドロー・ステップを飛ばしつつ毎ターン手札を1枚捨てるという強烈なデメリットを持つが、エンチャントレスを複数展開して手札がパンパンになっている状況ではこれほど強いカードもない。

 これらに加えて、近年のエンチャントレス基本装備《破滅喚起の巨人》でクリーチャーの生存を許さないという直接的なコントロール要素も備えている。

 この巨人や、メインで3枚しか採用されていない《アルゴスの女魔術師》にアクセスする《生ける願い》を採用しているのがこのデッキの特徴。

 サイドボードに置いたカードを手に入れることができ、メインデッキ内のカード水増しに成功するとともに、特定の相手に突き刺さる《ガドック・ティーグ》《弁論の幻霊》《ボジューカの沼》といったカードをメインから用いることができるようなっている。また、邪魔になりがちな勝ち手段である《引き裂かれし永劫、エムラクール》の姿もここに。

 このカードを《セラの聖域》からの大量マナで唱えて追加ターンを得て、殴ったら《カラカス》で手札に戻して……という無慈悲極まるフィニッシュムーブに必要なパーツは、すべてこの願いから手に入れることが可能だ。願いで手に入るという理由で枚数を減らした《アルゴスの女魔術師》4枚目の代わりに《開花の幻霊》を採用し、途中で《緑の太陽の頂点》が無駄カードにならないようにケアされている。

 このリストはこのウィッシュ(願い)以外にも《》を多く採用しているのが特徴。この手のデッキはエンジンが回転して大量ドローを得ても土地は1ターンに1枚しか置けないので手札があふれがち。それを基本の《》を採用することで緩和している。どういうことか? 初めて見る人もいるだろう《Gaea's Touch》が答えだ。

 基本の《》であれば1ターンに1回追加で手札から戦場に出すことができるという《踏査》的なマナ加速で、これ自身を生け贄に捧げると2マナを得ることもできる。ロングゲームに良し、プラン代わっての緊急事態でもマナになると……個人的には能力・イラストの両方で大好きなカードだ。こういうのを使える、ってのが「エンチャントレス」やレガシーというフォーマットの良いところだね。

 よくあるデッキに自分ならではのシブいカード、仕込んで活躍させてやりたいじゃないか。世のデッキの多くは、そういう気持ちから生まれたんだろうね。

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